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付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第1章 僕と異世界と
10/58

10、毒魚と無毒化と

体調を崩してしまい、昨日は投稿ができませんでした。...ゴホッゴホッ

申し訳ありませんでした。

読者の皆様も、健康にどうかお気を付けください。


*ちなみに、筆者はゴッホではなく、ゴーギャンが好きです。

 読者の皆様は誰が好きですか?

 庭の柿の木から、赤く熟れた柿の実を収穫し終わった頃、ある問題が発生した。食事のおかずが作れないのである。決して、ふざけている訳ではない。洪水の影響で、川にいた食用魚が全滅し、食料が足りないのである。


ヴァイパー侯爵から救援物資が送られてくるものの、十分な量では無い。父さんたちのそう話している声が聞こえた。


「なあ、フィリップ(財務係)。何か妙案はないか?」


「そうですね...。」


「早く解決策を見つけないと、大変なことになるぞ!」


「主菜が無くなる程度で、大問題が起きますかね?」


「おお、起きるぞ。もし栄養が偏って、()()が病気になったらどうするんだ?子供がいるフィリップなら、俺の気持ちが分かるだろ?」


(え、領民の心配じゃないの?なんか、複雑な気持ちだな...。)


「いや...まあ、分かりますけど...。」


「じゃあ、解決策を至急見つけてくれ!これが最優先業務だ!」


「...分かりました。」


(僕たちのために頑張ってくれているのだから、僕も何かしないとな。まあ、僕に関係する事案を対処する時の、父さんのやる気があれば、どうにかできそうだけど...。)




 僕も解決策を見つけるために、父さんに現状を聞くことにした。


「父さん、魚が採れないの?」


「レオ、聞いていたのか...。」と、珍しく暗い顔をして、僕に話しかける父さん。


(やっぱり、子どもにこういう話を聞かれるのは嫌なんだろうな。でも...。)


「うん。」


「賢いレオなら、今何が起きているのか理解できたのだろう?」


「大体はね。」


「そうか。......レオの聞いていた通り、食用魚が一匹も採れないんだ。非常用の穀物を投入しているけど、これだけだと、この冬を越せないんだ。」


「ヴァイパー侯爵からの物資じゃ足りないの?」


「向こうは大規模討伐をしていて、それどころじゃないらしい。だから、父さんたちが動かないと、いけないんだ。うちのお金は、もう底をつきかけているけど...。」


「そっか...。」


「うん...。」


「ところで、魚は本当に一匹も採れないの?洪水だけで全滅はしないんじゃないの?」




 父さんは驚いたような顔になったが、すぐに「はあー」と溜め息をついた。


「やっぱり、レオはすごいな。レオが言った通り、魚が採れない訳じゃない。」


「じゃあ、どういうことなの?」


()()()()()魚が採れないんだよ。食べられない方を食べた人はいるんだが、その人はすぐに体調を崩して...。」


「毒を持っているの?」


「そうだよ。」


「でも、父さんは毒消しを持っているよね?」


「ああ。試してみたけど、効果は少なかったんだよ。」


「どうして?」


「フィリップ(いわ)く、毒が全身に染み込んでいるから、全ての毒を打ち消せないらしいよ。」


「そうなんだ...。」


(毒を消す......毒消しの効果がある......特定の効果を与える......あ、付与術だ!!確か『無毒化』の付与もあったはず!)


「父さん!!」


「急に大声を出してどうした?」


「僕、分かったかもしれないよ!」


「何が?」


「だから、毒を消す方法だよ!」


「本当か?」


「うん。実験したいから、毒を持った魚を持ってきて!」


「だが......分かった。そうしよう。」


「ありがと!」


「絶対に気を付けるんだぞ!ちょっとの油断が命取りになるからな。だから、今のうちに興奮を抑えとけよ。」


「分かった、そうするよ。」




 父さんは僕の気持ちを理解してくれたのか(まさか、顔から判断したのかな?)、すぐに魚を手配してくれた。物理付与の一種『無毒化』は以前、本で読んだことがあった。


少しすると、父さん、フィリップさん(財務係)、セオドアさん(軍務係)が小さな箱を丁寧に持ちながら、僕の家に来た。そして、それを慎重に食卓の上においた。


「レオ、用意ができたよ。さあ、始めていいよ。」


「分かったよ、父さん。フィリップさんとセオドアさんも、父さんの手伝い、ありがとうございます。」


「いえいえ。食料問題が解決するなら、何でも手伝いますよ。」


「そうだな。気にすんなよ、レオ君。」


「3人の期待に応えられるように頑張ります!」


「期待しているのは、父さんたちだけじゃないよ。この町の皆だよ。」


「うん、そうだね。」


「じゃあ、父さんたちは少し離れておくよ。」




 本によると、『無毒化』はそれなりに難しい付与である。まず、付与する対象の把握。次に、毒の分布の見極め。そして、全ての毒を消すイメージで付与。最後に、残った毒の量の測定である。もちろん、ずっと集中は保つ。


「対象の把握。」


(魚の輪郭が白くなったな。)


「分布の見極め。」


(多分、青くなった範囲に毒があるんだろう。)


「『無毒化』付与。」


(青色の範囲が無くなったな。)


「毒の測定。」


(安全限界量の100以下だ。付与成功かな。)




 僕の様子から、付与が終わったことが分かったのか、父さんたちが近寄ってきた。なんか、僕よりも、父さんたちの方が緊張している様子である。


「終わったのか?」


「...。」


(確かに付与は終わった。でも......本当に安全か確かめる必要があるよな。)


「どうしたんだ?」


「えっと...。」


「父さんに言ってみなさい。何でも協力するから。」


「安全か確かめる必要が...。」


「そうだな、じゃあ。」

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