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異世界なんてクソくらえ  作者: 南都河埜
ドワーフ王国編
42/194

社交界 その1



 パーティーとやらはどうやら主賓扱いになるらしく、表から堂々と入って行って適当に挨拶してでは済まないらしい。

 いつの間にか出来ていた新しいタキシードに着替えている最中、急にやって来て人の着替えをガン見する女子一同の中のシャルが大雑把に説明した。

 いやお前ら、俺がギリギリズボン穿いてたから良かった物の、パン一だったら悲鳴の一つでも上げてやるからな。

 どうや、パーティー主催者の挨拶の中で俺達の紹介が入り、そこでようやく登場するとの事。

 何とも面倒だが、一応これが俺たちの社交界デビューと言う事らしく、今回主催する北の公爵家であるハイリッヒの当主であるルーベルトも鼻高々だそうな。

 ハイリッヒと言えば、最近では議会の進行役としてシャルの実の父である国王と並んでいる姿を見たばかり。

 ヨーロピアンな顔立ちの、多分六十歳は過ぎていると思うのだが体格はがっしりとしていて、過去には近衛兵団の第一師団団長と言う頂点に居たそうな。

 そしてハイリッヒは王城の中央で働くマリーネの家でもあり、今日はシェリールも参加するのでマリーネも裏方に参加しているのだが、主にシェリールの傍付きと女性陣の身支度の手伝い辺りが仕事らしい。

 それに関しては、本来のシェリールの付き人であるスズウキ家の五女がハンカチを噛み千切りながら悔しがっていたと言う。未だにこの五女の名前を知らないのだが、シェリールとの婚約話が出た途端に『呪い殺すぞ貴様』と言う魔力の乗った視線で穴が開くほど睨まれたので、正直関わり合いたくない。

 どうやら、俺達がこっちに来た辺りからシェリールの時間よりもシャルの時間の方が圧倒的に多くなったらしく、五女的には俺達のせいでシェリールが更に忙しくなって姿を見せなくなってしまったと思ってるようだ。ついでにガチで信奉してるようで婚約者の俺を殺したいとマリーネに零したことがあると言う。

 うん、俺は王城じゃ暮らせないな。命がいくつあっても足らなそうだ。


 で、着替え終わって人心地付いたところで、改めて一同を見る。

 シェリールは諸々の事情でこの前のドレスかと思いきや、今回は違うドレスだった。

 この世界のドレスと言うのは中世のヨーロッパにありがちなパニエ入りタイプが主流だが、ここにいる全員がシュミーズドレスとか言う昨今普通に着られてるタイプだった。

 デザインは様々だが、シェリールはデコルテがっつりな胸元と背中でしっかり開いてて直視したら流石に気まずい。他に言う事があるとすれば、明らかに詰め物をしているので見ると笑いそうになってしまう一面もある。

 逆に千絵と楓子はそう言った露出は控えめではあるが、それでも肩から胸元にかけては肌が見えている。

 その点シエルは小柄で童顔な事もあり、胸元だけは開いていたが割とベーシックなタイプなんじゃないだろうか。

 にしても楓子とシエルが大きい物をお持ちなので存在感半端ない。

 色は全員違って、シェリールが薄い青、千絵がやや明るめの赤、楓子が薄ピンク、シエルが黄色だった。

 こうして並んだ四人を見て一番に思うのは、決して二人の胸部が凶悪とかそう言う事じゃなかった事に俺は誇りたい。


「千絵と楓子って日本人の顔だけどドレス似合うんだなぁ」


 ただし、出た言葉が失礼に当たらないとも限らない。

 正直な話、西洋人の顔立ちや中東なんかの掘りが深めの顔立ちだったら、若い娘でもドレス的な服装が似合うと思う。

 普通の日本人の、それも高校生くらいの子がガチ物のドレスを着たとしても、どうにも服に着られてる感が拭えないイメージだった。

 多分、この世界主流の中世タイプのドレスだったら余計そうだっただろう。


「ちゃんとそれ用に化粧もしてるし、そもそも私達の体に合わせて作られているし、これで似合わないって言われたら私達この部屋から出ないわよ」

「そうだよ。でも似合ってるんだよね? やったー」


 楓子さんは今日もほんわかです。

 確かに千絵の言う通り、体のラインは出るドレスではあるのだが、外人体系と比べるとどうしてもメリハリに掛ける腰回り等は目立たないようにフリルと言うよりもがっつりと布で装飾が施されている。

 楓子も上は大きいけど下はそこまででも無いので、やはり腰回りは千絵と同じように装飾が施されていた。

 この場合、むしろスレンダー体系のシェリールの方がバランス的にドレスに合う体系なのかもしれない。


「シェリールは今回違うんだな」

「折角の晴れ舞台だし、別にいいでしょ? ほらほら私も似合うでしょ」

「いやまぁその見た目なら何着ても似合うと思うけど……」


 シャルの姿で縮小版ドレスを着たら、多分背伸びしすぎだからフリル一杯のドレスにしなさいって評価になると思う。

 で、シエルと見ると、いかにも『私は? 私は?』とウキウキした顔でこっちを見ている。

 うーむ、この子犬感。

 シエルの場合、ドワーフの小柄さと童顔でぶっちゃけシャルと歳が変わらなく見えてしまうので、胸元が開いたドレスだと背徳感がある。

 それなのに着こなしと言うか、千絵の言うようにオーダーメイドだから云々と言うわけじゃなく、凄く自然なのだ。

 立ち居振る舞いと言うか雰囲気に不慣れな感じが無い。

 だがしかし。


「お父さんはシエルを嫁になんてやりません」


 とりあえず保護欲だけは掻き立てられました。


「それじゃお父さんに貰ってもらうからいいよ」


 それはそれでどうかと思います。

 で、俺がそんな事を言うもんだから、口々にシェリールは『胸かしら』と目を細め、千絵は『露出かしら』とシエルの胸元を見、『どっちもかも?』楓子がやはり胸元を見るのである。

 千絵は露出度高めは嫌な癖に、他人のを見るとちょっと気になるようだ。

 この四人、やっぱレベルたけーなーとしみじみ思ってしまう。

 シェリールに関してはインチキだが細見の長身で何着ても似合うし普通に美人だし、千絵も楓子もわかってはいたが綺麗と可愛いを兼ね備えたアイドル顔だし、そこに来てシエルと言う美形のロリ巨乳なのだから、同性しか興味が無い人を除けば誰もが四人の誰かを好きになってしまうだろう。


「ねぇ、トモヤ。ちなみに誰が一番?」


 ここにきてシェリールから凶悪な言葉が出て来るのである。

 だが、俺はそれを予見していたので答えの準備は出来ていた。


「今も四人の身支度を後ろからしてるマリーネが一番だと思う」


 着替え自体は済んでいる物の、髪を結ったり装飾品を付けたりせっせと働くマリーネが一番だ。


「……マリーネ、私たちに混ざる?」

「滅相もありません、シェリール様」

「何なら今からでもドレスを用意して一緒に参加しましょう」

「本日、私は皆さまの従者でございます」

「……だそうだけど、トモヤはそれでいい?」

「って言うか無理やり誘うな。地味にマリーネに八つ当たりするな。意地悪な質問してきた自分が悪い事を理解してくれ」

「うー、トモヤ酷い」


 シャルが出てますよシェリールさん。


「ちなみにトモヤにはちょっとしたスピーチをしてもらうから」

「は?」

「大丈夫、何も用意してないけどトモヤなら」

「は?」

「招かれた事の感謝を交えて適当に喋ってればいいから」

「は?」


 酷い仕返しだ。

 絶対挨拶文を作ってあるのに。

 くそう。

 そう言うなら恥かいてシェリールも恥ずかしがってもらおう。

 死なば諸共。


 で。

 四公爵家による、三か月に一回の持ち回りで行われるパーティーの参加者は正直引くほどいた。

 会場は北のハイリッヒ家の王都邸宅。

 邸宅とか言うくせに四公爵家の家は下手をすれば高さの無い城みたいなもので、王城の東側に北と東の邸宅、西側に西と南の邸宅が隣接して置かれているが、その二件を一セットとみると王城の敷地に迫るだけの広さがある。

 王城程高さは無いのは勿論当然だが、それでも他の貴族家に比べれば圧倒的に高い建物で、今回は中央エントランスホールに千人程の貴族当主や夫人を入れて立食形式のパーティーだった。

 ちなみにエントランスから出た所の庭園には、やはり同じくらいの人数の伯爵家以上の子息、息女が同じようにパーティーに参加していると言う。

 学校で会うメンツもいれば、この場で無ければ会えない人もいるようで、ここが若者の出会いの場だったり交友を深める場となっているらしい。

 雨の日は外が使えない為、邸宅裏にある小ホールでやるらしいので、ここの集まりを大事にしている事がわかる。

 この年四回ほどあるイベント、たまーにだが男爵家以上を対象にされる事もあり、その場合は隣接する二つの公爵家邸宅を使って行われるのだと言う。

 主に貴族同士の交流の場、出会いの場と言う事のようだが、本妻以外の妻を探す若手向けと言うのが意味合いとして大きいらしく、そのパーティーの後には多くの婚姻が結ばれるそうだ。


「すげーいるんだけど」

「今に見られることに慣れるわよ。って言うかもう慣れてるでしょ?」


 シェリールが簡単に言うが、街中で見られる事とパーティー会場で見られる事が一緒だと思わないで欲しい。

 周りは全員貴族だし、この場にいる貴族とは公爵家の縁者は勿論、伯爵家やその縁者、子爵や男爵家の当主夫妻あたりが集まっているのだ。

 そんな所で何かやらかしたら社会的な死が待っている。

 だと言うのにだ。

 シェリールは俺の腕に自分の腕を絡ませると、『エスコートしてね』と言ってエントランスホール中央階段の上に躍り出るのである。


『皆様、ご注目ください』


 どこからか声が聞こえた。

 拡声魔法と言う分類になっている魔法で、拡声器を使ったような大きな音になるわけでは無く、空間全体に音が届く魔法らしい。


『シェリール王女殿下と、その婚約者であるトモヤ殿です』


 殿、とか初めて言われたよ。

 こうなっては仕方ないので、シェリールの半歩先を歩く感じで歩みを進め、普通なら三階分は有りそうな、実際建物の構造的に二階のエントランスホール中央階段上から見下ろす。

 すんげー見られてます。

 どうすりゃいいのかな、と思ったらシェリールが所謂カーテシーと言うスカートの横をつまんであげながら片足を下げて屈伸運動でお辞儀をするので、俺も何となく頭を下げた。

 これを見て大慌てなのが下の人達で、男性陣はすごい勢いでお辞儀するし女性陣も勢い余って床に膝を打ち付けるんじゃないかと言う程のカーテシーをする。

 何事だと一瞬考えたが、これは多分シェリールが悪い。

 この国のナンバーツーである王女が普通に挨拶なんてするものだから、どうやらシェリールに見とれてたらしい面々が大慌てで最敬礼をしたのだ。

 それに続いて出てきた千絵、楓子、シエルもシェリールを真似て挨拶をして、どうにかこうにか全員が直立する状態まで進んだ。

 後で疑問に思って聞いたのだが、そう言った礼儀作法に関しては昔の異世界人の影響か、中世ヨーロッパスタイルがベースにあるらしい。

 勿論厳密に言えば少し違う礼儀作法のまま伝わっているようなのだが、そう言った昔ながらの貴族の風習を守る一派がシュバインシュタイガー家を筆頭とした旧来の保守派だとかで、こう言う場では正しく貴族然とした振る舞いをする方が無難だそうな。

 そこでちょっと疑問に思い、『フォークの背に乗せて食べるのを是とするか?』とシャルに聞いた所、保守派は乗せて食べるのを是とすると言っていた。

 これ、元の世界だとフランスとイタリアのマナーの差だった気がする。

 そう言った微妙な部分がごっちゃなので、元々曖昧な自分の知識が使えないから全部聞かないとならないのだ。


「ほらトモヤ、挨拶。拡声魔法は私が使うから普通に喋れば大丈夫よ」


 ここに来てもカンペは見せる気が無いらしい。

 と言うかここまで来ると本当に無い疑惑すらある。


『えー、本日はお招きいただき誠にありがとうございます。どうやら自分達はこれで社交界デビューと言う事になるらしく、この度はハイリッヒ家御当主にもご迷惑を掛けたと思いますが、今後精進し何かの形で恩を返せたらなと思っております。自分はこのメンバーの中では正直な所おまけですので、若輩者ですが普通に仲良くしていただきたいと思っております』


 あと何か言う事あったかな、と思ったらシェリールが一歩前に出た。

 これ以上喋ったらボロが出ると思ったのか、それとも取れ高としてはまぁまぁと思われたのか。


『本日はお招きいただきありがとうございます。今回のパーティーでようやく勇者である千絵、勇者で女神と称される楓子のパーティーでのお披露目となりますが、この場では自分の子の売り込みは厳禁とさせていただきます。そしてもう一人、ドワーフ王国から来たシエルが今回参加しますが、彼女は私やトモヤ、そしてチエやフウコの大事な友人です。我々エルフと言う存在のせいでドワーフを忌避する方がいる事は存じておりますが、逆にドワーフによって助けられた国だったら逆もあり得たと私は思っています。そのような差別で罪の無い子を批難するような人は、この王国の貴族には存在しないと思っております。是非、今後とも仲良くしてください』


 そう言い終えて一歩後ろに下がると、今度は千絵が前に出た。


『初めまして、私が一応勇者と言われてる里中千絵です。この国の言い方ではチエ・サトナカですが、貴族でもなんでも無いので普通にチエと呼んでください。えーっと、後は良くわからないのでトモヤに任せています』


 お前ふざけんなよと言いそうになったら楓子が代わりに前に出た。


『佐久間楓子です。女神なんて呼ばれていますけど。えっと、命に係わる大怪我でしたら治しに行きますのでご連絡ください。えっと、後は良くわからないのでトモヤ君に任せています』


 この流れはあれだ、既に女性陣で打ち合わせ済みなんだな。


『ドワーフ王国から来たシエルと申します。種族的に嫌われている事は重々承知ですが、私は彼らの仲間としてこの王国に何かするような事はありません。いきなり友好的にと言われても難しいでしょうが、いつかわかってくれると信じております。えーっと、それと私もトモヤに色々任せているので何かありましたらトモヤにおねがいしまーす』


 おい。

 いや、恐らくこう言った自己紹介をする事にはなっていたのだろうけど、俺は何も聞いていない。

 と言うか俺、自己紹介してない。まぁ紹介されてのスピーチだったけど。

 千絵も楓子もシエルも最終的に俺に丸投げってどういうことだ。

 シエルなんか最初はどこぞの御令嬢かと思う口調だったのに、最後急にいつも通りになったし。

 くそう、一応真面目にやっといてよかった。及第点以下だとは思うけど。


 紹介が終わった後は、全員で下に降りて色々な貴族の挨拶を受ける。

 シェリールがちゃんと紹介してくれるけど、最初のうちは公爵家絡みだった。

 何が凄いって、シェリールが分家筋まで顔と名前が頭に入ってる事だ。

 どの人たちも出来るだけ話を引き延ばして覚えてもらおうと世間話を仕掛けてくるが、なんせ約千人もいる会場だ。

 早々に話を断ち切って次へ次へと進んで行く。

 一時間程やった所でシェリールが休憩すると言い出して、どこかへ引っ込んでしまった。

 そりゃシェイプチェンジを維持した状態でずっといるだけでも疲れるらしいのに、その上でこれだけ喋ってるんだから限界も来よう。

 で、シェリールが抜けたとなると今がチャンスと話しかけてくるし長引かせようとしてくるが、シェリールを見て俺も学ぶんです。

 最低限よりほんの少しおまけ、が今日の丁度いい尺。

 自己紹介を一通り済ませ、その家がどんな仕事をしているかを少し聞いて、何かありましたらよろしくお願いしますと言って終了。

 その調子で更に三十分か四十分か、最早時間の感覚もわからなくなってきたが、急に後ろから手を取られて腰に抱き着かれた。

 すわっ刺客かっ、と思って見下ろすとシャルが薄緑のフリフリのドレス姿でくっついていた。

 おう、お兄さんそのドレスで安心したよ。


「シェリール休憩。私にチェンジ」


 まぁ確かに言葉の通りだよな。

 それから何度か休憩を挟んでずーっとだ。

 パーティーがお開きになるのは夜遅い時間である。

 ちなみに開始は昼過ぎだった。

 人数も多いので長くなるのはわかるが、それにしても元の世界の感覚で一日中ずっと自己紹介し続けてる感じだ。

 いい加減疲れたし、最早最初の数人くらいしか覚えていない。

 それでもやらなきゃならないらしい。

 シャルなんか途中で限界来て、人の足にくっついて寄りかかりながら船を漕いでいた。

 まぁ可愛いし誰が見ても微笑ましいようで大人気だったけど。

 そのシャルも途中退席で、一時間くらいしてシェリールになって戻って来たりした。

 シャルでいる時間の方が楽とは言え、主賓のシェリールがずっといないままじゃ問題だから、どうしても変身して戻ってこなければならないのだろう。


 暗くなってきた辺りに取った休憩では、全員で控室に戻って一言も発さずに茫然とした。

 もう、誰もが顔と名前の一致とか、そもそも顔も名前も覚えてないよって状態になっているだろう。

 ともったら、早々に復活したシエルが備えてあるレモンっぽい果実が入った水を一気飲みした。


「やっぱり今日の中だと、ダントツで南のシェーバー家の親戚のサイモンさんが面白かったと思うの」


 俺も千絵も楓子もぽかんだ。

 誰だそいつ。

 いや、シェーバー家自体は南の公爵家だし、アヤメさんのいる南端もシェーバー領だから最初に覚えた公爵家ではあるけど。


「もしかして、今日の覚えてるのか?」

「流石に一回で全員は無理だけど、面白い人は大体覚えてるよ?」


 さも当然と言わんばかりに。


「おう……お気楽娘かと思いきやすげえな……」

「トモヤの中の私の評価を事細かに聞きたいところだけど、みんなこれからは人の顔と名前を覚えるのが仕事になるんだからね?」

「シェリールに任せる」

「その本人、そこで突っ伏してるけど」


 そら限界だろうさ。


「うー……別室でちょっと寝てくる……起きれなかったらシャルが行くから……」


 もうすでにおねむの時のシャルが出てますが。


「覚えてると言ったら、私はいやらしい目で見てきた人はある程度覚えたけど……危ないし」

「私もそれなら。だってずっと胸見るんだもん」


 スマン楓子。男なら仕方ないと思う。

 いや、そこを我慢して紳士的に振舞ってこそだとは思うけど。


「にしても覚え方はどうあれ、多少は覚えてるんだなぁ」

「智也は全然?」

「主要な所は多分何となく覚えてる。と言うかそこにだけ集中した。顔と名前が一致するかはわからないけど」


 そう、結局重要なのは、公爵家の重要人物だ。

 何ならシュバインシュタイガー家の当主も覚えているが、何となく執事の格好したらセバスチャンとか名乗りそうな感じだった。

 よって俺の中でセバスと呼ぶ事にした。


「それで言ったら、私をゴミを見るような目で見てきたドワーフ嫌いは全員覚えてるけど」


 ああいうシェリールの挨拶があっても、シエルの挨拶はどうでもいいやと言う振る舞いをする人がいた。

 その場合、多少の雑談も無く自己紹介だけで次へ進むけど。


「で、シェリールちゃん帰ってこなくてもやっぱり行くんだよね?」

「シャルが来なくても、ある程度休憩したら行かなきゃだろうな」

「やぁねぇ、日本人のそう言う真面目な所」

「私はまだまだいけるよー」


 生真面目日本人と体力と実は暗記力もお化けなシエルは、三十分ほどして会場に戻るのである。



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