21、商人とジューサーと
ジューサー売買計画の第1段階が始まった。商人に僕のジューサーを売り込むのである。運良く、父さんには商人の知り合いがいた。
「マーシャルさん、今日は来て頂き、ありがとうございます。」
「いえいえ、他でもないマングスター子爵(うちの家名)の頼みですから。早速、商談に入らせて頂きます。」
「よろしくお願いします。」
(いやー、スゴい緊張してきたぁ。)
「それで、今回売りたい物とは何でしょうか?どうやら、面白い物のようですね。」
「これです。」父さんが僕の作ったジューサーを机の上に置いた。見た目は藁細工の鍋、中身は神懸った器具である。
「ほぅ、これですか。」
「はい、いかがでしょうか?」
(いや、父さん。見た目だけじゃ、売れないって判断されるんだけど...。)
「まあ、普通の藁細工ですね。これに何か商業的価値が?」
「えっと...そうですなぁ...。」
ここまで来て、分かったことが1つある。父さんは商談のセンスが無い。どうりで、フィリップさんが心配そうにしていた訳だ。
「あの、少しよろしいですか?」このまま、父さんに任せたままだと、きっと売り込めないので、僕が話すことにした。
「息子さんですかな?」
「はい、息子のレオです。」
「それで、何か話したいことでもあるのですか?」
「これの製作者として、この器具を説明しようと思いまして。まず、この器具の名前はジューサーです。」
「中々、珍妙ですな。それで?」
(よしっ、名前で興味を惹きつけることに成功っと。)
「使い方について、ご説明します。この中から、好きな果物を選んでください。」と言いながら、母さんが用意した果物籠を指した。
「果物ですか?」
(やっぱり、皆ここで驚くんだ。)
「はい。」
「私はメロンが大好物なんですよ。まあ、メロンについてなら誰にも負けないと、自負しております。」
「では、少々お待ちください。」
僕が会議室から出て行っては失礼に当たるので、部屋の前に控えているメイドを呼んだ。
「何か御用でしょうか、レオ様?」
「うん。このメロンを切ってくれるかな?」
「分かりました。」
メロンが届くまでは、マーシャルさんと世間話をすることにした。もちろん、これからのビジネスの事を考えてである。
「マーシャルさんは、どんな料理がお好きなんですか?」
「私はですね、さっきも言った通り、メロンが好きですね。」
「どうして、メロンを?」
「あの甘い香り、何とも言えない食感、食べた後に残る余韻、どれを取っても完璧なんです。それに、色々な工夫次第で、もっと美味しくなる。まるで、女性を口説いているようで、何とも言い難い。」
(あ、しまった!これは話しちゃマズい話題だったなぁ。早く、メロンよ来い!)
「あと、あの美しい色、もはやエロティックにすら思えてきます。もう私はメロンが無いと、死んでしまう。」
(あぁ、メロンオタクじゃないか。それも、すっごい拗らせた。いや、オタクと言うより、中毒者だよ、こりゃあ。)
マーシャルさんのメロン話をどう止めようかと考えていると、メロンが届いた。マーシャルさんのおかげで、いや、せいでメロンが神々しく見えてきた。
「ほぉ、中々エロスを感じますね。」
(もう、この人にメロンを見せちゃダメだな。)
「それで、この女体をどうするんですか?そのジューサーを使うんでしょう?」
「はい。では、メロンを4切れ、ジューサーに入れてください。」
「この中に入れるのですか?」
「はい、蓋を開けてから入れて頂ければ、問題ありません。」
「これで良いのですかな?」
「そうです。」
僕がジューサーの蓋を閉めてから、蓋を開けた。ジューサーの中を見ると、しっかりメロン果実液(前世だと、ジュース)ができていた。ジューサーを傾けて、コップの7分目くらいまで果実液を注いでいった。
「以上が使い方です。これを飲んでみてください。」
「これは、私が入れたメロンなのか?」
「そうです。」
マーシャルさんがコップを傾けて、口に果実液を含ませた。口に入れた途端に、目を見開いて、コップを更に傾けた。そのままグビグビと、果実液をコップ一杯分を一気に飲み干してしまった。
「もう1杯頂けるかな?」
「はい、どうぞ。」
ゴク、ゴク、ゴクッ
「まだ、おかわりできるかな?」
「はい。」
ゴク、ゴク、ゴクッ
「あと1杯だけ頂けないかな?」
「分かりました。」
ゴク、ゴク、ゴクッ
「いやぁ、結構な物を頂いた。これを私の店、いや私の店だけで売らせてもらおう。それで、いくらで売るんだ?」
「3万ウィーズのつもりですが。」
「何ッ、3万ウィーズだと!安い、安過ぎる。私なら10万は出すぞ。」
「それでは、間を取って6万ウィーズにしましょう。」
「6万ウィーズか...まあ、そういうことにしよう。それで、このジューサーはあと何個あるんだい?」
「今は50個弱です。これからは1週間で40個作る予定です。」
「私が私的に買っても良いかな?」
「10個くらいまでなら良いですけど、控えめにお願いしますよ。」
「ああ、分かってる。では、これからもよろしく頼む、レオ君。私たちは良い友人になれそうだ。」
「はい、こちらこそ。」
マーシャルさんは、僕があげたジューサー3個を大事そうに抱えながら帰っていった。ジューサーを売ることはできそうなので、あとはどれだけ客受けが良いかである。
「レオはスゴいなぁ。」
「そうかな?」
「そうだよ。あんなに喜んでいるマーシャルさんを見るのは、久しぶりだったよ。ジューサーのこと、これからも頑張れよ。」
「うん。」
応援してもらえることの幸せを噛みしめつつ、僕の夢を再確認した。大切な人と楽しく過ごすために、「人生ガチ攻略」頑張るぞぉ!
(あ、気合が入り過ぎて、爪楊枝弾が折れちゃったよ。)
ジューサーを売れることが決まりましたね。ジューサーの客受けはどうなるのでしょうか?
まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。
もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。
今後とも八咫烏をよろしくお願いします。




