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異世界なんてクソくらえ  作者: 南都河埜
西の国の動乱
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この世界に銃器があっても

ずーっとピレーネと書いてたのにいつの間にかピレネーにしてました。

ええ、元ネタは某大きくて白い毛の長い犬です。

小さいころ飼ってたんですが、なんかそのせいかいつの間にかピレネーになってたので全部そっちに直しました。

多分ピレーネに戻した所で、また間違えるから。



 西の国が日を置かないと動きが無いので、その間に片づけられる事は何だろうかと考えながら動いていた。

 だが、うちの貴族と何らかの裏取引があった疑惑もあるので、そっちの調査もしておかなければならない。

 とりあえずはルーベルトの爺様がピレネーにそれとなく聞いてみたわけだが、その結果は勿論『何も知らない』だ。

 仮定の通りであれば分家が抱えるには大きすぎる問題なので、必ず本家に話が行くはずだ。

 ノイベルトの当主がピレネー本家に直接行っていてもおかしくは無いが、残念ながらこの世界では個人の入国記録なんて無いので調べられない。

 だが、ルーベルトの爺様に疑惑を向けられたことで、秘密裏に証拠を隠滅する可能性もある。

 そもそも証拠を残していないかもしれないが、その場合でも将来的に明るみに出ないように何かしらの対策はするだろう。

 それを察知出来ればいいのだが、生憎と俺個人では西の街にスパイなど送り込めないし、ピレネーもそれを警戒しているはずなので下手な事は出来ない。

 つまりは詰んだ。

 ピレネー側から何かを探るのは実質不可能になってしまった。

 裏技として、サクラが単独では転移門であの街に行けないので、フローラさん辺りにスパイ活動してもらう事だが、今回は魔人側に手を借りないと決めているのだ。

 ぶっちゃけその理由が、表向きベスターとの関係をズブズブな物にしないように見せる為なので、お願いして裏で動いてもらう分には構わないっちゃー構わないが、探られた側は裏に魔人の影を見るだろう。

 それならどうするか、そんなのノイベルト側から探るしかない。

 と言うわけで、シャルにノイベルトを優先で探ってもらったのだが、ピレネーには会議の際に遠回しに追及して反応から読み取る手もあるにはある。

 だが結局王国貴族は西の国を奪いたい派なので、追及した所で何かペナルティーが発生するわけでも無い。


「兵の招集と準備が始まってた」

「うん。……うん?」


 今日は俺とシャル以外は学校だ。

 トラ子にもこれを機に勉強して来いと言ってみたが、まだまだ精神的に幼いので長時間の拘束が辛いらしく、最初の方だけ授業に向き合うも二十分もすればリリアナ達のノートの上に猫モードで丸くなるらしい。

 どうやら何かの上で寝る習性があるらしいが、リリアナ達もそれをされると授業に支障があるのに可愛すぎて退けられないと嘆いていた。

 なので、思い切って小型の猫用クッションを用意して持たせたら、大人しくその上で日向ぼっこしながら寝るようになったらしい。

 学校的にどうなんだと思わなくも無かったが、シャルに続いて第二のマスコット扱いを受けているようだ。


「もう?」

「そう。ノイベルト邸で兵のリストと必要な物資の計算をしていた。ノイベルトの私兵だけじゃなくて領民からの志願兵の分も」

「……ちょっと予想より動きが早いな」


 感づかれたか。

 いやそれにしては動きが遅い。

 感づいていたら、領の東側に布陣すべく早急に集めるはずだ。


「多分こっちが何かすると予想して早めに動いてるだけ」

「それだけならいいけど。うーん、テオがやられて一番困るのって何だろう」


 今回の件は、ノイベルトが一番恐れるのは俺達が何かをして自分の思い通りにならない事だ。

 真の狙いが何なのかハッキリしないが、今の所は国を売って王国に吸収される事だと仮定している。


「単純に私達が攻撃する事だと思う」

「それを本気ですると考えていれば、な」


 既に王国の動きとして決定した事なのに、俺が個人的にノイベルトを潰そうとしたら各貴族から批判が出る。

 結果的にノイベルトが国を売り渡す事を狙っていたとしても、それを知らず各貴族は適当に理由を付けて西の国を奪う気でいると思うからだ。

 俺がノイベルトを潰した場合、奪うとっかかりが無くなって王国にとっては現状維持となってしまう。

 王国貴族も西の国の不平不満を受けてばかりなので不満が溜まっていて、何かあればやってしまおうと言う空気が若い世代からも感じられた。

 それなのにノイベルトを潰したら、表立っては『国の決定に背くのか、横暴ではないか』と言われる程度だろうが、貴族間で俺達の評価は駄々下がり、何なら反感を持つ貴族も山ほど出るだろう。

 それではいけないのだ。

 だから表立ってノイベルトを叩く事は絶対に出来ない。


「恐らくテオもこっちが表立って何か出来ると思って無いし、出来るのであればとっくにやってる事もわかってる。でも最低限の備えはするはずだからテオの主導ではない」

「やっぱり家族間の問題?」

「多分ね。困った事があったらテオに相談する程度か、良くて話し合いのテーブルには付けるけど基本口出しできない程度か。口を出せるならこちらの主力だけでも転移門の魔法を使えるウィザード総動員で連れて行ってもいいはずだ」

「ん……もしくはこちらのウィザードに要請する?」

「そう。うちの人間があっちに居たら、俺が何かするにしても直接被害が出るような事は絶対出来ない。こっそり地中でサンバースト発動とか」

「そんな使い方考えるのトモヤくらいだから一発でバレる。それに出来るのチエかベスターくらい」


 地中での魔法発動の認識と制御なんて普通出来ないからな。

 後は地面に転移門の魔法を展開しておいて、そこを踏んだらどっかへ飛ばされるトラップとこかも考えたが、長時間転移門の魔法を開きっぱなしに出来る術者なんて一握りだ。


「まぁつまり、その手の対応が無い以上、ノイベルトの当主が主導でやってると思っていい」

「でもトモヤが天才って言ってた」

「元々仮定の話だし、その仮定が正しいとしても、そこに行きつくまでにどれだけの時間を費やしているかはわからない。ピレネーの分家の入れ知恵もあるかもしれない。もしノイベルトの当主が短期間で一人で思いついたとしたらその思考回路があるだけで悪魔だと思うけど、それなら先行して移動させる案は考え付くだろうし実行してもおかしくは無い。なんせ俺が手を出すって堂々と宣言してきたわけだし」

「じゃあ結果として凡人?」

「どうだろうね。頭がキレるつもりで考えていた方が無難だけどね」


 警戒しまくって後になって、実はそこまでキレ者じゃありませんでした、となっても被害が無いからいい。

 結局大した事無い奴だろう、と思っててどんでん返しを食らったら目も当てられない。


「もしくは転移させるのを考えてはいるけど、いっぺんに何人も運べない上に術者に負担を掛けるだけだからやらないだけか」

「でも、正式に要請があったら私はやらざるを得ない。だって平民と変わらない扱いだから」


 シェリールとしては俺の第一夫人以前に王女だから、兵の移動の為に転移門の魔法を使ってくれなんて言ってこれない。

 だが、シャルロットとしてはエルフではあれど扱いは平民なので、要望があったらやらざるを得ないのだ。

 仮に俺がストップをかけたとしても、シャルは表向き俺の身内ではない。


「そんな話が来たら世界樹にでも逃げてくれ」

「ん、察知したら逃げる」

「他は?」

「付近の町の様子はそんな慌ただしくはない。兵を集めている理由が『バウワーが兵を集めていると言う噂があるから』って事になってるみたい」

「……それは何と言うか、噛み合ってしまったなぁ」


 これではバウワー側に内通者がいたとしても、ノイベルト側はその情報の出所が本当はどこなのかと疑ってしまう。


「でも、そうでもしないと町が騒ぎになってバウワー側に話が漏れると考えるか」

「ん、もしバウワー側の行商人がいたとしても、『ノイベルトがお宅に合わせて兵を集めてる』って言う程度。そもそもバウワーに呼応しての動きであれば情報料は高くないから、わざわざバウワー側の人間とバレる危険を冒してまで知らせないと思う。どっちにしても大きな問題は無い」

「話しの前後が少し変わる程度で結果が変わらないからな。情報の錯綜も多かれ少なかれあるし」

「気になるのは、多分テオ発信で装備に関する資料があった」

「装備?」

「銃」

「……この世界でそれか……」


 俺は銃のメカニズムを知らないが、火薬と鉄があれば出来るイメージだ。

 恐らく精密な銃弾の制作はドワーフでも一部の者でないと難しいはずだ。

 だとするとリボルバー的な割と簡単な作りか、同じく構造が単純な旧来のライフル的な物だろう。

 流石に火縄銃だと装填に時間がかかるから人数がいないと実用性に欠ける。

 で、実際銃があったらどうなのかと言う問題だが、当たり前に脅威ではあるはずだ。

 俺達みたいに楓子が近くにいる時は強固なシールドで守ってくれていたら関係無いが、戦闘中は直撃以外の矢を逸らす程度の簡単なシールドが主流だ。

 理由は技量と魔力の問題で、楓子が異常なだけで一般的には集団に鉄壁のシールドなんて張れないし、何人かでドーム状に多重に張ったとしても肉薄する前衛には突破される程度だし、矢が雨のように降ってきたらある程度で破壊されてしまう。

 なので銃は使えると思う。

 ただし百丁単位で用意できるのなら。

 結局は矢とあまり変わらない扱いなので、集団戦ではある程度シールドに阻まれてしまうはずだ。

 それなら大砲を作って一基でも設置した方がよっぽど効果的だと思う。


「他に何かあった?」

「銃の設計図みたいなのしか見てない。結構細かい作りだった」


 だとすると、ある程度知識はあるだけに最新の物こそいいと考えるタイプかもしれない。

 バネの力で自動装填して撃てるくらいの機構ならこの世界でも何とかなりそうだし。

 だが魔法がこの世界では戦略兵器並に重要なのだ。

 小銃程度なら矢より射程が短くて使いづらい。

 ライフルなら射程は長く直進するだけで矢と大して扱いが変わらない。

 マシンガンくらいになれば脅威度は上がるが、この世界で作るとしてもちゃんと設計しないとならないし、高い技術で金属加工が出来るドワーフでもなければ作れないと思う。

 何よりドワーフの場合、大量殺戮兵器になりえる物は作らないような事を以前言っていたから、人間の技師を探す必要もある。

 その点大砲なら砲弾と火力と頑丈な金属があれば何とか作れそうだし、威力もアークウィザードのフレイムバーストくらいにはなりそうだ。

 大砲でもその程度の威力なので、実戦配備するなら十基は欲しい。

 だが大砲を作るにしても耐久性を考えると人間の技術では難しいと思う。

 一転して魔法だが、仮に千絵の魔法攻撃力で考えると、軽く核に匹敵してしまう。

 攻撃魔法が得意でないシャルでも使えば大砲以上の威力を発揮するだろう。

 何ならシエルが本気で相手すれば、大口径ライフル弾だろうが砲弾だろうが盾で弾いて切り伏せに行きそうだ。

 一般兵クラスまでなら銃器もそれなりに効果あるだろうが、あくまでその程度だと思う。


「もしテオが銃器でこの世界の戦争を制する気なら、それはあまり効果が期待できないだろうな」

「そう思う。むしろ暗殺とか対面で会う時の武器用」

「確かにそれなら脅威だ」


 弓みたいに射る為の動作もいらない、撃鉄を起こして引き金を引くだけだ。

 小型だから道具袋にも入るし、出して一瞬で撃てるから常時シールドが張られてない限りは簡単に殺されてしまうだろう。


「今度テオと会う時は必ず楓子を連れて行こう」

「ん、そうする」

「でもそうか、移動式の大砲くらいなら作っておいていいかもな……」

「ドワーフは作らないと思う」

「それなんだよな」


 ドワーフは各国と取引がある為、剣や鎧と言った物は作るが大量に人を殺せる装備は開発しない。

 それは戦争が起きた時に、それが有るか無いかで結果が変わり、それを供給したドワーフ王国にもある程度の批判や不満が向けられてしまうからだと言う。

 その割にクリスタルゴーレムなんか作ってたが、あれは元々研究がメインで実用品としては欠陥だらけだったらしい。

 そりゃ魔力供給があれば動くし相手の魔法を吸収するけど、近くで操作する術者がいないと動かないのであれば運用が難しいしな。


「その辺り誤魔化して」

「後で怒られるのトモヤ」

「はい、その通りです」


 あっちのお義父さんことドワーフ王は、俺やベスターに弱味を握られているとは言え、自国民を守る為ならきっちり動くタイプの真っ当な王様だ。

 仮に必要な分厚く頑丈な金属で筒だけ作ってくれと設計図を渡したとしても、その用途が怪しいと思えば徹底的に聞いてくるだろうし、それが兵器として運用できると思えば断って来るだろう。

 かと言って自国でどの程度の物が作れるかと言うと、まぁ作れるだろうけど品質はあまり期待できない。

 鉄の精製の時点でドワーフ王国に劣るし、砲弾を発射した時の衝撃に耐えれるだけの頑丈で分厚い鉄を作らなければならない。

 品質や混ぜ物によって変わる性質等の鉄に関する事は、まだ人間の技術や知識ではドワーフに遠く及ばないのだ。

 恐らくベスターがその辺りの知識がありそうだが、人間の手で作ったら作ったで必ずどこかに情報が洩れてあちこちで作られるようになってしまう。

 結局一度作ったら最後、その手の兵器は世界中に広がって運用されてしまうのだ。

 そうなれば戦争は一変するし、生存率も一気に下がる事だろう。

 平和を考えるのであれば、今の戦争を変えないのが最も優れた手だと思う。

 って事で大砲の事は諦めよう。


「それじゃあ、ノイベルトは多少準備してる程度って事か」

「そう。バウワーは前より兵が集まったみたい」

「シャルの演技のおかげか」

「女はみんな女優」

「その演技で俺を思い通りに出来るようになればいいな」

「むう……覚悟しておくといい」


 まだ今のシャルなら、どんなに誘惑されても大丈夫な自信ある。

 多分ここが崩れたら全員なし崩しだと思うのだが、そうなってしまった方がいっそ気楽なのにと思う部分もあり、お年頃の男子としては葛藤するのだ。

 立場上とか色々考えてさっさと手を出してしまった方が、多分人間関係的にもいいと思いはするのだけど、拗らせた童貞男子としては思い切って手を出すと言う行動にも出れなくてモヤモヤするのである。

 あーあ、ヤりたい。

 と思う位にはオスの自分もいるのだけど、一度この距離感と関係性で落ち着いちゃうと、いざ手を出そうと思っても一歩踏み出せないのだ。

 この件に関しては良く考えるのだが、自分が野獣にでもならない限りは解決の見通しは立っていない。


「とにかくありがとうなシャル。また何日かしたらお願いするよ」

「ん」


 前回のように頭を撫でると抱きついてきた。

 正直、シャルに関してはこの程度がいいと思ってしまうんだよなぁ。


昨日は気が付いたら16時間くらい寝てて書けなかったので更新遅れました。

毎年春は花粉でダメージを受けています。

元々小さいころ気管支喘息を持っていた事で、花粉の時期は気管支にくるんじゃー。

それで苦しみながら仕事してるせいか、この時期は生きてるだけでお疲れです。

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