神様は気の向くままに
え、神様? 全く、冗談がお好きな方だ。
こんな何とは言わないけど色々と小さい美少女が神様ー? 信じられるかぁ!……待てよ?
こんな森の中でこんなか弱そうな子が生き残れる? 答えはNO。
信じたくはない、が……
チラッとあのかわいい子の方を向く。
綺麗な銀髪、白い肌、真紅の瞳、黒い服装。
やっぱりかわいい。
笑顔を見せてくれた。
かわいい。
じゃなくって。
神様って……もっと……こう……威厳バリバリオーラMAXみたいなイメージだったけどこの子のおかげでそのイメージが砂になって消えていく。
は、話しかけてみるか……
『モジモジしてるけど悩み事かな? よかったら聞いてあげようか?』
先に向こうから話しやがった!何か返事しないと……
こんにちは! あれ? そうだ! 声が出ないんだった俺。
マズイ! このままでは不敬罪で殺される!
『ねえねえ、どうしたの? あ、まさか喋れないの? じゃあしょうがないか、こっちの用件だけ話しちゃうね。』
え、まさかの一方的対談!? まあしょうがないか。
喋れないし。
まあ言葉も通じるしいきなり殺しにかかってこないだけマシか。
でもさー、そこは神様パワーでどうにかできないのー? まぁ前世引きこもりゲーマーだった俺がこんなかわいい子と対談なんてこっちがもたないけどさ? やっぱ年頃の男の子には刺激が強いねー異世界。
『君にはお詫びをしに来たんだ、どうやら世界の抑止力が誤作動を起こしたっぽくてね。
君は本来この世界で勇者になるはずだったんだ。
きみの力が強すぎて抑止力が誤作動を起こすなんて普通ならありえないんだけど……今もう一回会ってみてわかったよ。
君、強くなるよ。
逆によかったね、人間じゃ強さに限界があるから中位種族の蛇に生まれ変わったのは運命かも。
上位種族の龍目指して頑張ってね。
それじゃ。』
そう言って彼女は消えていった。
え? なんで消えたの? 神様パワー?
いやそんなことはどうでもいい!
まずは出された情報を整理しようか。
知識とは力なり。
まずは。
抑止力とはなんぞや?
なんか生前のゲームだと強すぎる力が出たときにそれを抑える対の力だかなんだか。
魔王に対する勇者みたいなイメージかな。
でもこの世界でそれが通じるかはわからない。
話を聞いた感じだとそんな感じだったけどね。
考えながら木の実を頬張る。
次だ。
この世界に龍がいることがわかった。
しかもゆくゆくは龍に進化できるとも言ってた! やったー! 勝ち組では〜? ウォッホン!
慢心はいけない。
でもさー、しょうがないと思うんだ。
だって龍だぜ? 男のロマン!
金銀財宝を守るため勇者と戦う!
あれ? 勇者と戦うってことは悪役ポジション? まあそれでもロマンはロマンだ。
夢が広がる〜!おっとよだれが。
そのためにも早く森をでないと!
なによりも夢とロマンのために!