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偵察と歓待

前話が修正したはずが出来てなかったんで、ちょろっと弄りました。

本筋に変わりはありません。



 時間が無いと言いつつも、聖地とやらを上空からざっと見るだけ見た。

 ベスターがコボルト達を送るのに多少時間が掛かるので、別に時間を合わす必要は無いのだけど何となく思ったのだ。

 ベスターが帰って来るまでならざっと見てもいいかなって。

 観光地化してるとは聞いていたが、遠くから見ると普通の町なのだ。

 違う点は町の中心地にパルテノン神殿みたいなのがあって、そこがジャポニー神とやらが降臨した場所だとかなんとか。

 実際どうなのかは知らないが、ジャポニー教の神殿を建てて聖地として扱い始めたのは一万年以上前とか言われていて、建物も魔法による保護が無ければとっくの昔に朽ちている事だろう。

 うーむ、昔の人間って感性が似てるのか知らないが、建物の系統が元の世界と似るのは何なんだろう。

 ざっと見てから空中でフローラさんの開いた転移門に入り王都に戻ると、コボルトを送り届けていたベスターも丁度帰って来た所だった。

 そしてリビングで普通に昼食を済ますと、ベスターは意気揚々と立ち上がる。


「では、征服者として振舞って来よう」


 そう言ってフローラさんの転移門で去って行った。


「さて、俺も会議に出て来ないとか」


 そう言って辺りを見渡す。

 誰を連れて行こうかなっと。

 まぁ悩む前に既に決めているんだけど。


「シャルとシエル、付いて来て欲しいんだけど」

「仕方ない」

「はーい」


 王国の政治関係はシャルが一番詳しいし、シエルも王女としての知識もあればコボルトとゴブリンの戦いも見ている。

 今日の会議はオーク関係と思いきやカンパとゴブリンの事になるだろうと予想しているし、それならこの二人を連れて行けばいいだろう。


「私達はどうしてたらいい?」

「何も無いなら私は教会に行こうかな」

「それなら私は学校にでも顔出してこようかしら」


 千絵と楓子はさっきのがただの遠足になってしまったので、何か意味のある事でもやりたいのだろうか。

 何もないならのんびりしてればいいのに。


「とりあえず何かお願いする事は無いから、好きにしてていいよ」

「って言われると智也に付いていくわよ?」

「だよねー」


 二人してニヤニヤ笑いながら言うから困るのだ。

 別に来てもいいけどやる事があるわけも無いし。


「有意義に時間を使いなさい」

「有意義よねぇ?」

「ねー」


 ここで女子高生ノリとかやめて欲しいが、まぁ各々好きに動く事だろう。

 うーん、さっきの埋め合わせに、一通り終わったら聖地巡礼がてら数日間のんびりできたらいいのにな。

 んである意味一番の問題児であるトラ子さんは、午前中お留守番させた事で拗ねてふて寝している。

 今日は人型のまま窓際の日向にあたっているが、やはり尻尾がふにふにと動いている。

 一度は連れて行こうと思ったのだが、ゴブリンを見てどう言う反応をするかわからなかったから止めた。

 と言うのも、大猫モードだとゴブリンが丁度良く遊べるサイズ感で、こっちに敵意を向けて来るから余計に狩猟本能を刺激しそうな気がしたのだ。

 実際連れて行ってあのナイフで切られてたらと思うと、その選択は間違いじゃなかったと思うのだ。

 今回は危ないから連れて行けないと言って聞かせたので、この間ほど拗ねているようではなさそうなのが幸いだ。

 だが、またこの間のように泣かれても面倒なので、トラ子を刺激しないようにリビングを出ると会議室へ直行した。

 幼児のようで幼児と違う点は、放っておいても事故等の心配が無い事だろう。

 千絵と楓子も一緒にリビングを出て各々の部屋に行ったようだ。


 会議室にはルーベルトの爺様が一番に来ているだけで、他の面々はまだのようだった。 

 そりゃ一時間弱は時間あるしな。


「早いですね、ハイリッヒ卿」

「人目が無ければ爺様でかまわんよ」

「んじゃルーベンスの爺様、現場からあんな聖地が近いとは思いませんでした」

「やはりあの森だったのか……」


 と言う事は、やはり予想していたようだ。


「それでどうだったのだ」

「コボルトが勝ちましたが、ゴブリンの危険性が良くわかりました」

「数が多いからか?」


 ルーベンスの爺様も元は近衛兵団の団長だ。

 ゴブリン如きと思っているのかと思ったら、俺の言葉に小さく頷いていた。


「それもですけど毒が問題ですね」

「毒は解毒剤を仕込んでおく事である程度対応できる。数と毒が揃うと手が付けられん。そうなったら魔法師団に頼んだ方が無難だ」

「でも爺様なら問題なく倒しそうですけど」

「それが特性と言う物だ、だがしかし人間の体力にも限界はあるし、対応できる数にも限界はあるのだ」


 偶にこうして他の公爵家がいない場所で話す事がある。

 ルーベンスの爺様は公爵家は公爵家の働きがあり、王家には王家の働きがあると区別して考える人で、今の王国のシステムを維持したい人の一人だった。


「にしてもそうか、コボルトが勝ったか」

「俺としては今回の件で、コボルトをもっと認めてもいいと思っているのですけど」

「……トモヤ、君は直接話せるからそう思えるのだ。私としてもコボルトは討伐対象と言う印象がどうしても強い。そんな私の考えを変える事が出来るのかな?」

「変えたいとは思いますが、さてどうでしょうか。ただ、信じられないでしょうが彼はとても紳士なんです」

「魔物が紳士か……。常識が塗り替えられる事ばかりだな……」

「あ、そうだ爺様」


 先に聞いておかなければならない事があった。


「今日の議題になるであろうカンパの件なんですが」

「トモヤ達が出す事は無い。これは公爵家の問題だからな」

「――じゃ、やっぱカンパの話はあるんですね」

「うむ。ハナから王家やトモヤの所に出させる気は無かったからな」


 だからこっちに話を流さなかったと言う事か。


「でもいいんですか?」

「分家の連中の中には、実は王家がたんまりと金を貯めてると思ってる馬鹿がいる。王族が表向きのあんな質素な生活をしているわけが無いってな」

「そんな金があったら働かず旅行に行きたいですね」

「そう言えばトモヤよ、まだ聖地へ行っておらんらしいではないか」

「正確にはさっき上空からちょろっと見ました」

「では今度休みが出来たら行ってくるんだ。これまではエルフだから気にされなかったが、人間が王になるのなら聖地に行かねば一気に反感を持つ者が出るぞ。のう、シェリール王女よ」

「ええ、時間が出来たら行ってきますわ」


 シャルとシェリールのギャップに笑いそうになるが気合で堪えた。


「ぷっ」

「シエル。貴女、後で話があるから覚悟しなさい」


 一時期は慣れたのに、王城に移り住んでからシャルでいる時間が更に増えたせいで、シェリールがシャルだと実感しただけで笑いがこみあげてくるのだ。


「シェリール王女が一緒なら大丈夫だと思うが、聖地は他の国からの巡礼者が多い。文化の違いもある。問題を起こさぬようにな」

「うーん……、どちらかと言えばトラ子の存在が危ういような気が……」

「魔獣化した猫か……。連れて行かぬのが一番だろうが、連れて行かねば大変な目に遭うわけだ」


 正直な所、トラ子は外部の人間に怖がられている。

 この場合の外部とは俺の家族以外を指すが、そりゃ頭に猫耳を付けて尻尾ふりふりの人型生物なんて、この世界じゃコスプレ文化も無いし異質でしかない。

 その上、実は猫の魔獣ですとなれば近づきたくないのは当然で、会議にトラ子が付いてくるとあからさまに怯える人もいる位だ。

 ピレネー家の当主とか。

 そんなトラ子を他国の人間がいる前に連れ出すなんて恐ろしくてしょうがない。

 警備の兵士とか呼ばれて釈明して回るハメになるのが何となく目に浮かぶ。

 そんな話をしてたらスズウキ家とシェーバー家の当主が揃って来たので、ルーベルトの爺様との歓談はそれまでとなった。

 結局カンパの件はルーベルトの爺様が主導して王家側からは無しで確定した。

 そしてコボルトの件をゴブリンの件に絡めて軽く話してみた所、やはり反応が良くなかったので焦らずゆっくりやる事にした。

 見た目が人と違う、言葉が通じないと言うのはやはり大きな問題なのだ。




 フローラの転移門から出た先は、なんと堂々と玉座の間だった。

 と言う事は何らかの方法で一度入っているわけだが、透明化の魔法を使いこなせるフローラならば何の不思議もあるまい。

 さて、目の前には人間のように装ったオークが玉座に座っているわけだが、恐らく旧サウスルタンの王の衣装なのだろう。

 それはまぁいいが、サイズが全く合わない王冠を被ってるとは思わず、つい軽く失笑してしまった。


「いや失敬、そこまで人の真似をしたがるものかと思ってな」


 この玉座の間には王になりたいオークの他にも何体かオークがいたが、そのほとんどが(はべ)らす為の雌のオークらしい。

 武装したオークが慌てて入り口側からこっちへ来るが、振り向いて軽く睨むだけで足を止めた。

 魔物とは単純な力関係による上下関係で社会が構成されている事が殆どだ。

 そしてオークは知能が高いが故に、自分よりも上だと感じれば自然と心が土下座してしまう。

 流石に目の前のオークの魔王は簡単に心が折れはしなかったようだが、額に脂汗を浮かべて歯を食いしばっていた。


「で、だ。私の物にした王国に攻め込んだ不届き物を一万程葬ったのだが、お前の差し金と言う事でいいのだな?」

「ぬっ……、お初にお目にかかる、魔人の王よ。そのような言いがかりを付けにわざわざ参ったのか」

「うむ。知らぬからと言って許される事では無かろう。私の物に手を出したのだからな」


 実際普通に怒りはある。

 平和な王国を乱しおって、魔人の国の発展のためにトモヤに色々協力してもらうつもりが先送りになるではないか。


「それとも何か、手を出しに来たのではなく我が方にあいさつに来たと言うのなら、そうだな。一万の兵の命を簡単に奪ってしまって済まないと言っておこう。さてどちらかな?」

「下調べでは人間の王国だったはずだが」

「タイミングが悪かったようだな。私ならばあの程度の王国、一日もあれば制圧出来るわ」


 訝しんでいるようではある。

 だが、こちらの侵攻速度がオークの考えの及ぶレベルで無い事はわかっているだろう。

 それに下調べと言っても、恐らくサウスルタンの人間の話を鵜呑みにしただけだろうしな。


「そうか、済まなかった魔人の王よ。既に制圧しているとは知らなかった」

「済まぬでは許さぬと言ったばかりなのだがな」

「お詫びと言っては何だが歓待させていただこう。何、この地のメシは美味くは無いが酒は上等だ」

「ふむ、では何故ここまで北上して来たのかついでに聞こうではないか。そもそもお前たちは南の住人なのだからな」


 オークの魔王が侍らせている雌オークの中から一体をこちらに寄越した。

 どうやら部屋に案内してくれるらしい。


「魔人の王よ。王国の人間はどうしたのだ」

「ああ、雑魚が家畜にするとか騒いでおったな。奴等には適当に生活をしてもらって適度に稼いでもらわなければならん。ほったらかしだ」

「そうか」


 わざわざ退室するタイミングで一体何なのだと思ったが、その一言でわかった。

 奴は諦めていない。

 いずれ人を家畜とするべく侵攻を再開するだろう。

 それだけの気概があるのであれば魔王としては一流と言えなくとも立派な物だ。

 一流なら素直に詫びて賠償の交渉に持ち込み、その後で正式に不可侵条約を結ぶか交流を持つための交渉をするだろう。


 その晩は予告通り宴が催されたのだが、これが何とも胸糞悪い物だった。

 サウスルタンは共和国だったが、大昔はサウスルタン王国だった。

 この城もその当時の物だろうし、奴が纏う格好も恐らくその当時の物のレプリカか何かを展示してあったのだと思う。

 だからそれらを纏って城の広間で宴をするのは構わない。

 だが、そこら中に逆さに吊るされて血抜きをしている最中の人間がいたら食欲も失せる。

 全て男である所を見る限り、女性は一応生かされているのだろう。

 血抜きが終わった個体は一度捌いて洗われ、その場で調理されていく。

 私が人の姿をしている事への当てつけじゃなかろうか。


「貴様らは人も食らうのだな」

「お気に召さぬか魔人の王よ」

「何分、元人間なのでな。共食いの趣味は無い」

「そうか、仕方ない。では普通の料理をお持ちしよう」


 そう言って傍に控えている雌オークに何か耳打ちすると、その雌オークはすぐに何処かへ行ってしまった。

 そして少しすると普通の料理が並ぶのだ。

 その量と出て来るまでの時間から、こいつはわざとだなと言う事がわかる。

 その間も人間の食肉加工が進んでいた。

 まだ生きている人間を手に掛けようと言うのならば、不愉快だから下げろとでも言ってとりあえずの延命はしてやれる。

 だが、既に血抜きをされている状態で入場したので、最早彼らを助ける事は叶わない。


「で、何故北上してきたのだ。貴様等には寒かろう」

「今年の赤道直下は今の時期で既に住める環境じゃ無い。そりゃ俺も平和に暮らすのが一番だとよーくわかっているつもりだが、同族を死なすわけにもいかねえ。なんせ魔王だからな」


 どうやら無理して敬語を使っていたらしく、話し始めたら途端に崩れた。


「亜人共も暮らしていけねえと嘆いていた。だから俺は決めたのさ。この国を、そしてエルフの国を落としてやろうってな」

「人を殺してもか」

「あんなん家畜か苗床でしかねえ」

「にしても何故わざわざ王国まで狙うのだ。地脈の空洞があるとは言え、通常の陸路では不便が過ぎるだろう」

「狙いはエルフだ。アレはきっと美味いぞぉ」


 こいつは食欲で動いているのだろうか。


「まぁいいが、とは言えそこまで北上したら、王国のみならず付近の国家と、人間と戦争になるだろう。どうするつもりだったのだ」

「そんなもん関係ねえな。俺は強い。そして俺達は強い。この辺りで真っ向から戦いたくないのはオタクら魔人位なものだ」

「では私の魔力が漏れてきてさぞ驚いたろう」

「ああ、正直あんたが来た時には死んだと思ったさ」


 何ならいっその事殺してもいいのだが、殺したことによる混乱で捕虜が処分されないとも限らない。


「なぁ魔人の王。俺と協力しないか?」

「どのようなだ」

「そっちで人間を育ててうちに出荷してくれ」

「見返りは?」

「金でも鉱物でもなんでもいい」


 どうも奴等からすれば人間とは御馳走らしい。

 ふざけた話だ。


「人間は育つのが遅くていけねえ。だが国規模で飼育して数を増やすとなればある程度の数は安定して供給できるだろ」

「残念ながら人間は貴重な労働力でな。餌に出来るような人間など居らぬよ」

「ちぇっ、じゃあてめえで適当に掻っ攫って来るからいいよ」


 こいつは心底人間なんて家畜と思っているのだろうな。

 さて、果たしてその家畜扱いされた人間はどうしているかと言うと、晩餐の前にこっそり抜け出して街を見て来た。

 透明化に魔力を漏らさぬシールドを多重に張ったから、勘の鋭いウィザードでもいない限り見つかりはしないだろう。

 完全に隠れているようで、ぽっかり魔力の無い空間が出来るからトモヤくらい見れるウィザードなら発見される恐れがある。

 まぁ奴の目は特別と言っていいレベルだから大丈夫だろうが。

 街にはオークだけではなく亜人も普通に歩いていて、どうやらオークと亜人が結託――と言うかオーク達と仲良くしているようだ。

 何か所か人間の収容所として使われている大きな建物があったのだが、亜人共は怖がってそこに近寄らない。

 と言う事は人間を言葉の通り食い物にしようとしているのはオークだけで、亜人は南の暑さが深刻で逃げて来ただけなのだろう。

 あのオークの魔王は一部分だけを見ればいい奴なのだろうが、残念ながら私は人間の味方だ。

 魔力探知を駆使して計五か所になる捕虜収容所の場所を確認して、さぁ帰ろうと言う所でゴミの集積所を見つけてしまった。

 そこに無造作に転がる人骨も。

 それを見て恐らく食うのだろうとは思っていたが、まさか吊るして血抜きのデモンストレーションがあるとは思ってもみなかった。


「じゃああれだ、俺達はそっちにちょっかいを出さない。だからそっちも俺達の事は気にしないでくれ」

「エルフの国を攻め落とすのではなかったのか?」

「もうあんたの国だ」

「うむ。――話は戻るが、南からどうやって来たのだ?」

「ああ、地脈だよ。この王国の中央に峡谷があるのを知っているだろう」

「ああ、下を流れるのは川のような海と言う不思議な場所だな」


 その水が王国東に注いで海となっているのだから、結構な水量があるはずだ。


「その下の方に地脈が空中を通って南に向かってる所があったんだが、この間急に枯れて隙間が通れるようになったんだ。後はウィザードに地面を掘らせて地脈まで降りて、適当に進んで上の魔力を調べて、ここがサウスルタンの首都だなと辺りを付けて一斉に攻撃よ」

「その地脈を使って王国にも来たわけだ」

「ああ」

「不愉快だから今後塞ぐかもしれん」

「あんたに任せるよ」


 どうやら表立って盾突く気は無いらしいな。

 元々サウスルタンと言う国自体が割と特殊な立地ではあったが、陸路で普通に攻められていたら簡単に落ちるほど脆い国でも無かったはずだ。

 それこそ渓谷の橋を落として南を捨てれば侵攻は止まる。

 だから恐らく偶然のタイミングだったのだろう。 

 侵攻のタイミングと地脈が枯れたタイミングが合ってしまい、それを利用して易々と征服してしまったのだ。

 吊るされたり捌かれた人を見て失せた食欲でもある程度食べると、そろそろ宴としても終わりなのか食肉加工された者達も片づけられた。

 そして引きずられて連れてこられたのは裸に剥かれた人の娘たちだ。


「本来なら食後のデザートにって勧めるつもりだったんだが、好きにすればいい」

「生憎だが連れがやきもちを焼くのでな」

「じゃあお前ら下げろ」

「――が、頂けると言うのなら頂いておこう」

「ん、そうか。あんたも物好きだな」


 絶対に違うぞと斜め後ろに立つフローラに念を送るが、果たして通じているのかどうか。


「では私はそろそろ帰らせてもらおう」

「ああ、今後ともいい付き合いを出来るように祈ってるぜ」

「そこの娘たちよ、こっちへ来い」


 裸にひん剥かれ地べたに転がされた少女と言っていい年齢の娘たちは全部で三人。

 誰もが動く気力が無いのか体力が無いのか、こっちを恐怖に染まった目で見るだけだった。

 仕方ないので近づいていき、引きずって一纏めにすると転移門を展開し動かす。

 この使い方は物凄く精神を使うからやりたくないのだが、流石にさっさとこの場から去った方がいいだろうし手段は選ばない。

 画して半日に渡るサウスルタンでの収穫は、捕虜収容所の位置と献上された娘三人とオークの魔王への殺意であった。



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