第一章 十年十色 第六話 提案
お久しぶりです!
はじめましての方ははじめまして
やっと出来ました。
見てみてね!
最後まで読んで評価を付けてくれたら幸いです。
よろしくお願いします。
「・・・」。
清水宏は浮かない顔をして俯いている。
彼にも思い当たる節があるからだ。
石本由奈は自分の過去を言い終わり、一息安堵すると彼の表情を|見て少し後悔していた。
話さなければ良かったかなと。
「・・・」。
沈黙が二人の間で続く。まるで、誰もいない動物も虫もいない森にいるかのように静かだった。
すると、宏は下を見ていたらスーッと涙がひとつでてきた。
宏はなぜ涙がでてきたのか分かっているが由奈は分かってなんかいない。
分かっていないからこそ慌てて謝る。
「ご、ごめんなさい!私、そんなつもりで話したんじゃないんです。その、えっと、あの・・・」。
慌てる由奈を見て宏は優しくこう言う。
「誤らなくていいよ。この涙は君の過去を聞いて自分にも思い当たる部分があったからこそのだよ。簡単に言うと思い出し泣きだよ。」
彼は涙の跡ができている右目から口の部分を袖でふきニコッと笑顔を見せる。
その姿にほっとした由奈は徐々に落ち着いていく。
そして由奈は宏のことについて話を聞こうと思う。
「ねぇ、あなたはどんなことがあったの?なんとなく聞いてみたいと思ったからなんだけど。しかもさっきは思い出し泣きしたって言ってたし。」
確かになんとなくというのが理由のひとつではある。
しかし、単に自分だけ言って相手は言わないというのが嫌だったからというのが由奈の本音である。
「あぁ、うん。いいよ。僕も似たようなことがあったんだよ。だから、俺が体験したことを話すね」。
そう言った宏は自分の特異体質についていつからこうなったのかなどを話し出す。
話してる時にふと思い出す。
1つは自分の特異体質。
清水宏は相手の気持ちを色によって見極めることができる。
だから彼には嘘が付けない。でも、どんなことを思っているのかまではわからない。
1つは今まで出会ってきた人達は言っていることと思っていることが違っている人たちはいた。
中には言っていることと思っていることが同じ人もいた。大抵はこういう人達が多いのだが。
でも、由奈だけは違っていた。
普通、新しいことに挑戦する時に歓迎されたら誰だって嬉しいものだ。
でも、由奈は悲しんでいた。
この子のことを知りたい。そう思ったから宏はあんな言葉を言ったのだ。
あんな言葉を言ったのにも関わらず由奈は涙を流した。
ミスった。悲しませてしまった。不貞腐れたらどうしよう。そう思っていた宏だったが由奈は悲しんでなんかいなかった。
むしろ嬉しがっていた。
なぜあんなことを言ったのにも関わらず喜んでいるのか変態なの?なんなの?
そう思いながら由奈とバイト中過ごしていたが今はこんなこと思っていない。
変態じゃないんだったらなぜあの時、嬉しいと思ったのか。
今まで出会ってきた人達の中にこんな人はいなかった。
だからこそ、彼女のことを知りたくなったのだ。
宏はもう1つ思い出したことを由奈に言う。
「これは誰にも言ってないこと。だから、秘密にしていてほしい」。
そう言った宏はあることを話す。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
清水宏は友達が少ない。両親も厳しく勉強、勉強とずっといっていた。
唯一の楽しみである学校での友達との会話もあまりなくなってきた。
理由は夜遅い時間までの勉強をし短い睡眠しかとっていない分の蓄積されてきた疲労とストレスだった。
そのせいで休み時間は友達との会話をせずに寝てばかりいた。
そんな生活を続けていたある日、余りにも疲労が溜まったので家に帰ってきてからすぐに自分の部屋に行き寝てしまった。
気持ちよく寝ていたら顔に水をかけられた。
「誰だよ!何するんだよ!」
普段、怒ったりしない宏でも流石にカチンときたので怒鳴るとそこにはバケツを持った父親がいた。
「おい、宏。何寝てるんだ。そんなんで志望校に受かるとでも言えるのか。」
そう言った父親に対して溜まってきたストレスが悲しみへと変わってきたのだ。
なんで理解してくれないんだよ。
そう思った宏は家を飛び出す。
しくしくと静かにでも止まることはなく流れ続ける涙を拭きながらある場所へと向かう。
それはこの町、咲瀬町で一番大きな木がある公園である。
その大きな木にある条件を満たすと願いが叶うと言われているのだ。
その木に自分の思いを願いを叶えてもらおうとそこに向かう。
どうやら寝ていた時間は長かったみたいで公園につく頃には夜中の0時になろうとしていたところだった。
立ち入り禁止の柵を越え、木と柵の半分の位置にある石が目印なのでそこに合わせて願いを言う。
「どうか・・・自分を理解してくれる人に出会えますように。
この思いを咲かせてください」。
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このことを俯きながら言った宏は改めてこういう。
「やっぱりあの木が特異体質な人を生んでいるんだと思う。現に僕はその木に願いを言った日に特異体質になった」。
「たしかに、それは否定できないね」。
そう言った由奈であったが腑に落ちないところがあった。
じゃあなぜ私は願いを言う前に特異体質になったのだろうと。
「僕が推測するに多分、俺達以外にも特異体質はいるんだと思う。僕と君がそうであるように」。
宏自身、自分だけなんだろうと思っていたのだ。それは由奈も同様である。
何故こんなにも不幸なんだろうと思っていた二人。
そして、他にもいることを知りその人と友達になることができた。
それだけのことだと他の人が思っていたとしても二人にとっては奇跡なのだ。
そう思った宏はあることを考えつき由奈にお願いする。
「ねぇ、僕達二人で特異体質を持った人を探して見ようよ。で、本当に僕達以外にもいたらその人たちと友達になろう!僕達ならきっと見つけられると思う」。
そう言うと思っていた由奈だったからこそ答えは決まっていた。
そして、笑顔でこう返事する。
「お断りします」。
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