14、シアとミアと
僕が2歳の誕生日を迎えて変わったことが1つある。外出が解禁されたのである。ただし、シアとミアが一緒にいる場合に限られているが。シアとミアだけで大丈夫なのかと思った人へ、2人はただのメイドでは無いのである。
「レオ様、準備はできましたか?」
「うん、できたよ。」
「では、出発しましょう。」
外出が解禁されたので、僕はシアとミアと一緒にピクニックに行って、魔物や植物の観察をすることにした。もちろん、僕の左手には、父さんが買ってくれた魔物図鑑が乗っている。
門を通過し、家の敷地から出ると、馬車の中からでしか見たことがなかった町が広がっていた。決して広い町では無いが、商店街はそこそこ賑わっていた。
「シア、前より賑わいが増してない?」
(こういうのはシアの方が詳しいだろう。知のシア、武のミアみたいな感じだしな。)
「以前は、領主会合の時に見られたんですよね?」
「うん。領主会合かぁ、懐かしいな。」
「まだ懐かしいという程、時間は経っていませんよ。話を戻すと、今は麦踏みも終わり、ちょうど手が空いているのでしょう。」
「へえ、そうなんだ。」
ふと、右に目をやると、フィリップさんの奥さんのフィリアさんがいた。向こうも僕に気付いたらしく、僕に近寄ってきた。
「レオ君、久しぶりね。」
「僕の誕生日会以来ですね。」
「ところで、レオ君が家の敷地から出るなんて珍しいわね。」
「2歳になったので、外出が解禁されたんですよ。」
「あら、そうなの。良かったわね。今から、レオ君はどこへ行くのかしら?」
「僕たちはピクニックに行こうと思っています。」
「ピクニックというと、北西にある丘の方に行くのかしら?」
「はい、その予定です。」
「そう、楽しんできてね。メイドの方と離れないように気を付けてね。」
「分かりました。」
右にある商店街に目をやりつつ歩いて行くと、すぐに人が減り、田舎のような風景が広がり始めた。右にも、左にも、前にも、緑があった。
「レオ様、疲れてはいませんか?」
「うん、大丈夫だよ。」
「それなら良いですが。私たちが行く丘はあれですよ。」
ミアが指差した先を見ると、周囲より150mくらい盛り上がっている丘があった。丘の頂上までは1500mくらいだった。
「レオ様、少しよろしいでしょうか?」
「どうしたの、ミア?」
「体力を温存するために、私の魔獣に乗りませんか?」
(魔獣かぁ。歩くのも疲れたし、どんな魔獣なのか気になるな。)
「良いよ。乗ろう、乗ろう。」
「では、召喚しますね。」
ミアが「出でよ、ホースロン。」と言うと、目の前に少し大きい馬が現れた。体毛は白色、鬣は銀色で、どこかの絵画から出てきたような馬だった。
「ミア、これは?」と、目の前の馬に圧倒されながら聞いた。
(何だよ、この馬!絶対、とんでもなく貴重な魔獣だぞ。)
「ホースロンですよ。荷台を取り付けるので、待っててくださいね。」と言いながら、ミアはアイテムボックスのような場所から、荷台を取り出した。
「ホースロン?」
「はい。レオ様の魔物図鑑のホース種の項目に載っていますよ。」
「ありがと、シア。」
「いえ、お気になさらず。」
魔物はまず見た目で分類される。例えば、ホース種、ボウ種、スライム種のように。魔物図鑑をめくっていくと、確かにホース種の項目にホースロンがあった。
ホースロン(Dランク)
・物理攻撃のみ
・体毛は茶色または黒色、鬣の色も同じ。
・主に、広い原っぱに生息している。
・走るのが速く、複数体いるときは面倒。
・突進後の止まった時に攻撃すれば、倒しやすい。
・一般的には、馬車を引く馬として用いられる。 など
目の前にいるミアのホースロンを見ると、体毛は白色、鬣は銀色で、図鑑の絵とは少し違っていた。挙句の果てには、水魔法で自分の飲み水を出していた。
「あの、これって本当にホースロンなの?」
「はい、そうですよ。何か変な所でもありましたか?」
「変な所って言うか、図鑑のと全然違うんだよ。ほら、見てみて。」
「失礼いたします。...ああ、そういうことですか。私のはこっちです。」
ミアがページをめくった先には、確かにミアのホースロンと同じような馬があった。でも、全然さっきのホースロンとは違っていた。
銀色ホースロン(Bランク)
・物理攻撃
・水、風魔法攻撃
・体毛は白色、鬣は金色。
・ホースロンの色違いで、とても貴重な魔物。
・主に、高い岩山に生息している。
・高速で移動しながら、水、風属性の魔法を放つ。
・普通に倒すのは難しいので、スタミナが切れるまで待とう。 など
「えっ、何これ!」
「そんなに驚かれなくれも。」
「いや、だってBランクで貴重な魔物なんでしょ。それに、高い岩山にいるらしいし。」
「まあ、お姉様と私は少し名の知れた冒険者でしたから。」
「2人は冒険者だったの?」
(だから、父さんが『シアとミアを連れて行け。』って言ったんだ。)
「はい、昔の話ですが。では、荷台で申し訳ありませんが、載っいただけますか?」
「うん、分かった。」
「では、失礼します。」
Bランクの魔物が引く馬車なんて滅多に乗れない代物である。本当にきれいな銀色ホースロンが普通の荷台を引いているので、ギャップがすごいことになっていたが。
(それにしても、2人が冒険者だったとは...。まあ、魔物とか薬草とかについて教えてもらえるから良いんだけど。)
「レオ様。」
「どうしたの?」
「目的地に着きましたよ。もう12時なので、昼食を食べましょう。」
「え、もう着いたの?」
あたりを見回すと、確かに僕の目線より下に畑が広がっていた。さすが、図鑑にも高速で移動すると書いていただけのことはある。
(えっと、1500mを約20秒だから...時速270kmか。とんでもない速さだな。新幹線にも...いかん、いかん、僕はもうこの世界の住人なんだから、前世と比べるのはよそう。)
ミアに荷台から降ろしてもらうと、シアがもう昼食を広げていた。うちのメイドは仕事が早いし、料理も上手いから本当に助かる。これじゃあ、誰かの嫁にさせられないな。
シアとミアが元冒険者だったとは...。さて、この世界にはどんな魔物がいるのでしょうか?
まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。
もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。
今後とも八咫烏をよろしくお願いします。




