表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コソ泥と姫  作者: 生丸八光
1/4

コソ泥と姫1

魔物が城に攻め込んで来るってんで、みんな逃げ出し、城はもぬけの殻。

誰もいない城で鼻唄を歌い、ご機嫌な様子で物色する一人の男。


男「フフン♪フン♪フーン♪タラッタ♪タラッタ♪タラララ~ン♪」


金目の物を探し、踊りながら部屋から部屋へ探し回る。が、出てくるのはガラクタばかり・・・


男「この城、ハズレだな・・」


溜め息を付き座り込むと、隣の部屋から物音が聞こえてきた。

男がドアの隙間から『そーっ』と覗き込むと、女が1人・・綺麗なドレスを着ている女は、急いで何かを探している様だ。


男『この女・・・どうやら、この城の姫だな・・』


男は、そーっとドアを開けると


男「姫!こんな所で何をしてるんです!早くお逃げください。魔物が押し寄せて来ます!」


姫「分かってるわ!でもアレを忘れて戻ってきたの!」


男「アレとは何です?そんな大事なモノですか?」


姫「母の形見の首飾りよ!」


男『母の形見の首飾り・・・なるほど、ダイヤにサファイア、宝石がタップリってヤツだな・・』


男「姫!私も一緒に探しましょう!」


姫「いいの、あなたは逃げて!私1人で探すから!」


男「イヤイヤ、そう言うわけには参りません。姫を1人置いて、ここから逃げ出す事など出来ましょうか!」


男も一緒に探し出す。タンスの引き出しを引っこ抜いてブチまけ、ソファやテーブルをひっくり返す。その様子を見た姫は手を止め、男に目を向ける・・・


姫「あなたは、どなたです?見慣れない顔ですけど・・・」


男「そうですか?私は城の者ですよ。それより、急がないと魔物が来ます!どんな首飾りです?」


姫は男の様子を眺め、しばらく考え込む・・


姫「分かった!あなた泥棒ね!逃げ出して誰も居なくなった所に忍び込む、火事場泥棒でしょ!」


男「何を言ってるんです。早く見つけて逃げましょう!」


姫「城の者なら知ってるはずよ!どんな首飾りなのか!」


男「知ってますとも。でっかい宝石の付いた豪華なヤツでしょ!」


姫「ほら、知らない!宝石なんか付いてないの、紙で作った首飾りだから」


男はピタリと手を止め


男「紙?紙って、鼻かんで捨てるアノ紙の事?」


姫「そう、色の付けた紙だけど・・」


男はガッカリ座り込む・・


男「はぁ・・ったく!とんだ貧乏城に来ちまったぜ!」


姫「ほら、やっぱりコソ泥だ!」


男「コソ泥じゃねぇ!大泥棒よぉー!」


男は腕を組み、大物ぶって姫を睨み付けた!が、姫は相手にせず、また探し始める・・・男は姫の注意を引こうともう一度。


男「俺はコソ泥じゃねぇぞ!大泥棒だぞ!・・・オ・オイ、聞いてるのか?」


姫「聞いてない!」


男はイジケタのか、寂しそうに寝転がった・・・












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ