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付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第1章 僕と異世界と
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2、まな板と包丁と

 僕は女神様のちょっとしたミスにより死んでしまった。そのお詫びとして転生させてもらったのだが、ここで問題が発生した。そう、何もすることがなく暇なのである。魔法を試そうとしたが、赤ちゃんの体はしっかり動けず、まだ魔法を使えなかった。


(こうなったら、強行策しかないな。)     ぅえーん、ぅえーん、ぅえーん


バタンと、僕の部屋のドアを開ける音が聞こえ、メイドが2人入ってきた。僕の世話係のシアとミアである。


「レオ様がぐずり始めましたね。」


「そうね。どうしたのかしら?」


「さっき昼食を召し上がったばかりですし、おしめも大丈夫ですよ。」


(そっちじゃなくて、本だよ。)


「よく分からないけど、レオ様に本を読み聞かせてみたら、ミア?」


(お、さすがシア、よく分かってるな。)


「分かりましたわ、シア姉さん。えーと、この『白雲の下にある村』で良いですかね?普通は赤ちゃんに、この本を読むらしいですし。」


「そうね、それで問題ないと思うわよ。ミア、読み聞かせは頼んだわ。私はその間に、家事をしてきます。」


「任せてください、シア姉さん。では、レオ様、始めさせていただきます。」



 《これはずっと昔のお話。東の果てに小さな村がありました。・・・その村が困っている時、その村の領主様が子供を授かりました。その子供はスクスクと育ちま した。・・・やがて、その子供は村を覆っていた暗雲を全て追い払いました。その村は、いつまでも繁栄しましたとさ。》



「これでお終りです。レオ様も頑張ってくださいね。」


(まあ、ほどほどに頑張るよ。)


「あ、もうこんな時間だ。夕食の用意をしなきゃ!また会いましょう、レオ様。」


とりあえず、自力で歩けるとまでは言わないが、ハイハイくらいはできないと、自由にできなそうだった。付与魔法を試したり、本を読んだりするために、ハイハイの練習をすることにした。



 * * * * *



 僕が生まれてから半月以上が経ち、窓から見える栗の木から、栗のいがが落ち始めた。乳母車から下してもらった時に、コツコツと練習した甲斐があり、その頃になると僕はハイハイができるようになった。


「旦那様、大変です!レオ様がっ!」


家の廊下をドタドタと走って来る音が聞こえた。きっと、父さんのオリヴァーだろう。


「おい、レオがどうした!」


「旦那様、大変です!レオ様がっ、レオ様がっ!」


「それはさっきも聞いた!それで、何があった、ミア!」


「レオ様がハイハイをしています!どうすれば良いでしょうか?」


「何ッ!それは隣国が攻めてくるのより一大事だ。早くオルガを呼ばなくては!」


また、家の廊下をドタドタと走って行く音が聞こえた。(しばら)くするとすぐに、さっきよりも大勢が廊下を走って来る音が聞こえた。家の中で、ヌーが大移動を始めたようだった。


「みんな、レオがハイハイをしているぞ!」


「あ、本当だ。良かったな、オリヴァー。」


「ハイハイするまで、結構早かったな。」


「フィリップもセオドアも、テンションが低いなあ。これじゃあ、俺が親バカみたいじゃないか。」


「実際その通りだよ、オルガもそう思うよね。」


「そうねぇ。レオはお父さんみたいになっちゃダメよ。」


(オルガお母さんもはっきり言うなー。)


「ほら、オリヴァーは僕と一緒に仕事に戻るよ。今、溜め池を作っていて忙しいんだから。」


「分かったよ。じゃあ、またレオが何かしたら呼んでね。」


「分かりました、旦那様。」



 * * * * *



 そこから1年後、つまり僕が1歳半になる頃には、もう歩くのと話すのが不自由なくできるようになった。やはり、前世で経験しているのが大きいのだろう。僕が歩くのと話すのができるようになった時のことは、想像が付くので割愛させてもらう。


 この1年半でいくつかのことが分かった。僕の名前はレオ・マングスターである。他にも、色々な人が僕の周りにはいる。


 領主(僕の家):マングスター家   オリヴァー(25)  オルガ(24)

 財務係:フィナンス家    フィリップ(25)  フィリア(26)

 軍務係:リタリー家    セオドア(25)   セイラ(23)

   *()内は僕との年の差


 国が未開地を開拓するのを条件として貸した低利子借金を元手として、僕の家は開拓して新たに町を作ったらしい。これが3年前の話。父さんたち3人を主軸として、このグラント町は発展している。


 今日は初めて付与術を試すことにした。この世界には、職業レベルというものがあって、自分の職業を使えば使うほど職業レベルが上がっていき、使える能力と効果(自分の職業に応じた)も上がっていく。僕はまだLv1なので、物理付与しか使えない。


 物理付与と言えば、何かを鋭利にしたり、頑強にしたりするものである。


「母さん、包丁はちゃんと切れる?」


「そうねぇ、切れ味が落ちてきたから、そろそろ研いでもらわないとダメかしらね。レオ、包丁がどうかしたの?」


「『鋭利化Lv1』を付与。」


「レオ、何か言ったかしら?」


「何でも無いよ。包丁はどう?」


「さっきと同じに決まってるでしょ。」


そう言って、母さんは再び野菜に包丁を下した。すると、さっきよりも良く包丁が切れた気がした。いや、正確に言うと、良く切れすぎたのであった。包丁は野菜と共に、まな板までも切ってしまったのである。


当然、母さんは驚いた。   キャァーーー


当然、父さんは走って来る。   ドタドタドタドタ


「おいオルガ、どうした?」


(いや何で、叫び声だけで母さんだって分かるんだよ!)


「包丁がっ、包丁がっ。」


「包丁がどうした?いつもと同じじゃないのか?」


「あなた、この包丁を使ってみて。」


父さんも母さんと同じように、野菜に包丁を下すと、まな板がまた切れた。もう、まな板は3つに割れて使い物にならなくなってしまった。


「何だ、これは!」


「父さん、母さん、ごめんなさい。僕が余計な事をしたから...。」


「レオがやったのか!」


(これは怒られる流れなのか...。)


僕が首をすくめた時、僕は両脇の下を父さんに掴まれて、持ち上げられた。僕を待っていたのは、怒られることではなく、()()()()だった。


「レオは俺に似て天才だな!まさか、1歳半で魔法が使えるとは。レオッ、すごいぞぉ!なあ、オルガもそう思うだろ?」


「そうね、天才としか言えないはね。1歳半で普通に話せてるし。」


「大変だっ。」


「あら、どうしたの?」


「早く、フィリップとセオドアに自慢してこなくちゃ、いかんな。」


また、父さんはドタドタと廊下を走って行った。本当に、元気な父さんだなあ。さて、次は何に付与術をかけようか...。

包丁に鋭利Lv1を付与したら、まな板まで切れてしまいましたね。さすが、転生者と言ったところですね。


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあればアドバイスしていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
読み聞かせのところと周囲の人間の説明のところで改行が変なことになってるな。まぁこれは何の媒体で読むかにもよるかもだけど。 いくら前世の記憶があるとはいえここまで滑舌完璧に喋れるのはどうなんだ?怪しま…
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