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付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第1章 僕と異世界と
21/58

21、商人とジューサーと

 ジューサー売買計画の第1段階が始まった。商人に僕のジューサーを売り込むのである。運良く、父さんには商人の知り合いがいた。


「マーシャルさん、今日は来て頂き、ありがとうございます。」


「いえいえ、他でもないマングスター子爵(うちの家名)の頼みですから。早速、商談に入らせて頂きます。」


「よろしくお願いします。」


(いやー、スゴい緊張してきたぁ。)


「それで、今回売りたい物とは何でしょうか?どうやら、面白い物のようですね。」


「これです。」父さんが僕の作ったジューサーを机の上に置いた。見た目は(わら)細工の鍋、中身は神懸(かみがか)った器具である。


「ほぅ、これですか。」


「はい、いかがでしょうか?」


(いや、父さん。見た目だけじゃ、売れないって判断されるんだけど...。)


「まあ、普通の(わら)細工ですね。これに何か商業的価値が?」


「えっと...そうですなぁ...。」




 ここまで来て、分かったことが1つある。父さんは商談のセンスが無い。どうりで、フィリップさんが心配そうにしていた訳だ。


「あの、少しよろしいですか?」このまま、父さんに任せたままだと、きっと売り込めないので、僕が話すことにした。


「息子さんですかな?」


「はい、息子のレオです。」


「それで、何か話したいことでもあるのですか?」


「これの製作者として、この器具を説明しようと思いまして。まず、この器具の名前はジューサーです。」


「中々、珍妙ですな。それで?」


(よしっ、名前で興味を惹きつけることに成功っと。)


「使い方について、ご説明します。この中から、好きな果物を選んでください。」と言いながら、母さんが用意した果物(かご)を指した。


「果物ですか?」


(やっぱり、皆ここで驚くんだ。)


「はい。」


「私はメロンが大好物なんですよ。まあ、メロンについてなら誰にも負けないと、自負しております。」


「では、少々お待ちください。」




 僕が会議室から出て行っては失礼に当たるので、部屋の前に控えているメイドを呼んだ。


「何か御用でしょうか、レオ様?」


「うん。このメロンを切ってくれるかな?」


「分かりました。」


メロンが届くまでは、マーシャルさんと世間話をすることにした。もちろん、これからのビジネスの事を考えてである。


「マーシャルさんは、どんな料理がお好きなんですか?」


「私はですね、さっきも言った通り、メロンが好きですね。」


「どうして、メロンを?」


「あの甘い香り、何とも言えない食感、食べた後に残る余韻、どれを取っても完璧なんです。それに、色々な工夫次第で、もっと美味しくなる。まるで、女性を口説(くど)いているようで、何とも言い難い。」


(あ、しまった!これは話しちゃマズい話題だったなぁ。早く、メロンよ来い!)


「あと、あの美しい色、もはやエロティックにすら思えてきます。もう私はメロンが無いと、死んでしまう。」


(あぁ、メロンオタクじゃないか。それも、すっごい(こじ)らせた。いや、オタクと言うより、中毒者だよ、こりゃあ。)




 マーシャルさんのメロン話をどう止めようかと考えていると、メロンが届いた。マーシャルさんのおかげで、いや、せいでメロンが神々しく見えてきた。


「ほぉ、中々エロスを感じますね。」


(もう、この人にメロンを見せちゃダメだな。)


「それで、この女体をどうするんですか?そのジューサーを使うんでしょう?」


「はい。では、メロンを4切れ、ジューサーに入れてください。」


「この中に入れるのですか?」


「はい、蓋を開けてから入れて頂ければ、問題ありません。」


「これで良いのですかな?」


「そうです。」


僕がジューサーの蓋を閉めてから、蓋を開けた。ジューサーの中を見ると、しっかりメロン果実液(前世だと、ジュース)ができていた。ジューサーを傾けて、コップの7分目くらいまで果実液を注いでいった。


「以上が使い方です。これを飲んでみてください。」


「これは、私が入れたメロンなのか?」


「そうです。」




 マーシャルさんがコップを傾けて、口に果実液を含ませた。口に入れた途端に、目を見開いて、コップを更に傾けた。そのままグビグビと、果実液をコップ一杯分を一気に飲み干してしまった。


「もう1杯頂けるかな?」


「はい、どうぞ。」


ゴク、ゴク、ゴクッ


「まだ、おかわりできるかな?」


「はい。」


ゴク、ゴク、ゴクッ


「あと1杯だけ頂けないかな?」


「分かりました。」


ゴク、ゴク、ゴクッ


「いやぁ、結構な物を頂いた。これを私の店、いや私の店()()で売らせてもらおう。それで、いくらで売るんだ?」


「3万ウィーズのつもりですが。」


「何ッ、3万ウィーズだと!安い、安過ぎる。私なら10万は出すぞ。」


「それでは、間を取って6万ウィーズにしましょう。」


「6万ウィーズか...まあ、そういうことにしよう。それで、このジューサーはあと何個あるんだい?」


「今は50個弱です。これからは1週間で40個作る予定です。」


「私が私的に買っても良いかな?」


「10個くらいまでなら良いですけど、控えめにお願いしますよ。」


「ああ、分かってる。では、これからもよろしく頼む、レオ君。私たちは良い友人になれそうだ。」


「はい、こちらこそ。」




 マーシャルさんは、僕があげたジューサー3個を大事そうに抱えながら帰っていった。ジューサーを売ることはできそうなので、あとはどれだけ客受けが良いかである。


「レオはスゴいなぁ。」


「そうかな?」


「そうだよ。あんなに喜んでいるマーシャルさんを見るのは、久しぶりだったよ。ジューサーのこと、これからも頑張れよ。」


「うん。」


応援してもらえることの幸せを噛みしめつつ、僕の夢を再確認した。大切な人と楽しく過ごすために、「人生ガチ攻略」頑張るぞぉ!


(あ、気合が入り過ぎて、爪楊枝弾が折れちゃったよ。)

ジューサーを売れることが決まりましたね。ジューサーの客受けはどうなるのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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