どうやら旅行に行く事になりそうです
差し当って話を進められる事がコボルトとの模擬戦だったので、ベスターと共にシャルに連れてきて貰った。
メンバーは今日に関してはベスターとシャルと俺だけだが、他の三人からは安全性がどうのと言う意見もあった。
でもさ、ベスターがいる以上、コボルトが何か変な事を出来ると思えないんだ。
一応シャルもいるし、何かあったら即座に転移門の魔法で連れて帰ってくれる事になっている。
俺としては、もうコボルトが仲間くらいの気持ちでいるので結構気楽に考えてしまっていた。
一応唯一殺されかけた相手なのにな。
「これは……、お初にお目りかかります、魔人の王よ。このような場所ですがごゆるりとお寛ぎください」
ベスターの事を伝えないで行ったものだから、コボルトの魔王の家の前に飛んだ瞬間何事かと一時騒然となったし、急に現れたのが人間と魔人の王とエルフと言うわけのわからない組み合わせで集落のコボルトもどうしていいかわからず、コボルトの魔王へ取り次ぐまでしばらくかかってしまった。
「こちらこそ済まない。トモヤからコボルトがいいログハウスを作っていると聞いてな。今、魔人の森は国とするべく、街を建造中なのだ」
「それはそれは……、魔人の国ですか。では正式に頂点に君臨すると?」
「そう思って貰って構わない」
ここで疑問が生まれた。
「って言うか、ベスターってコボルトの言ってる事理解できるのか。俺はなんかの特性の関係で聞き取れるらしいけど」
「それは『言語理解』と表記されるスキルだろうな。ある程度度合いがあって、魔力の強い相手は聞き取れるが魔力の低い相手の言葉はわからない事もあるらしい」
「じゃあそれかな。他のコボルトの言葉わからないし」
「私もある程度までしかわからんよ」
謎は解けた。
ベスターの所に滞在したりである程度魔力は増えたらしいのだが、あれ以来何かスキルが追加される事は無い。
だが、この言語理解のようにスキルに表示されなくとも機能している物はあるので、いずれわかる日も来るさと気長に構えていたのだ。
「とりあえず模擬戦の日取りなんですけど、いつ頃が都合がいいと言うのはありますか?」
「そろそろ作物の収穫期に入りますので、それが終わって次の種を蒔いた後が望ましいです。大体一か月後でしょうか」
「こちらも行軍の支度があるので、それくらい後ならギリギリ間に合いそうです」
「人数に変更はありませんか?」
「とりあえずの所は無い予定ですが、場合によっては増減が考えられるので、ある程度対応してもらえると助かります」
「こちら側でしていただけるので、人数の調整はこちらで行います。既に刃の潰した武器や殺傷能力の低い軽めのこん棒等の制作も終わっていますので、こちらは収穫と種まきさえ終わればいつでも出来る態勢になっていますよ」
「助かります。こちらも装備類は準備されていますし、食料等の支度さえ終われば出れる状況です。ちなみになんですけど、作物とかってどうされてます?」
と言って抽象的過ぎたなと後悔した。
「えっと、つまり闇雲にやってるんじゃなくて、ちゃんと農法があっての事なのかなと」
「ええ、ある程度そう言った知識もありますので、日当たりと水はけのいい場所で土を作り、間引いたり肥料を与えたりと凡そ普通の農業だと思いますが」
「と言うのも、以前お茶を貰ったじゃないですか」
「ええ、お気に召されましたか?」
「そりゃもう。自分と同じく異世界から来た料理人が、どうせならもっと品質のいい物が手に入らないかと言い出しまして、ちょっとそれの相談をしたくて」
「いい品質ですか……。若葉のみをいいタイミングで収穫し、すぐに加工すれば多少は上がるでしょうが、我々はそこまでお茶の品質に拘っていないので……」
「お願いしたら準備していただけませんか? その代わりに何か欲しいものがあればこちらも準備しますので」
そう言うとコボルトの魔王は少し悩んだ。
「我々が最も欲している物は、安全な生活なのです。ですが、それはあなたとの関わりで見えてきました」
「こちらもわざわざ戦いたいわけでは無いので、そこは共通の望むものでしょうね」
「そうですね……。差し当たってはある程度質のいい布でしょうか。あなた方の纏う服のような上質な物では無くていいのです。ご覧のようにこちら側の衣服は適当ですので、まず見栄えを一定以上に出来ればなと思っていたところでして、実は前回その件をお話ししようと思っていたのですがすっかり忘れていました」
忘れていたって、多分シエルとタイマンなんて始めちゃったからだろうな。
確かにある程度服っぽくしてる個体はいるが、基本はボロを身にまとってる感じだ。
「布もピンキリですからね。どの程度都合出来るか確認を取っておきます。何なら製法の方がいいですか?」
「製法を知る事が出来れば一番助かります。私にはその知識が無いものですから」
何となく大体の事を知ってそうだと思っていたが、必ずしもそう言うわけでは無いようだ。
「自分達が着ているのはジャイアントキメラワームの糸が原料らしいので、それを飼う事が出来て糸を紡ぐことが出来れば、後は布にするための機織りでもあればいいと思うのですが」
「お望みの品質の物が出来るかはわかりませんが、二か月後くらいから茶摘みが始まりますので、そこで試させてください。その出来如何によって、どういう形で提供いただけるか考えて頂けるといいと思います」
と、そこでベスターが手を上げた。
「トモヤ、こちらにも欲しい」
「……あ、はい。うんと、野菜より鉄鉱石の方が利益大きそうだからそっちから値引きで考えていいかな」
「ああ。後は医薬の知識を持つ者とも話がしたい」
「私も出来れば希望します。魔物や魔人からはプリーストが中々出ないので、そう言った知識がとても欲しいのです」
低級でもプリーストがいれば怪我や多少の病気は治せてしまう。
逆にいないと自然治癒に任せる他無い。
むしろそれが自然に思えるのだが、かと言って医薬の知識も無いので重症化する事があるようだ。
「王国もその手は魔法頼りだからなぁ、誰かいないか探しておきますけど……」
「よろしくお願いします」
って事はだ、意外とコボルトの集落とも物のやり取りが成立しそうではないか。
「……今はまだ正式にとは行かないと思いますが、将来的に王国と友好を結びませんか?」
「それが出来るのならば是非。……ですが条件次第です。こちら側に不利益なようでは困りますので」
「それは勿論。例えば今回はお茶でしたが、他にもこちらで育てた方がいい物が出来る作物はあると思います。もしくは各種ワームを多く飼って布の産地として確立してもいいかもしれません。今現在何かに特化した物が無いので、やりようによっては人間にとって大事な友人になれる可能性はあると思うんです」
「そうなれればいいと思いますが……」
「おいトモヤ。まず魔人の国の事を考えて貰えないだろうか」
「そっちは施設の建設ですら楽々やっちゃうし、最低限揃えさえすれば何とかなるだろ」
「ん、むぅ、確かにその通りだ……」
本来ならパワーバランスで確実に上のベスターだが、こうして言い負かされる姿を見てコボルトの王が目を丸くしている。
ちなみにシャルはコボルトの魔王の会話を聞き取れないので暇すぎたらしく、あっちへふらふらこっちへふらふらと歩きまわって観察しているようだった。
姿が子供なせいで微笑ましくすら思えるが、一応魔物の集落で魔王の住処なんだよなぁここ。
「んじゃとりあえずそんな所で。後はベスターの件か」
「うむ。このログハウスを少し見せて貰えないだろうか」
「それは勿論構いません。一部屋、我が方の者が隠れていますので、そこだけご勘弁いただければどこを見て頂いても構いません」
以前も言っていた、怖がって出て来ないと言うコボルトか。
「了解した。ちなみに木はこの辺りで切って来た物か?」
「ええ、集落を広げるに当たって伐採した木をそのまま使っています」
「木の魔力量は?」
「この辺りは通常の魔力量ですので、特に多くも少なくも無くですね」
「そうか……」
そんな風に話しながら二人で一階を見て二階を見てをやっているので、俺も付いて行こうかと思ったけどシャルを置いてけぼりもかわいそうだから残った。
「シャル」
「終わった?」
「もうちょっとじゃないかな」
「暇」
でしょうよ。
「王国に医薬の知識を持ってる人っている?」
「教皇猊下」
「……はあ?」
魔法で何でも解決できる側じゃないか。
「フルヒールすら使える人がなんで」
「魔力には限界がある。だから薬草の知識は教会の人間ならみんな持っている」
「そう言われれば確かにそうだけど……」
にしても、どこか場末の医者みたいな所を紹介されると思っていた。
「でも教皇をここに連れて来るのは無理があるよな」
「面白がりそうだけど問題にはなる。勉強してるはずだし楓子に聞けばいい」
「え、楓子って薬草の勉強もしてんのか」
「そのはず。正式に教会に所属はしていないけど、プリーストの管轄は教会だからいずれ幹部への招待がある。それに向けて少しずつ知識を詰め込んでいるはず」
じっくり外堀を埋めていくつもりか。
まぁ楓子を教会の上層部にと言う話は前からある話だし、何ならこの間も教皇自身が変な事を言ってたし、本人が望まなくとも名誉職みたいな感じで所属させられる可能性は大いにある。
「トモヤはコボルトとも付き合うつもりなの?」
「争う必要が無いなら争わないし、お互い利益があるのなら付き合いもするよ」
「反発は必至」
「とは言え魔人を受け入れてるくらいだから、多分大丈夫だと思うんだけどなぁ」
「魔人はあの魔王ベスターの存在が大きい」
「でも前例がある分、後発は楽じゃない?」
「……それも一理ある」
「シャルだって美味しい緑茶飲みたいだろ?」
「うー……」
人間、食の欲求は想像以上に大きい物なのだ。
食に恵まれていた元日本人のシャルであれば猶の事だ。
「べ、別に今の緑茶でも十分美味しいし」
「今の緑茶ですらコボルトの物なんだけどな……」
「むー」
そこでおやっさん作のお茶っぽい物を引き合いに出さない限り、やはりシャルも最低ラインがコボルト産のお茶になってしまっているようだ。
俺もあるんだったらわざわざ前のお茶っぽい物を好んで飲もうとは思わないし。
あれはあれで、葉っぱを料理に使えるらしいので無駄にはならないようだ。
「トモヤよ。こちらも片付いた」
「それじゃそろそろ失礼します。また模擬戦の前に来ます」
「はい、お待ちしております」
挨拶を交わしてシャルの転移門の魔法で王城の俺の部屋へ戻った。
シャルの奴、一週間の立ち入り禁止を転移門の着地点として選ぶ事で誤魔化す気らしいが、それを許してはキリがないのでさっさと出る。
「では私も帰るとしよう。こちらに連れて来る魔人を選ばねばならぬからな」
「ああ、そうか。ログハウスは参考になった?」
「なった。近日中に作るから、出来たら見に来るといい」
ではな、と言ってベスターも自分で転移門の魔法を使って去って行った。
流石にベスタークラスの魔力ともなると、一瞬クリスタルを覆う転移門を解除するだけで濃いのが漏れ出るが、クリスタルの性能が素晴らしいので全部回収してしまう。
逆にこれさえあれば魔人は王国に入り放題って事なんだけど、将来的に大丈夫かちょっと不安になる。
コボルトとの打ち合わせも大まかには終わって、後は準備をしておいて出発前に最後の詰めをするだけだ。
もうちょっと余裕をもって置きたかったのだが、向こうのタイミングに合わせるとそうなってしまうので仕方ない。
フローラさんをはじめとした魔人数人の件も、誰を連れて行くかの選抜は終わって公爵家が一人ずつ選んだ担当者と面会もさせた。
今回は学生寮での生活になる為、割合的に顔が整ってる傾向が高いサキュバスとインキュバスとヴァンパイアの中から一人ずつ選んだと言う。
顔で選ばず中身で選んでくれないかなーと思ったが、勿論その辺りもぬかり無いようだ。
サキュバスは見た目サクラとあまり変わらない年ごろのアイシア、インキュバスは俺と同い年くらいに見えるミハイル、ヴァンパイアは何と子供の男の子であるニコと言うらしい。
ちなみに見た目年齢と実年齢が今回は同じらしく、サクラと同じようにクリスタル無しで来れる中から選んだとの事。
公爵家の担当者はニコを見て特に驚いていたが、見た目に騙されてはいけない。
話によると、普段は抑えてはいるがこの三人の中で一番魔力が高いのはニコだし、子供故の残酷さみたいなものもあるらしく、何かあったらフローラさんが半殺しにした上で市中引き回しの刑と言う事になっているらしい。
まぁ子供であろうと力の強い者には絶対服従のようだから、あまり心配はしていない。
何なら一回千絵と戦ってもらって、人間に変に手を出すとエライ目に遭うぞと教え込んでもいいと思う。
正式にお披露目をするのは模擬戦が終わった後で、それまでは時々王城に連れてきて人間社会の勉強をしてもらう事にした。
向こうでもその手の勉強は出来るとベスターは言うが、どうも本人たちが興味津々で、出来る事ならこっちに来たいと言うのだから仕方ない。
ちなみにこっそりサクラの事を聞いてみたが、アイシアとしては同族最強のフローラさんの『妹』と言う認識だし、他の二人もそんな感じだった。
一応元々はそう言う事にしていると聞いていたが、ちょっと気を付けないと俺がボロを出してしまいそうで怖い。
そのサクラに関しては、元々隠れて王国で暮らしている為、フローラさんの『妹』である事を含め、サクラと言う存在が魔人である事は王城内であっても絶対に口外してはならないと伝えておいた。
どうやら元々それは聞いていたようだけど、何かあってバレたらサクラが可愛そうだしな。
さて、そんなこんなで望まずとも滅茶苦茶忙しい日々だったのだが、ふと数日間だけエアポケットのように暇が出来た。
少し前にも一日時間が出来たので、南の視察と称してシェリールにアヤメさんのいる南端の村まで連れて行って貰ったのだが、あの乾燥した土地や空気に少し潤いが感じられ、少しずつ改善してるのが目に見えてわかった。
アヤメさんは面倒なのが来たと迷惑そうな顔をしていたけど。
人の事を散々遊び人として馬鹿にしてた村人達だが、そもそもあの村の人々は王都の動きなんかちっとも知らないので、俺が結婚した事とか次期国王なんて事も勿論知らず、『おー、遊び人の。行く当てもなく帰って来たのか』と言われる始末だ。
むしろそう言う扱いに懐かしさすら感じて嬉しくなってしまったのだが。
それで今回の暇な数日はどうしようかと、家族で使うリビングみたいな扱いになってる部屋に集まって全員で意見を出し合ったのだが、これが非常に選択肢が少ない。だってあんまりこの王国の事知らないんですもの。
「みんなで一緒にゴロゴロする」
と言うのはシエルだ。
確かにそれも魅力的ではある。
朝晩顔を合わせるだけで、全員揃って何かすると言う事が最近無いので、ただひたすらにゴロゴロするのもいい。
「今度は東の海のある町に行ってみたいなー」
と言うのは楓子で、それには俺も賛成だ。
そろそろ時期は日本で言う初夏で暑い日は暑いから、海に入れる程の気温では無くとも夏っぽさを感じられる事だろう。
後は海産物な、これ重要。どうせならおやっさんも連れて行きたい。
「私は四方の公爵領をちゃんと見て無いから、どっかのタイミングで遊びに行けたらなーって」
と言うのは千絵で、確かにそれもその通りなのだ。
王都よりかはインフラ整備が遅れているらしいが、それでも上下水道完備でゴミ問題等も粗方片付いていると聞くから、それなりに衛生環境もいいだろう。
ただ街を散策するだけになってしまうかもしれないが、気軽に回れていいと思う。
「私としては、そろそろ皆を世界樹に案内したいんだけど」
と言うシェリール化してるシャルの言葉に一同『それだ』と言うのだった。
『シャルがシェリール』問題が片付かない事には、シャルの母親ともまともに会って話す事も出来ない状況だったので、それが片付いた今、シャルの姿で帰って全員で普通に挨拶が出来る。
「ちなみに、俺への魔力の影響云々はどうなんだ」
「地脈みたいに属性の影響が無いから、魔族の森――今は街ね、そこと変わらないと思ってくれていいわ」
流石に何度も行っていて全く影響が無いので、魔力への耐性はあると判断されたようだ。
「なら大丈夫か。うーん、それじゃ世界樹に行くので賛成の人ー」
『はーい』
「と言う事で全員一致で決まりました、と。トラ子はお留守番かなー?」
意地でも乗っかるんだと人の膝の上に無理やりよじ登って来たトラ子だが、こっちを見上げて『解せぬ』と口を半開きにしている。
なんかシャルっぽい部分あるんだよなぁこいつ。
普段俺とシャルと一緒に寝てるせいだろうか。
「それがあった。どうしようかしら」
「毎晩世話しに帰ってくればいいか」
「それだと旅行感が今一無いけど、仕方ないわね」
「それでシャル、いえシェリール。……紛らわしいわね」
そう言うとシェリール姿のシャルは本来のシャルに戻った。
「かわいいシャル登場」
「……実際可愛いからむかつくわねー。まぁいいわ、世界樹に行くとして、何か支度ってあるの?」
「着替えだけあればいい。どうせ私の実家に泊まるし」
やはりこの姿になると話し方はフラットになってしまうようだが、喜怒哀楽の喜びと楽しいの表現が薄いだけで激しい子なのは重々承知している。
シェリールモードの時は完全に外面を気にしての性格になるから、変わってる最中の魔力消費も地味にしんどいようだが精神面が一番辛いと言う。
「そうだ、それって親父さん連れてくのか?」
「連れて行くわけが無い」
嗚呼、お義父さん、俺が不甲斐ないばかりに連れて行けず申し訳ありません。
大人しく城で俺とシェリールが代わりにやってる公務をやっていてください。
「ねぇシャル。それって私が行って大丈夫?」
不安そうなのはシエルで、確かにエルフとドワーフの確執の件があった。
「説明するから大丈夫。ドワーフが思ってるほどエルフ側は極端に嫌っていない」
「それならいいけど……」
こうしてトントン拍子に話が決まってしまうのである。
トラ子の扱いに関しては、一瞬サクラにでも面倒を見て貰おうかとも思ったのだが、居候先がお店だし何かあった時にサクラとして対応しなきゃならないし、ちょっとハードルが高すぎると思う。
王城に引っ越してからかれこれ二週間ほど経ったのだが、寮程セキュリティーが甘いわけでも無いし、何かで俺が勝手にセキュリティー魔法と呼んでる感知魔法が反応したら面倒なので、何かある度にベスターやフローラさんが心配だと言って透明化して遊びに来ている。
この時なら仮に反応しても、ベスターかフローラさんのどちらかに反応したと言う扱いになるのだ。
その辺りの感知範囲も、今後魔人の行き来があるので、設定範囲を広げるとかして解決したい。
トラ子はトラ子で寮生活の時は学校を縄張りとして散歩していたのだが、王城に移ってからは王城を縄張りとして城の敷地外には出ていないようなので、一般市民として暮らすサクラじゃ普通に接触するのは無理だろう。
どうせなら正体を明かして堂々と遊びに来てしまえばいいのに、トラ子と天秤に掛けても今の生活を守りたいと思うくらい、あのパン屋の家族を大事に思っているらしい。
俺としては、結局は魔人であるサクラがそうして人を大事に思ってくれる事が嬉しいので、何とかしてトラ子と遊ばせてやりたいなぁと思うのだけど。
うーん、今後寮の部屋が魔人用になりそうだし、そこにトラ子を連れてってサクラを呼ぼうか。
しかしサクラ自体が見つかる事は無いとしても、俺がそう言う事をするのは不可解に見えるだろうしなぁ。
猫がもっとポピュラーな愛玩動物として認知されているならば、俺の個人資金で猫カフェとか作ってしまっても良かったのだが。
――それはそれでちょっと有りかもしれない。考えるだけ考えてみよう。




