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付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第2章 僕と従魔たちと
32/58

32、真実と驚きと

 枯れかけのアザミを踏みしめながら歩いて近付いて行った。シルバーサウルスの足元には、シロツメクサが生えている。面白いコントラストだと思いつつ、シルバーサウルスに迫っていった。


シルバーサウルスはB+ランクなので、オーラもそれ相応に凄まじかった。こんな濃度の魔素を浴びたのは初めてだ。何だか、頭がクラクラしてきた。そのせいで、僕が生まれてからの記憶がフラッシュバックし始めた。


・生まれた時は、父さんはイケメン、母さんは美人で安心したものだ。

・確か、初めての付与は包丁にしたなぁ。

・父さんと母さんに果実液ジュースを作ったら、喜んでくれたっけ。

・領主会合は緊張したなぁ。

・魔物図鑑を買ってもらった時は嬉しかったなぁ。


(...あ、ヤバいヤバい。こんなんじゃ、勝てないよ。)


再び僕たちの敵に注意を向けながら、ゆっくりと慎重に進んでいった。もしかしたら...。僕なら、いや、僕たちでなら乗り越えられるはずだと、自分に言い聞かせながら、進んで行った。




 シルバーサウルスはずっとスフィンクスのように堂々と座っていたが、重々しく口を少し開いた。何が来るのかと身構えていると、ゆっくりと威厳のある声で話しかけてきた。


「そこの少年、名前は?」


(え、喋るのかよ。まあ、異世界だからか...。)


「聞いているのか!」何となく、シルバーサウルスの言葉が、断れない雰囲気を醸し出している気がした。


(三大翼竜だと、威厳が違うな。)


「僕はレオです。レオ・マングスターです!」


「我を前にしても、その威勢か。」


「質問があります。...どうして、僕たちを襲うんですか?」


「端的に答えるなら、低ランクや低レベルの魔物どもには自我が無いから、仕方ないであろう。それに、レオ・マングスター、いやレオも魔物を襲っているだろう。」


「それは、レベルを上げるために。」


「なら、魔物も同じだ。この厳しい世界で生き残るには、他者を糧として強くなるしかないんだ。魔物も種の繁栄という考えは持っているんだよ。」


「...。」


「ちなみに言うが、我は他の生物を自らの意思で襲ったことは無い。もちろん、襲われたら倒すがな。」


「じゃあ、今回は?」


「今回と言うと、大量発生だな。これに我は関係していない。むしろ感謝して欲しいくらいだ。」


「...?」


「発生の予定月と大きな差があっただろう。あれは、魔素の濃度を抑えていたからだ。おかげで、対策が立てられたであろう。」


「そうだったんだ...。」


「まあ、信じなくても良いがな。では、我の番だな。お前の職業(ジョブ)は何だ?」


「付与術師ですけど...。」


「その3匹の召喚獣から予想は付いていたが、やはりそうだったか。中々、珍しい職業だな。」


「珍しい?」


「そんなことも知らんのか。付与術と付与魔法の違いは分かるよな?」


「違いがあるんですか?」


「ああ、大違いだ。全くの別物だぞ。」


「え...。」僕の自分像が、土台から崩れ去った気がした。今まで考えていたことが、間違っていたなんて。




付与術:古代術の一種。付与の知識、概念、仕組みを暗に理解しているので、オリ

    ジナルの術を構築することも可能。


付与魔法:付与術を基として、付与の方法と結果だけを暗に理解している。仕組み

     を理解していないので、単調な付与しかできない。




 シルバーサウルスに聞くと、違いがよく分かった。似ているのは、外見だけらしい。中身は全くの別物だった。


「付与術は『失われた五古術』の1つで、使い手は数少ない。我も片足に収まるくらいしか見たことが無い。」


「そうだったんだ...。」


(だから、父さんたちは『付与魔法』、僕は『付与術』って言ってたんだなぁ。てっきり、同じものだと思ってたよ...。)


「だから、変な付与もあっただろう。使い物にならないような。」


(あ、確かにある。『粉末化』とか『滑ら化』とかが。)


「色々教えてくれてありがとう。あと、勘違いしちゃってごめんね。」


「お礼の代わりに、我の召喚主にならないか?」


「え、でも...。」


「我は人語を解するし、戦闘力なら基本的に負けないはずだ。それに、この世界のことについては、それなりに詳しいはずだ。」


「僕なんかで良いの?」


「『失われた五古術』が使える時点で合格だ。それに、お前といると面白そうな気がするしな。」


「分かった、良いよ。」


「では、かっこいい名前を頼むぞ、レオ。」


(名前かぁ。えーっと。)




 すぐには思いつかず、周りを見渡した。何か良さげな物はないだろうか。こんな森の中には、木しかない。他にあると言えば、シルバーサウルスの足元にあるシロツメクサくらいだろうか。


(シロツメクサって言えば、クローバーか。何か懐かしいな、四葉のクローバーって響き。...あ、クローだ!)


「クローはどうかな?」


「ふむ、クローか...。何とも言えない響きだな、気に入ったぞ。」


(よしっ、これでドラゴンクローが使えるようになるぞ!)


「じゃあ、従魔付与をするね。」


「ああ、頼んだぞ。」


「『従魔化』を付与。...あれ、何か...体が...。」


僕の視界はドンドン暗く狭くなっていった。何だか、この眠気に似た感じは、前にも経験したことがある気がした。そして、シルバーサウルスの、いやクローの声が聞こえたと思った瞬間に、気を失った。

まさか、シルバーサウルスが仲間になりましたね。レオはどうなってしまったのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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