1.16 8人だよ全員集合!
1.16
「えー、今回の任務は失敗という形で終わりましたが、皆五体満足で帰還できたこと非常に喜ばしい限りであります。ターゲットが虹のボスの一人だったという誤算により失敗は免除されました」
作戦が終わり翌日開かれた会議に参加者は集合した。
「はい堅苦しいこと抜きにして俺から一つ。A班B班。よく生き残ってくれた。奴らの正体を聞いて私は、君達に無線が届かないようC班に退避を指示した」
遠回りすることなく直進したパスグラスの言葉は前線2班を見捨てたというものだった。しかし仕方ないことだ。今回は奇跡的に生存が出来たものの、奴らが戦闘態勢に入ればただ無駄死にするだけだった。それを理解している一同は誰一人としてパスグラスを責める者はいない。
「皆様のおかげで有益な情報を得ることが出来ました〜」
パスグラスの後ろのホワイトボードからキユリが現れ、変わらない笑顔を振りまいた。
ホワイトボードを裏返すと三枚の写真が並べられており、そこには強欲の吸血鬼と暴食の獣人と嫉妬の人魚がそれぞれ映されていた。
「あまり意識してなかったが、改めて見ると……」
「暴食も強欲も可愛いじゃねぇの」
「おいこらえろじじい共」
いやでも確かに刺さる。上品な衣が妖艶さを際立てている。暴食も暴食でスーツながらも大人っぽさを感じさせ、写真の中なら恐怖の権化というのを忘れてしまいそうだ。
「怠惰の妖精ですが目撃情報はいくつかあるものの、どういう訳か誰一人写真を撮ったものはいないそうです。特徴はまず片手が異常にデカいそう」
「はい皆。警察のキユリちゃんに協力してあげてね」
片手がでかいとはどんなものだろうか。そんなに大きかったら動けないんじゃないのか。そうなるとどうやって動くのか…………。ん……?片手……?大きい……。
「あ……」
「知ってますか……!?」
気づいたら横に来ていたキユリがヒバナの手を掴んで瞳を震わせている。あまりの近さに緊張し、思考が一瞬停止した。
あ……甘い匂い。
「見た事あるだけだけど……」
「先以外の特徴とかあれば」
特徴……。と言えば、手がでかいしかない……。
思い出そうとすれば、記憶に靄がかって薄くなっていく
「絵でもいいですか?」
「何でも〜」
しばらくキャンパスに描いてる間、キユリの話は終わり会議が解散された。
「これなんだけど」
「うまッ!…………ふむふむ……これ頂いていいですか?」
「いいけど……」
返事を聞いた瞬間携帯で写真を撮って保存した。その後すぐにラミネートしケースに収め、抜け目なさを見せつけられた。
「ありがとうございます〜!よかったらウチ来ていただけますか〜?」
「家?喜んで!」
────。
──。
「………………」
家来るとか言うからご褒美ものかと勝手に舞い上がってたことを後悔している。
長い道のりを経て連れてこられたのは、公認ギルドである第五師団の屯所。
事情聴取をされるのだろう。
前科探られたら即処刑なことばかりしてるんですけど。
受付で手続きを済ませると1人の案内人に連れられ、後ろからはキユリが着いくる。
「ハァ……」
「ヒバナ君お疲れなのにごめんねぇ〜」
「いえいえ、男は所詮性よ…………」
思考が一瞬飛んだ。というか、意識が飛んだ。刹那の間に頭にかなりの衝撃が来たのは分かった。
とりあえず再生出なかったことにしよう。
「あれぇ、これって死んでないですかねぇ〜。頭撃たれてるしぃ、マグネル隊長………罪の無い一般市民を撃つなんて………!」
いつもの緩さが消えてオドオドし始めるキユリは何とも嘘くさい。
「俺じゃねぇってマジで!」
必死に弁明してるけど、銃口の暖かい拳銃持ってれば逃げ場などないだろうに。
「いやいや現行犯逮捕だよ。マグロさんだっけ?」
生きてる様に驚きを隠せず、キユリとヒバナ以外の時間が停止した。
ようやく動きだしたマグネルの脳が導き出した一言は。
「つーか誰」
「そんな事より綺麗なお姉ぇさんとっととこのオッサン連行しちゃって」
「かしこまりぃ〜」
にこやかに手錠を掛けスキップしながらおっさんを連行して行った。腰を抜かした案内人は妖怪を見るような目で見つめた後、何も無かったかのように案内を再開した。
「こちらの応接室でお待ちください」
「はーい」
低反発に沈む椅子に座って待っていると茶が出てきた。
警察が義賊をやってるのがバレるのはマズイから、ギルドの知り合いと設定して欲しいとキユリに言われているため、キユリのこと聞かれた時は言葉を選ばなくてはならない。
「生態情報見させていただいたのですが、年齢86歳というのは事実でしょうか……。マギを使用した反応も見当たらないですし…………」
「生態情報がそう言ってるならそうだと思いますけど」
今思うとこの体の成長は止まって歳だけとってるのだろうか。それとも凍結してる間だけ成長が止まってたのだろうか。
「お待たせしましたぁ〜。極悪人無事逮捕です〜。資料提出しますねー」
「あ、キユリちゃん」
元気よく入室してきたキユリはとても爽やかだ。
周りの男たちと同じ制服を着こなし向かいの席に深く腰を掛けた。
「現在不確定ながらある情報のうち、存在を疑われてるのが色欲の鬼人、憤怒の妖魔の2種です」
「妖魔もなのか」
傲慢がまだ明かされてないが、現時点で種族が重なってない。それぞれがそれぞれの個性を持ってて対策が取りづらいな。
「あ、これ口外禁止の情報なんで、くれぐれもお気をつけくださいねー」
「え、そんな事をなんで俺に……」
「知っちゃったらもう戻れないですね〜。てなわけでヒバナ君には虹対策科に加わっていただきますー」
「は!?!?!?」
煽るように妖艶な笑みを浮かべるキユリに拒否は通じなさそうだ。警察がこんな事していいのだろうか。
「てのは冗談で、」
「なんだよ」
持ち上がった腰が安堵で脱力し、再び柔らかい感触に身を預ける。
「あでも虹対策科は本当ですよ?」
「なんでえぇぇぇええ!?!!?」
「そちらのギルドの2名から適任だと推薦を頂きました」
その2名は神太郎とギルマスしか浮かばない。
平和な生活を送りたいと思った日もあったが、よくよく考えたら非公式ギルドに入った時点でもうそれは叶わなくなっていた。一般的な仕事に就くべきだったと今更後悔している。
正直不死身と言えど痛いものは痛いしストックが無くなれば本当に死んでしまう。
「一応聞いておきますけど、加入は」
どうせ自分に平和は来ないと自分の不運を痛いほど味わってる。大手テロリストの幹部にも遭遇するほどだし。
「するよ」
応えを聞くと変わらない笑顔を向け、いなかった時に持ってきてた書類を並べられた。
5枚ほどの書類だが書くとなると面倒くさくてやはり断ろうか迷う。
「生態情報でも大丈夫ですよー。こちらに腕通して登録してから拇印を押していただければ完了ですー」
「お、それなら」
手間の無さに惹かれやってみるも、キユリは何か言いたげな様子を浮かべる。
「紙に目を通さず承諾するのは詐欺に会いやすいのでお気をつけくださいね」
「お、おう」
「後ほど証明書を送らせていただきますが、虹科の資料は係に許可を取ればいつでも閲覧可能になります〜」
敵のことを知るなら情報集めも大切だ。後で見せてもらおう。それと、ナズナが14歳の時に第二次反乱戦争が起きたと聞いた。第二ということは、寝てた70年の間に2回この国で戦争が起きていたことになる。そのため70年間の歴史が分かる資料もあればありがたい。
あいや、今どきネットで調べればすぐ出るか。
とは言っても歴史の管理人とやらに削除されてそうだ。
それとも削除されてるのは70年前の1部だろうか
どちらにせよ知っておいた方がいいだろう。
「資料室はこちらになります。撮影禁止ですので、携帯をお持ちでしたらそちらのロッカーに入れてください」
携帯をロッカーに預けると、沢山並べられた資料の中から虹の項目を見つける。資料を開き一番最初に移されたのは暴食の獣人だった。
暴食の獣人。 容姿は褐色の肌をしていて、歳を表すような真っ白な髪と狐の耳が特徴。圧倒的な力故か、戦闘中にもかかわらずご馳走を前にした子供のような笑顔だそう。100年以上前から存在する暴食の討伐作戦を4度決行したが、いずれも失敗に終わってるが、最も追い詰めた20年前の討伐作戦では流石に命の危機を感じたのか笑顔を失ったそう。そしてようやく討伐まで追い込んだが、その後はバーラから聞いた話の通りだ。
怠惰の妖精。謎。過去幾度か遭遇し戦闘を行ってるが、いずれもデータはなし。容姿の情報も皆口を揃えて手がでかい事しか覚えてないそう。中には戦ったことすら覚えてない者も何人かいる。相手の記憶や意識を操作する能力を持ってると推測される。
嫉妬の人魚。髪は蒼く、容姿は12歳ほどと幼いが100年以上変わらない。人に話しかけては自分を求めるよう強要し、断れば対象を水で包み吸収され地面へ消えてゆく。水に包まれた場合、中からではどう足掻いても脱出は不可能で、外から手を伸ばされれば簡単に抜け出せる。吸収された被害者の生存は確認されてないため、吸収された場合の生存は不可能とされる。また、少女に触れると体内の水分を吸い取られミイラになる。
嫉妬の人魚は以前フィーリアとフランコと調べたことがあった。何も分からなかったが。
強欲の吸血鬼。
虹の中では最も部下を多く従えており、テロ行為を頻繁に行い最も被害を出してる過激な種族。首領は20年周期で変わり、今の首領になってから部下に階級を設け実力や被害の大きさによって昇格するようにしモチベーションを上げている。その中でも幹部と言われる精鋭が存在し、それらは皆強欲の吸血鬼の子供だそうで5人確認しているが、それ以上いると思われる。
首領の能力は不明。
色欲の鬼人
腕にレッドパンダの印があり、罪持ちと疑われる。
確認されてるのは男女の2人で、2人合わせて色欲の鬼人なのか、片方が罪持ちで片方が部下なのかは不明。他の罪と違い被害や損害は出さないが、人の集まる公共の場の目立つところで性行為を行い、公然わいせつ罪で警察に毎度追われてる。子供の教育に悪影響を及ぼす恐れがある。このような迷惑行為しか行っていないため、戦闘力は不明である。
憤怒の妖魔
年老い弱々しく小柄に成り果てたその身には狂気は感じられないが、額に生えた2本の角は衰えず禍々しさを宿している。その存在は妖魔たちの間では戦時中から確認されており、レッドパンダの印と平均寿命を大きく上回るその存在を不審に思った妖魔から直に通報があり調査中である。
その妖魔は戦時中は妖魔軍の幹部で、最も戦果を挙げて英雄視されていたらしい。
今でも鮮明に覚えてる同じ幹部の二角との死闘。そんな二角よりも活躍していた妖魔となると一体どんなバケモンになるのだろうか。
資料には怠惰以外の写真が載せられており、疑いのある憤怒と色欲までもが載っていた。中でも幾度か討伐を決行された暴食は写真が多い。
ヴぅぅぅぅヴヴヴ〜〜!!
聞き慣れない特殊なサイレンが鳴り響き、思わず跳ねるヒバナの肩を後ろからキユリが抑えた。
「御安心を〜通報に反応して鳴るのでよっぽど非常事態ではありません〜」
よかった。疫病神が発動したかと思った。
「……ん、この妖魔の顔…………」
ブォォオオオオオオオオオオ
先のサイレンを潰すように不快で大きなサイレンが響いた。今度は流石に非常事態だろう。
「こちらは隊員からの通報ですね〜。非常事態です〜」
『監視対象の憤怒及び色欲に動きあり!2人とも同じ方に進んでいる模様!』
非常サイレンに隊員が走り回る中、キユリと壁沿いを歩いているとヒバナはふと頭に部屋のテレビが浮かんだ。何か大切なことを忘れているかのようなモヤモヤが頭を締め付ける。
「どうかしました?」
「あいや、なにも」
キユリは非常事態のクスッと笑い、考えるヒバナに笑みを向けた。
「大切なことを忘れたと同じように悩む人が私の上司に1人いましてね」
「へえ、その人は思い出せたの?」
「はい、その内容がですね、アニメを録画し忘れたとかで…………」
キユリの言葉の最中にヒバナはふと思い出したのか、悩みが吹き飛んだ表情を浮かべながら時計を見ると、次第にそれは汗で滲んでいき。
「ごめんキユリちゃん、俺すぐ帰らなきゃ行けない用事思い出した!」
旧世代と思えない走りっぷりでその場から立ち去ったヒバナだが、出口を前にした角から同じように走ってきた男に気づかず衝突してしまった。
「いてて、申し訳ない」
「いえこちらこそ…………ってあぁぁぁぁ!!!……パ……パン……」
加えていたパンを落としたのだろうか。パンと言う単語を呻きながら悲痛な声をあげた。
「ウツギ様パンフレットがああぁぁぁぁ」
落として踏みつけられた大切なものがキユリにはしょうもなかったらしく、冷たい目線を送る横でぶつかったヒバナもまた同じように悲鳴をあげた。
「ウォォォォォアアァァァァ!!それはディアゼロスツァーンラート2の数量限定パンフレットじゃないかァァァ!……ってあんた」
「ああそうだよ!踏みつけたやつら覚えてろよ!…………ん……お前……」
お互い目が合うとお互いを認識し、最悪の記憶が2人に蘇る。
それは少し前にヒバナがヘッドショットを受け、マグネルはその濡れ衣を被され連行された。そしてヒバナはそれを知らず、マグネルは加害者ではないが気まずい。
「「って固まってる場合じゃねぇ!アンデットブランク録画し忘れたんだった!!」」
ふと我に戻った2人は同時に立ち上がり一目散に消えてった
取り残されたキユリは嘆息を吐きながら会議室へ足を運ぶと、一番隊隊長ハタエが険しい顔つきで2体の座標を眺めてる。
「接点は?」
「只今計算中!…………出ました!リ、リィニオンの崖!にて合流の模様!」
────。
──。
「時は熟した。旧世界より続きしこの争いに、我らが終止符を打つのだ。次はない。1000年かけ準備をしてきたのだこの日のために。さあ、宴に……祭に……祝福を……!」
絶望の権化を前に、消耗で膝をつき息を切らした男が1人抗おうとする。
「1つ、聞いていいか。……お前の世界に巨乳の家庭教師や眼鏡をかけた幼なじみ、自分を慕ってくれる後輩女子はいるか?」
「そんなオプション不要だ」
男は「そうかい……」と俯き重たい膝をゆっくりと地面から剥がすと、剣を絶望の権化に突きつけ吼える。
「俺はお前を拒む!お前の世界には希望がない、明日へ進む希望が!今を生きる希望が!絶対にその野望は打ち砕く!」
「よかろう……ではその希望とやらを見せてもらおう……!」
家に着いた頃には既にクライマックスを迎え、手遅れを知らせてくれる。ではなぜテレビがついてるのかと言うと。
「あ、ヒバナおかえり」
ちょくちょく部屋に遊びに来てたカガリがアニメを見ていたからだ。
今度録画の仕方を教えておこう。
「再放送してくれるかな……」
そういえば今日自分を殺したあのおっさん。話せば気が合うかもしれない。もしかしたら銃撃も事故だったかもしれないし。
「今度遊びに行こうかな」
『ほう……これが貴様の言う夢希望というやつか……』
アニメを見ると、気づけば魔王が勇者と寝転びながら携帯を眺めている。そういえばさっき勇者が変な欲望を語っていたような気もする。
何だこのクソ展開と目を逸らすと録画忘れの後悔が消え去り、カガリが夢中になる横でチャンネルを変えた。
気に入ってたのかチャンネルを変えられたことに不満を表し服を引っ張ってくる。
「わーったわーったから………ゲームしようか」
「うん!」
テレビの下にあるコンシューマーゲームを起動しコントローラーを持つと、定位置と言わんばかりにヒバナの懐にちょこんとカガリは座る。
「…………」
最近は慣れてるが、思い返すと何だか弟が出来たみたいで心地よい。これが家庭と言うやつだろうか。
「かーがりー?」
しばらくするとハバリ姉さんがカガリを探してヒバナの部屋に来た。
「あ、ヒバナ……!」
ハバリが何か文句を言いたげにヒバナを睨むが、ヒバナにはなんの心当たりもない。酒に酔って何かやらかしてしまったのだろうか。
「ソマリに変なこと教えたのあなたでしょ!」
「え……なんのこと……」
よく部屋に来るカガリならまだわかるが、そうじゃないソマリとなると本当に心当たりが…………。
「今ソマリどうなってんの?」
「ハバリ姉〜」
ちょうどいいところにソマリが現れた。
口調から平和慣れが伝わりヒバナはほっこりしてしまう。
「69ってなんで……」
「おいちょっと待て」
想像の斜め上を行く変貌にヒバナは思わず立ち上がった。ゲームの操作はカガリに任せてソマリによると壁ドンから顎クイのコンボをくらわせた。
「ちょっ……ソマリになにを……」
「ゴムはつけてよね」
「持ってねぇしヤらねぇよ!……おいソマリ。お前、読んだな?」
ヒバナの問いにソマリは掌をヒバナの顔の前に出すと中指と薬指をクパクパ開いて閉じてを繰り返した。
「答えねぇけどお前絶対読んだよな………!?」
「ねえ私分からないんだけど2人は何を……」
「いい!ハバリは知らなくていい!お前にはまだ早いってか一生知らなくていい!」
どうやらソマリはヒバナの購入した同人誌を読み漁っていたらしい。また、ヒバナの一連の行動に対する反応から察するにヒバナのパソコンの中の官能小説まで読んでたみたいだ。その中にも当然18禁モノもある。てかほとんどそれだ。バレないように隠したいたというのにいつの間に漁られていたのだ。電子の中までも。。。。獣鼻恐るべし……。
ーーーーーーーーー
「はーァ……みんな来るかなぁー」
「来てるよー。みんな元気みたいでなによりねー」
事が終わりベッドに脱ぎ散らかしたスーツを着始め、欠伸をしながら後ろに問いかけるのは暴食の獣人。
そしてその後ろで衣を着けずにベッドに沈む強欲の吸血鬼は片目を閉じて笑って応えた。
「明日には全員揃うんじゃないかしら。…………あら、もう1人来たのね」
ベッドから降りると上品な漆黒のドレスを纏い、髪を編んで獣人と共に広い廊下へ出ていく。
「私色欲と傲慢に会うの初めてかなー」
「りえりー性欲が強いから色欲とは気が合うんじゃないかしら?」
「別に私性欲強いわけじゃないよ!?」
しばらく進むと、巨人専用とも言える巨大な扉に着いた。
強欲の吸血鬼が扉に触れると重量はどこえやら、重々しい音を立てながら軽々しく開いた。
「ああ、最初の一人はあなたでしたか」
白い肌に浮かぶ深紅の唇はクスリと小さく歪み、両手でドレスの裾をつまみ軽くスカートを持ち上げて礼を示す。
「ごきげんよう、ケイアス殿」
「え!?え、えぇぇぇえええ!!?!!?」
無知の暴食の獣人は予想外の来客に声を上げた。
虹が全て登場したのでまとめます
強欲 吸血鬼
暴食 獣人
怠惰 妖精
嫉妬 人魚
色欲 鬼人
憤怒 妖魔
傲慢 神聖
一人一人が1つの軍に匹敵する戦闘力を持ってます。




