コソ泥と姫4
ドンドン音を立て魔物が扉に体当りしてくる。男は剣を閂にして扉を押さえ、姫は鍵穴をカリカリ引っ掻く。
男「どうだ!まだダメか?」
姫「もう少しだけど・・」
男「俺にヤらせて見なっ」
男がカリカリほじり出すと、すぐに詰まった針金を外す事が出来た。
男「おっ、やったーっ!外れたぜ!鍵を貸してみろ!」
姫から鍵を受け取ったが
男「あれ?開かねぇなぁ・・」
姫「だから言ったでしょ!あなたには開けれないって、鍵には魔法が掛かってて、私にしか開けれないの」
そう言って姫は鍵を取り上げ、引き出しを開けると、紙の首飾りを取り出し身に付ける。
男「ちっ!ホントに紙で出来てやんの!」
姫「言ったでしょ!母の手作りなの・・この首飾りには私を守る魔法が掛けられているのよ」
男「さっきから魔法魔法って、ホントかよ?」
姫「母は魔女だったの!」
と言った所で、扉が破られ魔物が雪崩れ込んで来た!魔物は、真っ先に姫を目掛けて行ったが、姫に指一本触れる事が出来ない・・姫は、大勢の魔物に囲まれても平気な顔で
姫「あなた達が私を食べようとしても無理ですから!」
魔物「グルルルル~ッ・・ちっきしょおー・・何故だ?近付けねぇ・・」
魔物は姫を諦め、男に狙いを変える!
男「おっ!俺を食う気か!不味いぞ俺は・・」
魔物は男に手を伸ばす!が、こっちも指一本触れる事が出来ない・・・
魔物「何故だ?グルルルル~ッ・・どうなってる・・近付けねぇぞ!」
男「へへーっ!俺は、神に認められた大泥棒!誰も俺の邪魔は出来ねぇさ!」
姫「どういう事なの?」
男「俺が盗みに入ってる間は、神の力で誰も俺の邪魔をする事が出来ないのさ!」
姫「そんな・・なぜ神様が泥棒の見方を?」
男「へっへっへっ!そいつは俺が昔、暴れまくったからだ!泥棒しまくって、人を殺しまくったのさ!連続強盗殺人って奴だな!」
姫「神様は、あなたを罰っしないの?」
男「罰?へっ!神は、そんなこと出来ねぇよ!俺が殺しまくってたら『頼むから人を殺さないでくれ』って頼んで来て『お前が盗みを働いてる間は、誰も邪魔を出来ない様にするから!』だってよ!で、俺が人を殺めなければ、盗みに入ってる間は誰も手出し出来ねぇ様にしてくれたって訳よ!」
姫「・・・」
魔物「俺達・・ここに居ても意味ないんで他に行きます・・・」
魔物達がゾロゾロ出て行く・・・
姫「あなたも、行ったら?」
男「まだ何も盗んでねぇから行かねぇ・・俺は大泥棒だからなっ!」
姫「何か盗むつもり?」
男「おぅ!お前の首飾りだ!魔法か神か勝負だな!」
姫「あなたが神様って・・・」
男は、余裕の笑みを浮かべ首飾りに手を伸ばしたが、ピタッっと手が止まり触れられない!姫は、それを見てボッコボコに男を殴った!
男「うぅ・・いててててぇ~・・」
姫「魔法の勝ちね!」
男「ちっ・ちきしょおーっ!」
男は諦めず、もう一度手を伸ばしたが、やっぱり触れらず、更に姫が男を殴り続けると男は堪らず城から逃げていく・・・
姫「やっぱり、あの男!ただのコソ泥だわ・・」
(終わり)