19、問題点とジューサーと
付与をしまくって疲れたので、原っぱに寝そべっていると、僕の顔に誰かの影が覆いかぶさった。
(ん、誰かな?)
「レオ君、大丈夫かい。」
「あ、ラルクさん。」
僕と今話しているのはラルクさんと言って、2ヶ月前くらいに知り合った冒険者である。本人曰く冒険者らしいが、話し方や知識が学者のような人だった。
「レオ君、怪我はないかい?」
「はい、心体ともに元気いっぱいですよ。」
「それなら良かった。アイロンサウルスの幼体の前に、レオ君が倒れていたのを見た時は、背筋がひんやりしたよ。」
「そんなに危険な状況に見えました?」
「そりゃあ、岩山みたいな魔物の前に、小さい男の子が倒れていたらね。」
「それは心配をかけて、すみませんでした。」
「別に良いよ。レオ君が無事だったんだし。それで、このアイロンサウルスの幼体はどうしたの?誰が倒したんだ?」
(やっぱり、その質問をするよなぁ。2歳半がDランクの魔物かぁ。でも、この人なら秘密のままにしてくれるかな...。)
「実は、僕が...。」
「ああ、そうだろうな。それで、シアさんとミアさんに内緒にしておけば良いんですよね?」
「はい、助かります。」
ちょうどラルクさんが、自分のアイテムボックスにアイロンサウルス・幼体を入れ終わった時、ミアが両手に薬草を抱えながら、歩いて来た。
「レオ様、何か問題は起きませんでしたか?」
「う、うん...大丈夫だったよ。」
「それなら良いですけど。」
「うん、大人しくしてたからね。」
「そうですか。...あれ、どうしてこんなに立方体が落ちているんですか?」
「え...。」
確かに、足元を見ると立方体が、だいたい5マガジン分の40個落ちていた。これは、どこからどう見ても怪しい。まるで、大乱闘があったかのようである。
(し、しまったぁ。片付け忘れたぁー。)
「レオ様?」と、明らかに疑いの眼差しで見つめてくるミア。
「え...えっと、マガジンを落としたら、散らばっちゃったんだよ。」
「ふーん、そうですか。ラルクさんは何か知ってますか?」
(え、急にラルクさんに振るの?頼む、ラルクさん、話を合わせてくれ。)
「えっ、僕ですか。...別に...知りませんけど。それより、昼食を食べに行きませんか?美味しい料理屋を知っているんですよ、最近できた新しいのを。」
「...まあ、そういうことにしておきましょう。」
「それで、料理屋は?」
「良いですよ、3人で行きましょうか。」
さすが、何でも知っているラルクさんがくれたお店は当たりだった。安いし、美味しい料理がたくさんあった。
「ラルクさん、これ美味しいですね。」
「そうだろ、レオ君。あ、ちょっとお願いがあるんだけど。」
「何ですか?」
「お父さんに言って欲しいんだけどな。」と言って、ラルクさんが話し始めた。ラルクさんによると、この町で起きている問題を改善して欲しいというものだった。主に、問題は4つあった。
①最近、冒険者の需要が下がっているので、それの改善。
②物価が高騰しているので、それの沈静化。
③無職の人への仕事の供給。
④出稼ぎに来た冒険者への警戒。
僕が感じていた問題もあれば、そうでないものもあった。特に、4つ目なんて意外である。父さんが一番嫌いそうなものだから。
「ラルクさん、どうして出稼ぎに来た冒険者への警戒が必要なんですか?」
「力を持った人は、時々自分より弱い人をいじめるんだよ。あとは、お金が欲しくて、他人の獲物を横取りしたり、怪しげな物を売ったりしているんだよ。」
「え、そんな冒険者がいるんですか?」
「まあ、一部だけどね。真っ当に仕事をしている人から見たら、ただの迷惑なんだよね。」
「へえー、そんなことがあるんですね。」
「なるべく解決してもらえるように協力してね。」
「え、協力?」
「領主様はレオ君の言う事はよく聞くらしいから、しっかり交渉してね。」
(冒険者にも、父さんが親バカだって知られているのかよ...。)
「はい。でも、冒険者の需要の増加、物価のの沈静化、仕事の供給はもうすぐ解決しますよ。あと、1ヶ月くらいで。」
「え、4つ中3つも!」
「はい、任せてください。」
「分かった、よろしく頼むよ。」
(さすがの学者先生でも、僕が何をしようとしているか分かるまい、ハッハッハ。あれ、何か悪役みたいだな、そんなんじゃないのに。)
ラルクさんと約束してしまったので、家に帰ってから、急いで仕事を始めることにした。まずは、フィリップさん(財務係)に頼まれていた「好きな味の果実液を作れる装置」の制作からである。
まあ、これは以前から考えていて、条件が揃うまで待っていただけなので、簡単な仕事である。条件とは、僕の付与術師レベルを上げて、付与で「if(条件)」が使えるようになることである。
条件と材料が揃ったことだし、早速作り始めることにした。材料は藁細工の鍋(円柱状の物)、果物だけである。
(さて、始めるか。まずは、容器から作ろうかな。)
「密閉化Lv2、滑ら化Lv2を付与。」
(容器は完成だから、あとは鍋の蓋に付与をするだけだな。)
「if 2回目に、ゴムと触れた部分が円になる。(しっかり蓋しているということ)
中身に『液化Lv3』を転写する。」と、鍋の蓋に付与した。
(最後に、容器の縁に『ゴム化』を付与すれば完成だな。)
「ゴム化Lv2を付与。」
一通り付与を済ませると、僕が思っていたのと近いものができていた。あとは、試しに使ってみるだけである。食卓に置いてあったブドウをこの「好きな味の果実液を作れる装置」、通称ジューサーに入れた。使い方はとても簡単である。
①蓋を取って、中に果物・野菜を入れる。
②蓋を閉じる。
③②によって、転写が発動して、中身が液化される。
④蓋を開けて、中身をコップに移す。
(よしっ!簡単だし、美味しいし、完璧だな。)
ラルクさんの言った問題のうち3つを解決できる秘策とは?
まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。
もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。
今後とも八咫烏をよろしくお願いします。




