健脚なる御老体
予告通り教皇が来た。
これが言葉にすればそれだけなのだが、王国において国教となっているらしい教会の教皇が来たのだから、王都を上げての大騒ぎになっていた。
恥ずかしい話、自分達はそう言った宗教的な部分に全く興味が無く、何なら何という宗教名なのかすら把握していない。
日本に居たって、十字のオブジェクトのある建物を教会と一括りに言ってしまうわけだし、この王国でも人々がわざわざ協会名を言わず教会と言ってしまう為に、そう言った王国民が入信する教会がある、と言う事実しか実質知らないのだ。
特に神の名前が出る事も無かったし。
で、どんな騒ぎになったかと言うと、まず教皇は豪奢な馬車に乗って南門からやって来た。
本来北の外れに居たのだから、王城や貴族街がある為防犯上北門が無いので西か東門から来ればいいのに、南の貧民街側から来るのはパフォーマンスらしい。
本来の教会は中央からやや北に行った所にあるが、貧民街や平民街にも出張所的な小さな教会があり、最初にそっちを訪問してから北上しているようだ。
メインストリートには王都中の住民が集まり、何なら貴族ですら南側に行き教皇に跪いて頭を垂れる程だ。
流石にシャルも対応しなければ不味いらしく、シェリールの姿で噂のジャイアントキメラワームの亜種製の原価金貨十枚の純白ドレスでお出迎えだそうだ。
通常貴族や王族は一度着たドレスは式典等に使う事は無いらしいのだが、どうやらシェリールのその姿と言うのはトレードマークと言うか、その恰好のシェリールこそが王女、と言う扱いらしい。
俺を婿にする宣言をした時もこのドレスだったし。
シェリールの姿で表に出る事が無かったのに何でそんな話になったのかと思ったら、シェリールとして表に出てからしょっちゅう貴族のパーティーに顔を出すハメになり、面倒で同じドレスで出ずっぱりだった事でそう言う事になったと言うのだ。
通常の貴族令嬢なら『ドレスも替えないなんて貧乏』と言われかねないが、シェリールの着る純白のドレスが国宝級の逸品だと目利きの出来る貴族が言い出したらしい。
実際原価で金貨十枚、特に細かい糸で知られるらしいジャイアントキメラワームの亜種の糸を布地に加工する事自体が神懸った技術だとかで、仮に売りに出たら金貨五十枚どころか下手したら百枚なんて話もあるとか。それを聞くと、何となく一千万くらいしそうだなと思った俺の感覚はさほどズレていないらしい。
特に細かな刺繍は一部分を縫うだけでも普通の職人なら一週間はかかるらしく、完成させるまでに二年や三年ではきかないとか。
俺には服飾の知識なんか無いが、純白で過度に装飾がつけられてない、ゴージャスと言うよりも洗練された美しさがあった。
これで中身がシャルなのを思い出すと笑いが出てしまうのだが。
それなら俺たちも正装なのか、と思ったがそんな事は無く、学生だし制服でオッケーとの事で制服姿でシェリールの後ろに並んで待つ事になった。
今回に関して言えば主役はシェリールや次の王候補である俺や勇者の千絵では無く、『女神フーコ』である。
なので楓子は着飾らせようかと言う話も出たのだが、今度の社交界で使うドレスの仕立てが間に合わないのと、仮に間に合ってもここで着てしまうと前出のドレスの着回し問題で社交界で着づらいので、本来の身の丈に合った制服でと言う事になった。と言うか楓子がガチで嫌がったので制服で落ち着いた。
一応前回着たドレスもあるにはあったけど、やはり二度目となると『女神なのに……』みたいな目を向けられかねないし。
にしても、王都に入ってから終点の教会前までほぼ半日かけてパレードを行う物だから、立場上待ってなければならない我々はずっと待機である。
流石にずっと外で待つわけでも無く、今か今かと待つ教会の中に休憩室を作って待機しているのだが、正直集合時間を半日遅らせても良かったと思うんです。
俺としては特に今回の件に何の興味も無い、と言うと言いすぎなのかもしれないが、実の所この場にいる人間は面倒事と受け取っているに違いない。
シェリールモードのシャルですら気だるげにしているし。
「んでさ、その教皇ってどんな人なんだ」
「どうと言われても、ジャポニー神を崇めるジャポニー教のトップよね。高齢でずっと隠居してたのに、フウコの噂を聞いて飛びついてきたからには何かあるとは思うけど」
「……って言うかジャポニー神なんて名前だったのか……」
「トモヤもこっち来る時に会ったって言ってたじゃない。アレがソレよ」
「……ん、んー、ジャポニー、ジャポン? ジャパン?」
だとしたら何とも安易なネーミングだと思うのだが、あの自称神様は事実日本人のオッサンである事は確かだった。
「正解」
「……誰だ命名したの」
「遥か昔、神託を受ける力を持った人に名乗ったとされるけど、多分自分でも適当につけたんじゃないの? アレも大分適当な奴――神様だし」
何ともシャル、もといシェリールの辛辣さである。
「一応ジャポニー教の聖書を紐解くと、今から一万年以上前から教会があったらしいから、一応アレで本当に神様なんでしょうね」
「他にも神様がいるって聞いたけど」
「六人――神様だから六柱って言うのかしらね、他の大陸だったり遠く離れた国にはそれぞれ国教として認められている一大宗教があって、その崇め奉ってる神様が異世界人を飛ばしてくるらしいわよ。幸いにもどこの宗教も基本的に他宗教を敵視してないから、宗教戦争みたいなのは起きないんだけど」
知ってる神がアレなせいで、他の神も信頼出来るのかなぁなんて思ってしまう。
「うちの場合はさほど大きな国ではないけど、神が降臨した神殿ってのが北にある関係で、ジャポニー教の総本山って事になってるわ。この辺りの国々は大抵国教がジャポニー教で言語も同じだから、言葉が通じなかったら宗教も違うし文化も違うと思って。少し離れてるけど唯一ドワーフのとこが種族の違いで別の神なんだけど、シエルでわかるように言葉は同じだから」
俺とシェリールがそんな話をしていると言うのに、千絵はともかくとして本日の主役も全く興味無さそうに少し離れた所で雑談していた。
女三人寄ればなんとやらとは言うが、千絵と楓子の他にサポートでマリーネ等の王城中央に近い所で働く公爵家の女性陣がいて、最近噂の異世界ファッションについて大いに盛り上がっているようだった。
シエルに関しては、ただでさえ国的に微妙な立ち位置のドワーフな上に、宗教絡みとなると過激なのがいる可能性も有るので、本日は寮でトラ子と共にお留守番と言う事になっている。
まさかとは思うがシュバインシュタイガー家が何かしてくるかも、と頭を過ってしまったので、もし何かあったら全力でこっちと合流するようにと耳打ちしておいた。
まぁあの一件以来特に何もないわけだけど。
「んでもさ、実際俺たちは神様があんなだって知ってるけど、あんなのを神様として崇めてなんか意味あんのかな」
「宗教ってのは心のよりどころみたいな物だしね。信じる物は救われる。実際気まぐれで神の奇跡を起こしちゃったりするし、あなた達異世界人を連れてくる事によって世界は少しずつだけど変わって来ているし」
「楓子みたいな反則級の回復魔法なんて使われたら、そりゃー神様の奇跡を信じる人も増えるか」
実際特性で神のなんちゃらみたいなのがついてるし、何をどう言ったって神様の力が働いている事には変わりないのだ。
「私としてはトモヤの扱いで文句言いたいんだけど、どうせ今更だし」
「俺のって?」
「……えっと、うー」
説明に困るとシャルのような困った顔になるのは如何なものか。
眉を寄せて上目遣いで『うー』と唸るのがそれに当たるが、そう言った仕草でもいずれバレる気がする。
にしてもこの仕草、シャルで見慣れてるからかわからないが、どこか既視感があるのだ。
「神の力があれば、トモヤをそれなりに強くして送る事も出来たはずだから」
「ああ、なるほど。身体能力が前と変わらないから特に違和感なくて、最早その事すら忘れてた」
「とにかく、私はその件では怒っているから、しばらくあの失礼な人には会いに行かない事にしたの」
「おい神託の巫女」
「何か重要な事があったら言ってくるから大丈夫。言ってこなくて何かあったら、私の全力をもって呪うし」
普段のシャルと比べるとシェリールの方が活動的なのはわかっているが、感情すらも強くストレートに表現してくるのでシャルだと知っていても別人に思えてくる。
「で、話は戻って教皇本人は?」
「人格者で人々の為に半生をかけて教会の発展と国民の幸せの為に尽力した、と言われているわ。私がこっちに来た時点でもう隠居してたから詳しくは知らないのだけど。一応数回会ってはいるけど、小柄でニコニコしてる気のいいお爺ちゃんって感じ」
「その人がわざわざ楓子に会いに来ると」
「不思議よねぇ。隠居した以上司祭長にほぼ全権が渡ってるはずだし、教会的に女神認定しちゃったとは言え、わざわざ会いに来る必要なんてあるのかしら」
「それな」
ちなみにこの時点でまだ予定の半分の時間も経っていないので、適当に喋った所で昼食を挟み、何ならデザートまで食べて教皇を待つのであった。
実際の王都の様子はと言うと、教皇が行く先々で大騒ぎだったらしい。
貧民街では多くの時間を割き、神に祈った事で新たな治政が人々を救うでしょうみたいな事を言って回ったらしい。
数年前に現れたシェリールの事か、もしくは今後エルフから人間に王が変わる事を言っているのか。
どっちにしてもシェリールが影の支配者として現れてから貧民街の暮らしは大分良くなったと言うので、人々は何一つ疑わず涙を流して教皇の言葉を聞いたと言う。
平民街でも同じようなことを言っていたようだが、平民が抱える不満は主に貴族との隔たりだ。
貧民街のように王都の中で底辺なら上を妬むのもわかるが、平民クラスは職業的にも貧民よりも自由がきく。
貧民は殆どが肉体労働の仕事に就いているが、平民は肉体労働もすれば監督者にもなるし、普通に店を開いて商売もするし、貴族のやってる店や会社の従業員としても働いている。
だからこそ貧民よりも平民の方が色々な事を見聞き出来、その分貴族への不平不満は募りやすいらしい。
それも神に祈る事によって、いずれ隔たりは解消されより良い社会になるでしょうとの事だ。
これに関しても、シェリールがテコ入れをして貴族の振る舞いを正している事と符合しなくも無い。
そして貴族に対しても、これまで通り幸せな生活を送れるよう神に祈りましょうと言う。
ここで問題なのは、実は貧民街や平民街の人たちよりも貴族達の方がドロドロしている現実だった。
公爵家を筆頭にしているわけだが、男爵、子爵、伯爵と位があり、爵位関係での人間関係のごたつきはどうしてもある。
昔のシュバインシュタイガー家のように公爵家が取り潰し等の処分が下るとしたら、それこそ何か致命的な事をしない限り不可能なので、主に伯爵位の家を筆頭に水面下で戦いが行われているらしい。
公爵家同士の繋がりは非常に強いのだが、伯爵家ともなると立場上いずれかの公爵家と懇意になる事は多く、だからこそいずれ自分もと夢見る奴はいるようで、自分が懇意にしている家も含め公爵家の粗探しをやったりしているらしい。
なのでこれまでは、教皇かもしくは大司教が『平穏こそ素晴らしい』とか何とか言って波風立てようとする一部の連中を抑える事もあったと言う。
王国民である以上教徒であるし、何なら貴族階級が高ければ高いほど敬虔なる教徒だと言われているので、教会として出された言葉を無視する事即ち敬虔なる教徒では無いと言う事になってしまう。
よって、水面下ではどうだか知らないが、教皇を前にすると貴族も足並み揃えて頭を垂れるのだとか。
これが国教の力。
教皇が中央広場を超えたあたりから教会内に届くほどの大歓声が聞こえてきた。
やっと来たかと急いで外に出て整列し、教皇の馬車を待つ。
馬車など来なかった。
何と見た目で八十代くらいの豪奢な法衣を纏ったお爺ちゃんが、周りに手を振りながらにこやかにこちらに歩いてきた。
正直それを見てしまうと、この人すげえなと素直に思ってしまう。
だって南門から貧民街やら平民街やらと練り歩いてたら、簡単に十キロは歩いてしまう。
何となく宗教とかなんだそれと斜に構えていたが、本物はいるのかもしれない。
「猊下、本日はお越しいただきありがとうございます。王国民も大変喜んでおります」
正直、王城のバルコニーで民衆を見渡した時よりも民衆の視線や圧が強いと思う。
それくらい教会の回りには人々が詰めかけ、俺達――と言うよりも教皇とシェリールを見ていた。
「これは王女殿下。お変わりなく――はて、以前お会いしたのは数年前だと思いますが、やはりエルフ族は羨ましいですな」
これはシェリールの見た目が変わらないと言いたいようだ。
そりゃシェイプチェンジだし、数歳分のイメージ更新で変化を出すのは得意魔法にしてるシェリールでも難しかろう。
「まだまだ若輩者ですもの。猊下は少しお若くなられたんじゃないですか?」
「いやいや、こうして歩いてくるのも、そろそろしんどくなってきましてな」
そう言って俺達を見渡す。
「紹介します。こちらがトモヤで私の婚約者になります。隣にいるのが勇者チエ、その隣が勇者で女神のフウコです」
勇者で女神って、と楓子が心底凹んだ顔を一瞬見せた。
「ほう、彼女が大司教が女神と認めた……」
目を細めたニコニコ顔がデフォルトなのかはわからないが、こちらも一瞬真顔になったように思えた。
思えた、と言うのは目を細めたままだったので、はっきりとはわからなかったのだ。
「とりあえず猊下、お疲れでしょうし中へ」
「そうですな。いやぁ思いのほか時間がかかってしまって、先ほどから腹が減って減って」
聖職者の頂点でも腹は減るらしい。
何より人の目が多すぎるので、とりあえず教皇を避難させる為にも教会の中へ。
教会の中は元々バタバタしていたが、教皇が来たことで司祭やシスターが緊張からか固まっていた。
こうして見ると、教皇の法衣は格段に煌びやかに作られているらしい。
大司教は職務の関係で今は席を外しているが、他の司祭の格好は法衣とわかる普通の作りであるのに対し、教皇のは厚手で光を反射してキラキラして見えるので、おそらく金糸か何かを織り込んであるのだろう。
その点シスターは全員同じくシスターな恰好なのだが、ここら辺のファッションは元の世界の物と大差無いと思う。
シェリールのドレスもぱっと見ウェディングドレスに見えたりするし、異世界人の知識や風習云々が関係しないような所でも、伝統的に同じような服装が使われているのは面白いような違和感あるような。
「猊下のお食事の支度をお願いします。猊下、こちらに休める場所を用意しておりますので」
「いやはや、助かります王女殿下。若いつもりで歩いてきましたが、途中から流石に後悔しましてな。はっはっは」
実際疲れているようにも見えるが、まだまだ元気にも思える。
やってる事だけで言えばすげー人なんだろうなとは思うのだが、シェリールの喋り方といい三文芝居を見てる気分になってくる。
さっき俺達が休んでいた部屋に教皇を通すと、いわゆる上座に座らせる。
人数分の紅茶とちょっとしたお茶菓子が出てきたが、この状況で教皇より前に口をつけるわけにもいかず、でも俺すげー喉乾いてるんだよなぁ、なんて思いつつ教皇とシェリールの会話を聞いていた。
「あちらではどのような生活だったのですか?」
「なぁに、こちらと変わらず毎日の祈りと適度な運動が日課ですとも」
確かに日々動いてないと、この歳の老人が半日も王都を練り歩くのは無理だろう。
「シェリール王女殿下こそ、ご婚約との事でおめでとうございます」
「やっ、えっと、その、ありがとうございます……」
マジ照れだった。
誰だろうこのシェリールと言う可愛い生き物は。
「して、式はいつ頃? 勿論私に執り行わせて貰えるんでしょうな」
「申し訳ございません。式はまだ決まっていないのです。彼が異世界人である事や特性の問題もあって、公爵家までは大体話が通せたのですが伯爵家の中には反対派も多く……」
てっきりシェリールと言うかシャルの実年齢的にアウトだからだと思っていたのに、蓋を開けてみれば根回しの問題だった。
ヤバい。
どうせしばらく先だろうと思ってた所にこれは、なんか妙に焦る。
「ふむ。君、トモヤと言ったかな」
「はい」
「確か魔王と会話できるそうだが、魔物をどう思う?」
「正直な事を言えば自分達と見た目が違いすぎるのと、力の差がありすぎるので単純に怖いと思います」
「近年最強と言われる勇者といてもかね?」
「自分達はそう言った命をかけるような状況になりにくい世界で生きてきたので、そもそも戦い自体が苦手です。何より戦わずに解決できるなら、それに越したことは無いと思いますし」
「戦わざるを得ない状況になった場合は?」
「と言っても自分に戦う力が無いので、そうなったら二人に任す他無いのですが」
「二人が戦えなかったら?」
「しょうがないから俺が戦います」
「本当に?」
そこに来て小さく手を上げるのは千絵だ。
「実際この間も、私達が動けなくて、トモヤ死にかけちゃいました……」
「う……むにっとした感触が……」
楓子よ、それは忘れていい。
「なるほど。彼は悪人にはなれなそうなタイプだね」
「どうしてでしょうか。異世界人なだけあって猊下には思いもよらぬ知識で悪逆非道の限りを尽くす可能性もありますが」
婚約者を悪人にしたいんだろうかこいつは。
「私はね、シェリール王女殿下の事はとても高く評価しているんですよ。これまでの改革は反対こそあれど基本的にはいい方向に向かっていますし、世界樹で暮らしていれば平穏無事な人生が約束されているにも関わらず毎日のように働いてらっしゃる。そんな殿下が認めた男がどんな物かと思えば、とても平和な男ではないか。確かに彼の本質はわからないけども、人の好さだけは伝わってきますよ」
「平和な男、ですか。でも国として争わねばならない事もあると思いますが」
「その判断は恐らく殿下や彼が正しくする事でしょう。そして勇者である彼女達が力になる事でしょう」
「その、つまり猊下も私たちの事をお認めになって頂けると言う事ですか?」
「勿論ですとも。これで敵ならば倒す、となれば血気盛んさが少し不安な点になりましたし、嫌だ戦いたくないと言うのでしたら国の王は務まらないでしょう。果たして国王としての器があるかどうかの見極めですが、私は無いとは思わないのです。何より御神託により彼が王の器と出たのであれば、それは間違い無く王になるべきでしょう」
平和な国から来たのだから平和な脳みそしてるだけだと思うんだけどな。
それと神託による王の器云々は正直信じていない。
何かしらの思惑があってそう言う事にしただけだと思っている。
だって俺だぞ?
「では、私から彼を認める旨を発表しましょう。これに反発する家を調べ上げて叩くもよし、説得するもよし」
「猊下自らそんな事なさらないでも」
「その代わりと言っては何なんですがね、少し私のお願いを聞いてもらいたいのですよ、女王。そして女神フーコ様」
願いって何だと思った矢先に教皇からの女神フーコ様呼びで、ついに楓子がうへぇと言う顔で突っ伏してしまった。
なんかろくでもない事になりそうな予感がバリバリするんだが、それに関してはシェリールもそうみたいで、二人して顔を見合わせてしまった。
恐らくこれこそが、教皇がわざわざ王都まで来た本当の理由なのだろう。




