28、大量発生と大量付与と
父さんが大量発生の予告をしてから、ちょうど1ヶ月が経った。ヴァイパー侯爵からの援軍は一昨日到着した。いつ起きるのかと心配している父さんの元に、一通の手紙が届いた。
父さんは手紙を読み終えると、目をつむったまま、大きく深呼吸した。何か悪い物を吐き出して、良い物を吸い込むかのように。そして、母さんと僕を見てから、ゆっくりと話し始めた。
「2人とも、大量発生が起きたようだ。」
「そう...。」
「できるだけ、家から出さないようにな。特に、レオは絶対に家から出すなよ。」
「わかったわ。」
「じゃあ、行ってくるよ。」
父さんはドアを開けると、何かを思い出したかのように母さんと僕を見てから、足早に部屋を出て行った。大量発生が起きたと宣言されたのは、その30分後のことだった。
こんな状況なので、家の外に出た瞬間に、父さんの雷が落ちることが確定してしまう。仕方ないので、家の中で工作をすることにした。工作を言っても、いつも通りジューサーを作るだけだが。
(はぁー、始まっちゃったか。)
(今頃は...。)
(僕も何かできることは...。もちろん、付与を使ってだけど。)
(うーん...。)
「あ、付与しまくった剣を作れば!」
思わず、口に出てしまったことを気にしている場合じゃない。早速、何を付与するか決めることにした。今までの経験を振り返りながら、最適解を出すことにした。
(まず、日本刀にするために『柔軟化』と『頑強化』は外せないな。)
(それから...。)
(うーんと、何属性を付与しようか...。)
(属性はガチャ要素にするとして、他には...。)
(まあ、『軽量化』と『鋭利化』も付けられたら良いな。)
(でも、一本一本付与するのも面倒くさいしなぁ...。)
(何か、ポンポンと付与できたらなぁ。そう、スタンプみたいに。)
「あ、スタンプか!」
スタンプなら、作ったことがあるから簡単である。ジューサーの報告書を作る時に、僕は文字が書けないので、お世話になっている。作り方はこうだ。
①厚紙に付与をする。
②このまま剣に転写すると、鏡文字になるので、別の厚紙に『転写』をする。
③この厚紙に持ち手を付ける。
④何回も使えるように、この厚紙の付与に『固定化』をかける。
⑤『if 表面が武器と触れた。 付与を転写をする。』を付与する。
⑥付与スタンプの完成。
作り方はややこしそうだが、1回作ったら、ずっと使えるので、中々に便利な代物である。もちろん、使う度に魔力は消費するが。まずは、母さんに厚紙と小さな木の棒を出してもらった。
(よしっ、始めるか!)
「『柔軟化Lv3』と『頑強化Lv3』を付与。」
(そう言えば、軍手を付けないと、スタンプで手が切れるな。)
「『軽量化Lv2』と『鋭利化Lv2』を付与。」
(最後はガチャ要素を取り入れるんだったな。)
「『水属性Lv3』を付与。これで、完成だな。」
付与する属性が、氷、火、雷、風、地属性のスタンプも作ったら、完成である。あとは、父さんに言って、皆に好きなスタンプを押してもらえば良い。そうすれば、僕が剣6本分の魔力を使うだけで、皆の剣に付与できる。
(こりゃあ、父さん驚くぞ、絶対に!)
父さんの驚く顔が浮かんできて、今から何だかワクワクしてきた。父さんが帰って来るまで、残り6時間だ!
いつ食べても美味しい母さんの料理を食べて、少し待っていると、父さんが帰って来た。ジャスト6時である。父さんが血が付いた防具を着ているのを見て、やっぱり魔物討伐中なんだと実感した。
「父さん、どうだった!」
「大量発生中なのに、レオは元気で羨ましいよ...。」ちょっと元気が無さそうである。こんな時に、エナジードリンクがあれば...。
「父さん、良い物をあげるよ。」
「俺にはオルガの料理が一番だよ。」と、母さんの方を見ながら言った。台所へ向かう母さんがスキップをしていて、見るからに嬉しそうである。
「父さんの剣って付与されてる?」
「ん、突然どうした?これは、前にレオが付与してくれたやつだよ。」
「そうなんだ。じゃあ、ちょっと借りるね。」僕もスキップをしそうになるのを我慢しながら答えた。
「何かするのか?」
「うん、ちょっと付与を消そうと思って。」
「えっ、消しちゃうのか、勿体無いな。父さんはこれが気に入っていたんだけどな。」
「まあまあ、新しく付与するから。」
僕が作ったスタンプで付与しても良かったのだが、何だか味気無いような気がするので、僕が普通に付与することにした。前回のより、攻撃力を高めて、属性も付与した。
(よしっ、こんなもんかな。我ながら、完璧な出来栄えだな。)
「父さん、できたよ。」
「今回は何をしたんだ?」
「剣の切れ味をあげて、氷と火属性を付与したんだ。これで、戦いやすくなったと思うよ。」
「な、何!氷と火属性だとぉ!」思わず、剣を抜いて確かめようとする父さん。もちろん、付与を見ることはできない。
「うん。嫌だったら、別の属性に変えるけど...。」
「いやいや、そういう訳じゃないんだ。でも、どうやって2属性にしたんだ?普通のは、ほとんど1属性だぞ。」
「剣って、刃が2つあるでしょ。それぞれに違う属性を付与しただけだよ。」これは技術がある人にしかできないので、父さんに漏らしても大丈夫である。
「そうか。それで、どっちが氷属性で、どっちが火属性なんだ?」
「白い印の方が氷属性で、赤い印の方がが火属性だよ。あと、この剣に魔力を流せば、付与した効果が発動するよ。」
「分かった。付与してくれて、ありがとな。」
そろそろ、本題に戻らないと、母さんの夕食ができてしまいそうである。
「父さん、皆を集めてくれない?魔力を流しながら、このスタンプを剣に押したら、付与できるから。」
「そんな物まで作ったのか...。」
「うん。じゃあ、預けとくね。1つ1つ属性が違うけど、それは運ってことで。」
「何から、何まで助かるよ。ありがたく、使わせてもらうよ。」
「手が空いたら、感想を教えてね。」
「もちろんだとも。」
付与スタンプはどのくらい役に立つのでしょうか?そして、大量発生との戦いの行方とは?
まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。
もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。
今後とも八咫烏をよろしくお願いします。




