10、毒魚と無毒化と
体調を崩してしまい、昨日は投稿ができませんでした。...ゴホッゴホッ
申し訳ありませんでした。
読者の皆様も、健康にどうかお気を付けください。
*ちなみに、筆者はゴッホではなく、ゴーギャンが好きです。
読者の皆様は誰が好きですか?
庭の柿の木から、赤く熟れた柿の実を収穫し終わった頃、ある問題が発生した。食事のおかずが作れないのである。決して、ふざけている訳ではない。洪水の影響で、川にいた食用魚が全滅し、食料が足りないのである。
ヴァイパー侯爵から救援物資が送られてくるものの、十分な量では無い。父さんたちのそう話している声が聞こえた。
「なあ、フィリップ(財務係)。何か妙案はないか?」
「そうですね...。」
「早く解決策を見つけないと、大変なことになるぞ!」
「主菜が無くなる程度で、大問題が起きますかね?」
「おお、起きるぞ。もし栄養が偏って、レオが病気になったらどうするんだ?子供がいるフィリップなら、俺の気持ちが分かるだろ?」
(え、領民の心配じゃないの?なんか、複雑な気持ちだな...。)
「いや...まあ、分かりますけど...。」
「じゃあ、解決策を至急見つけてくれ!これが最優先業務だ!」
「...分かりました。」
(僕たちのために頑張ってくれているのだから、僕も何かしないとな。まあ、僕に関係する事案を対処する時の、父さんのやる気があれば、どうにかできそうだけど...。)
僕も解決策を見つけるために、父さんに現状を聞くことにした。
「父さん、魚が採れないの?」
「レオ、聞いていたのか...。」と、珍しく暗い顔をして、僕に話しかける父さん。
(やっぱり、子どもにこういう話を聞かれるのは嫌なんだろうな。でも...。)
「うん。」
「賢いレオなら、今何が起きているのか理解できたのだろう?」
「大体はね。」
「そうか。......レオの聞いていた通り、食用魚が一匹も採れないんだ。非常用の穀物を投入しているけど、これだけだと、この冬を越せないんだ。」
「ヴァイパー侯爵からの物資じゃ足りないの?」
「向こうは大規模討伐をしていて、それどころじゃないらしい。だから、父さんたちが動かないと、いけないんだ。うちのお金は、もう底をつきかけているけど...。」
「そっか...。」
「うん...。」
「ところで、魚は本当に一匹も採れないの?洪水だけで全滅はしないんじゃないの?」
父さんは驚いたような顔になったが、すぐに「はあー」と溜め息をついた。
「やっぱり、レオはすごいな。レオが言った通り、魚が採れない訳じゃない。」
「じゃあ、どういうことなの?」
「食べられる魚が採れないんだよ。食べられない方を食べた人はいるんだが、その人はすぐに体調を崩して...。」
「毒を持っているの?」
「そうだよ。」
「でも、父さんは毒消しを持っているよね?」
「ああ。試してみたけど、効果は少なかったんだよ。」
「どうして?」
「フィリップ曰く、毒が全身に染み込んでいるから、全ての毒を打ち消せないらしいよ。」
「そうなんだ...。」
(毒を消す......毒消しの効果がある......特定の効果を与える......あ、付与術だ!!確か『無毒化』の付与もあったはず!)
「父さん!!」
「急に大声を出してどうした?」
「僕、分かったかもしれないよ!」
「何が?」
「だから、毒を消す方法だよ!」
「本当か?」
「うん。実験したいから、毒を持った魚を持ってきて!」
「だが......分かった。そうしよう。」
「ありがと!」
「絶対に気を付けるんだぞ!ちょっとの油断が命取りになるからな。だから、今のうちに興奮を抑えとけよ。」
「分かった、そうするよ。」
父さんは僕の気持ちを理解してくれたのか(まさか、顔から判断したのかな?)、すぐに魚を手配してくれた。物理付与の一種『無毒化』は以前、本で読んだことがあった。
少しすると、父さん、フィリップさん(財務係)、セオドアさん(軍務係)が小さな箱を丁寧に持ちながら、僕の家に来た。そして、それを慎重に食卓の上においた。
「レオ、用意ができたよ。さあ、始めていいよ。」
「分かったよ、父さん。フィリップさんとセオドアさんも、父さんの手伝い、ありがとうございます。」
「いえいえ。食料問題が解決するなら、何でも手伝いますよ。」
「そうだな。気にすんなよ、レオ君。」
「3人の期待に応えられるように頑張ります!」
「期待しているのは、父さんたちだけじゃないよ。この町の皆だよ。」
「うん、そうだね。」
「じゃあ、父さんたちは少し離れておくよ。」
本によると、『無毒化』はそれなりに難しい付与である。まず、付与する対象の把握。次に、毒の分布の見極め。そして、全ての毒を消すイメージで付与。最後に、残った毒の量の測定である。もちろん、ずっと集中は保つ。
「対象の把握。」
(魚の輪郭が白くなったな。)
「分布の見極め。」
(多分、青くなった範囲に毒があるんだろう。)
「『無毒化』付与。」
(青色の範囲が無くなったな。)
「毒の測定。」
(安全限界量の100以下だ。付与成功かな。)
僕の様子から、付与が終わったことが分かったのか、父さんたちが近寄ってきた。なんか、僕よりも、父さんたちの方が緊張している様子である。
「終わったのか?」
「...。」
(確かに付与は終わった。でも......本当に安全か確かめる必要があるよな。)
「どうしたんだ?」
「えっと...。」
「父さんに言ってみなさい。何でも協力するから。」
「安全か確かめる必要が...。」
「そうだな、じゃあ。」




