28.爀灼大社
短い。でも、追加投稿とかはないのでご了承下さい
その魔宮に入れば、橙の輝きに真っ先に迎えられた。
それは大地の奥深くより湧き出る、惑星の血潮たる熔岩の放つ熱光。世界を灼き尽くす破壊の権化にして、生命を生み出した熱源たるそれが、魔宮内部を河川のように流れていた。
自然の威容その一端が、そこにはあった。
そして、それを飾る額縁のように、巌窟は猛々しくも荘厳たる姿でもって空間を構築していた。
「なんとも美しくも恐ろしき光景だ」
「嗚呼、素晴らしき御業にございましょう」
感歎せざるを得ぬ。
先代は、芸術家でもあったようだ。
これは、確かに大社である。ミズホの民が、崇めるにたる神威である。
灼熱の河を平然と泳ぐ怪魚も、巌窟の鋭利な壁を這う蜥蜴も、小さな火山を背負う亀も、全てが調和している。
……だが、いつまでも浸っているわけにはいかぬ。
「行くぞ、リリス」
「はい、ネモ様」
恍惚としたリリスに声を掛け、正気に戻す。それを確認して、我は歩き出した。
魔宮の守護者たる魔物たちが、我らに襲い掛かることはない。ここは、竜王の一柱たる炎竜王を保護するための魔宮。低位の魔物たるゴブリンたちよりも、高位の性能を有している。
それは、知能であったり、感覚であったり、強さであったり、およそ全ての項目で圧倒的だ。
故に、我が二代目魔王たることを彼らは既に理解している。
我らは悠然と人類が未だ攻略し得ぬ魔宮の奥地へと進んでゆく。最大の障害たる魔物は従順で、流れる熔岩の放つ熱光による影響は、仮初の肉体でしかない我らには皆無である。
止めるモノは何も無く、ただ偉大なりし自然の姿を見ながらの気軽な散歩だ。
人類ならば落ちては助からぬ灼熱の湖に浮かぶ足場を渡ることも、飛沫を浴びるだけで炭化しそうな灼熱の滝の側を通ることも、問題になりはしないのだ。
そう時間は掛からずに、最奥が見えてくる。
何かの儀式場が如き、円形の広大な広間。その円周には、堀のように熔岩が流れている。
魔宮核が安置されているのだろう石造の小さな祠が、奥に見える。
しかし、この場に辿り着いた者が、真っ先に気にするのは人類にとっても価値あるその宝玉ではなかろう。
余りに巨大な体躯。天を衝くような金色の角は、左右に二本ずつ、大角と小角がゆったりと曲線を描いていた。その身を覆う紅蓮の鱗は、まるで火焔そのものの如く色合いを変化させる。荒々しくも頑強にして鋭利な爪牙がギラつく。大翼の羽ばたきは熱波を放ち、長尾の一振りが地を震わす。
縦長の瞳孔を持つ紅の瞳が、既にこちらを威圧的に覗いていた。
それこそは、竜脈の管理者。世界を整える役目を負った最強の生命体。
七大竜王が一柱、炎竜王。
短くてすいません。でも、お願いはします。
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