武中くんはなんやかんやで今日も異世界を救う
「武中くん。おはよう」
「あっ、おはよう。石川くん」
「いつもここ通るの?」
「いや、今日はさ。昨日のが終わって直でここに戻って来たから」
「直なの? 大変じゃない?」
「まあ、体力的には問題ないかなー。気分的には一度家に帰りたかったけど」
「帰ればよかったじゃん」
「んーまあー。戻って学校行くのも面倒臭いし。それに家族みんなも慣れてるし」
「武中くん自身が問題ないのなら、いいんだけどさ」
「いや、それよりもさ。昨日はごめんね。突然、先帰ってなんて。遊戯王やるはずだったのに」
「しょうがないよ。だって、あれでしょ? えっと……なんだっけ? なんとか剣――」
「覇王断鎧剣カオスブレイカーだね」
「そうそれ。覇王断鎧剣拾っちゃったんでしょ?」
「まさか駄菓子屋の前に落ちてるとはね」
「僕達には全然見えないから、ちょっとびっくりしたよね。どんな形だったの?」
「なんだろう? 刀身は紫色で鍔の部分が羽みたいになってたね。なんかいかにもーって感じ」
「いや、いかにもーって言われても」
「ゲームとかによくある、後半で手に入りそうな派手な武器あるじゃん? あんな感じ」
「そんな感じかー」
「そうそう」
「で、どうしたの? あのあと」
「いやまあ、選ばれし勇者うんぬんみたいな声が聞こえて、次の瞬間には異世界カイアルドに召喚されて。あとは普通に邪王ダークメノリスをぶった斬って倒したけど」
「重要な部分、端折るの?」
「まあ、いつもの感じだし」
「いや僕、いつもの感じ知らないし」
「あれ? 石川くんに話してないっけ?」
「うん。ほら、僕は一年の時、武中くんとクラス違ったし教室も遠かったから」
「そうだったんだ。なんかもう色んな人が知ってるから、喋っちゃってると思い込んでた」
「だからさ、邪王ダークメノリス倒した時の話教えてよ」
「教えるって言ってもな~。なんかもう、邪王の城はすぐに行けたし。覇王断鎧剣カオスブレイカーがもう根本的に強すぎたからね。あれ振ったらさ、もう勝ち確定みたいな武器だったから」
「ええー。何それ。じゃあ覇王断鎧剣カオスブレイカーを他の人が使ったらよかったのに」
「いや、覇王断鎧剣カオスブレイカーは世界のどこかに飛ばされちゃってたんだって」
「それが駄菓子屋?」
「それが駄菓子屋」
「じゃあ、おばちゃんが本当は選ばれてたじゃない?」
「だったら渡しておけばよかったなー。あれならおばちゃんでもサクッと倒せたよ」
「いやいや。さすがにおばちゃんだったら波乱万丈の展開を迎えるでしょ?」
「いやー。あれはできるよー。振るだけだもん、ほんと」
「それは百戦錬磨の武中くんだから言える発言だよ」
「そうかなー? いやー、なんかそういう風に褒めて貰えるの、すっごく久々」
「そうなの?」
「だってもう、異世界行って救うの当り前になってるじゃん」
「なってるかも」
「でしょー? だから嬉しいんだ。ありがとう、石川くん。もうなんか気分が凄くいいから、色々教えるよ。異世界救った話」
「ほんと? じゃあさ、この前の体育の授業抜けだした時さ――」
「えっと……どの日かな? ほら。こっちの世界に召還される時に元の時間に戻してくれる場合と、時空間のズレで数分から数日飛んじゃう場合もあるし」
「あっ、そっか。ごめんごめん。先週の長距離走の時。急に消えちゃったやつ。あれ、結局その日に帰ってこなかったじゃん。大変だったの?」
「あー、虚空断層世界レントのやつか。あれねー。あれはとにかく敵が多かったからね。なんか九匹の堕天竜を倒して終わりかと思ったら、それを裏で操っていた悪神ヴフラ・バギを倒すことになったんだけど。それがまあ、死ぬ寸前で逃げる逃げる。で、ようやく倒したと思ったら破片が散らばって、その破片に呑み込まれた四三四人の狂信神者を浄化してたから」
「ええー。悪神クソうざいね」
「だって悪い神様だもん。それくらいはやって来るよ。逃げる時には毎回、猛毒とか瘴気とか邪気とか撒いてたからね。ほんと嫌い」
「最悪じゃん」
「でも……正直白状すると、ちょっとラッキーとも思っちゃったんだよね。長距離走嫌いだもん」
「いやいや。命懸けで戦ったりする方が嫌でしょ?」
「慣れればそうでもないよ? 異世界に行くとだいたい強い力つくからね。あとなんか強いものにも転生するし」
「転生って……生まれ変わるの?」
「そうそう。普通に人間の赤ちゃんからモンスター。あと武器のパターンもあったかなー?」
「武器とか完全に自分で動けないじゃん」
「武器転生は厄介だよ、ほんと。僕の所持者が子供とかだと、モンスターを殺しちゃうのも葛藤するしね。まあ、僕も始めの内は大きい生き物や会話ができるものを殺しちゃうことに抵抗あったけど」
「それ、武中くんのこと知らない人が訊いたら、とんでもない危ないやつだって思われるよね」
「心外だよー」
「武中くん、あれかな? 長期間異世界救わなかったりすると禁断症状とか出ない? 悪いやつ滅殺したいとか」
「僕をなんだと思ってるのさ、石川くんは」
「ごめんごめん」
「まあ、いいや――あとはスライムとかゴブリンとかはいいんだけど。形容し難いよく分からない生き物の時は転生した瞬間、困るよね? あれ? 僕はどっちのスタンスで戦えばいいんだって」
「どっちのスタンスって?」
「いいやつか悪いやつか」
「悪いパターンもあるの?」
「結果としては世界救うことになるんだけど、嫌われ役する時もあるよ」
「どういうこと?」
「異世界ブラフェミニアに行った時は悪魔獣ガルドドヴァに転生して、東西南北それぞれにいる勇者を倒したね。なんかその勇者達を倒さないと、世界崩壊のループから抜け出せないとかみたいで」
「じゃあ、その時は悪中くんになるのか」
「なんだよ、悪中って。それじゃあ普段は善中になっちゃうじゃん」
「いや。だってしょっちゅう授業サボるじゃん。悪中くんだよ、普段も」
「酷いよ。僕だって好きで世界救ってんじゃないのに。あっちが勝手に喚ぶんだもん」
「でも嫌じゃないの? 嫌われ役って」
「嫌だよ、そりゃ。でも世界救わなきゃ帰れないし」
「異世界よりもこっちの方がいいの?」
「そりゃそうだよー。まず何より、ワンピの続き気になるし」
「理由それなの!?」
「超重要要素だよ! いやさ。他にも続きが気になるアニメや漫画、やりたいゲームもあるけど、やっぱワンピだよ。真っ先に浮かぶの。ほら、いるじゃん? 最近のワンピつまんないーとかいうやつ。特に原くんの周辺。でもさ、一度、異世界に召喚されてみるといいんだよ。気づくよ? うわー。ワンピってやっぱ神じゃんって」
「いやいや。武中くんみたいにポンポン異世界に行けないから」
「行けるようになってくれないかなー。言ったら絶対、僕の言ってること分かるからね。ワンピ、マジで神」
「でも。家族とか友達じゃないんだ、理由。ふ~ん……」
「うわっ! 悪中くんって目で見ないでよ!」
「大丈夫? 人としての感情、異世界に置いて来てない?」
「さっきお礼言ったばかりじゃん。バッチリあるよー。立派に感情!」
「そうだったね。まだ辛うじて残ってるね」
「……それにさ……それは言うまでもないじゃん……」
「……恥ずかしがってる」
「怒るよ?」
「ごめん。ごめんってば。小突かないでよ、数々の悪を滅ぼして数多の世界を救った拳で」
「そうだね。僕は普段は善中だからね。許すよ」
「気に入ってくれたんだ、それ」
「今度、召喚されたら、使ってみようかと思うくらいには」
「なんだろう? ちょっと嬉しいな」
「新しい二つ名をありがとうね」
「どういたしまして――って、そうだ。異世界ではやっぱ二つ名で呼ばれたりするの?」
「うん。そうだね。覚えてるのだと、単純に勇者。魔王。獣。大賢者。破壊神。レッドソーサラー。カオティックプレイヤー。デーモンイーター。ドラゴン・オブ・フォービドゥン。ルール・ワン。ザ・ミスティック。緑の銃士。陽の仔。神海ヲ統ベル王とかあるねー」
「並べると寿限無みたいだね」
「あとあっちの世界でしか意味が分からないよ系は、アールエッジの獣。ドゥンガ・ベルナ。イズズ・メ・ハン・サーンサーン。氷の一のカラトリア。蒼々天螺の剣聖。破邪木一反。蛇陀荒紗馬名とかかなー――ここら辺はあっちの文化色が強いから、ピンと来ないよね」
「ほんと何言ってるのか分からないレベルだね」
「僕も説明されても意味がよく分からないものの方が多いよ。ただまあ、だいたいはその世界での伝説や神話から取られてるね――そういう系では伊藤とかもあったよ。伊藤の武中」
「それ伊藤さんの使いっ走りみたいだよ!」
「だよねー。でも、なんか伊藤っていう英雄がいたんだって」
「その人も武中くんみたいに召喚された人なの?」
「みたいだよ――あと悪中っぽいのは、蠱毒の澱。大天魔の化身。ザ・ダーク。邪界王の下僕。墓堀人。人心を穢すもの。蔑むべきもの。悪童。不気味のタケナカ。触れるべからずのタケナカ。見るなよタケナカとか」
「もう悪口じゃん。特に最後なんか!」
「あと『目』とかあるね」
「目?」
「うん。『目』――文字通り目の怪物に転生した時ね」
「それ二つ名って言うの?」
「うん。一応、パーフェクトアイズって言う名前の怪物に転生したからね」
「『目』のパーフェクトアイズってカッコ悪くない?」
「まあ、あっちはカッコイイと思ってるから。感性の違いだよね?――ちなみにアイズって言っても目玉一つの怪物なんだけどね」
「じゃあ、なんで複数形なの?」
「なんか目系の怪物が僕の元に集結したんだよねー。あの時は骸骨神に物量戦で臨んだね」
「目玉VS骸骨って妖怪みたいだね――でもさ。そんな色んなものに生まれ変わったのに、元の武中くんの姿になって戻って来れるんだ」
「まあ。なんだかんだで世界救う頃には、その世界の構造そのものをどうにかできたり、なんか次元を操作できたりするからね。神様系が返してくれなかったり、みんなの頑張りでも無理だった時は、自分から空間繋げちゃうわけ」
「怖い怖い怖い。世界操れるの? やっぱもう悪中くんに片足突っ込んでるよー」
「仕方ないじゃん。帰りたいもん。だけどあれだよ? この世界には一切何もできないからね。この世界では普通の武中なの」
「じゃあ、ただの武中くんだから只中くんだ」
「今なお異世界に召喚されたりする日常の真っ只中だからね」
「おっ! 気づいてくれた? さすが武中くん」
「でしょ? さすがでしょ?――でもさ。初期段階ではそういう特典が一切ない、ほんとただの武中の時とかもあるからね」
「ええー。じゃあ、どうするのー?」
「それはね。異世界を何度も救ってる経験が活きるわけ。『ああー。このパターンだったら、あの方法を教えればみんなで勝てるなー』とかね」
「武中くんだからできる方法だね」
「かもねー」
「だったらさ、一番大変だったのってどんなの?」
「一番かー。色んなパターンがあるから甲乙つけがたいけど、厄介なのは異世界にいる時に別の異世界に召喚されたりすることかなー。さすがに焦るよ? 僕がいない間にその前に召喚された異世界が滅ぼされたら、元の世界に帰れないんじゃないかってビクビクするもん」
「二重召喚とか、そんなこともあるんだ!」
「最高で四重があったね。あの時はいつにないくらい本気出したよ? ほんと異世界はもう、思いもしない色んなことがあるからね」
「異世界に召喚されてる時点で、思いもしないことだけどね」
「まあね――って、そうそう。元に戻れないと言えば、トラック転生系もビクビクするね」
「あー。阿部くんが『心臓に悪いからやめてくれ』って言ってた、あれ?」
「いや、僕もあれは怖いからね。トラックが迫ってくる時、『もしこれが異世界召喚じゃなくて普通の交通事故だったらどうしよう』って思うもん。だから、目が覚めたら神様がいるとホッとするの。『よかった。ただ世界救うだけだ』って」
「なんか大変だね、異世界救うだけじゃなくて行ったり帰ったりするのも」
「そうなんだよ。異世界行ってもいいことばかりじゃないんだよ?」
「そりゃ、色んな戦いに巻き込まれるだろうしね。怖いよね……」
「……板嶋くん。まだ怒ってるし」
「そっち!? ネトゲやってた途中で、そのゲームの世界に召喚されちゃったってやつ?」
「そうそれ! 別に僕が好きで入ってるわけじゃないのにさー」
「でもチート行為は良くないよー」
「他人事みたいに言わないでよー。チート能力だって、あの世界の女神様が勝手にくれたわけだし」
「板嶋くん……相当、課金してたみたいだしね……」
「僕のアカウント名がそのままで召喚されちゃったお蔭で、チーム組んでた板嶋くんと笹くんのアカウントも一時凍結されちゃったみたいだし。不正行為してないのに」
「板嶋くん。限定イベの準備してたみたいだからね……」
「僕は僕でさ。チート行為で永久垢BAN食らっちゃったし。まあ無課金だったけど」
「マジで!? 世界救ったのに出禁なの!?」
「救いないでしょ? あのゲームの裏で行われた陰謀に立ち向かってゲームの世界救ったのに」
「その旨をメーカーにメール送ってみたら?」
「鼻で笑いながら言わないでよ。どう考えても駄目じゃん」
「一回。一回やってみようよ」
「やだよー。絶対変なやつって目つけられるじゃん」
「……でもさ。いいこともあるでしょ? 異世界に行ったらモテモテになるんじゃない?」
「…………」
「なんで黙るのさ?」
「……怒らない?」
「もうそれ、答え言ってるようなもんじゃん。いいよ。言ってよ」
「……正直言うと……すっげぇモテるよ」
「やっぱり!? すげー羨ましい!」
「石川くん、声がデカイ。デカイ」
「だって羨ましいもん!」
「でもさ。正直困るよ? なんか理由分からないけど好意抱かれるのも」
「贅沢だよー! どうでもいいじゃん、モテるなら――それともブスなの?」
「いや。みんな可愛いし。おっぱい大きい人もいるし」
「自慢してるじゃーん! めっちゃ自慢じゃーん! おっぱい触ったの? ねえ!? 揉んだの!? 見たの!?」
「だから石川くん、声デカイから」
「仕方ないじゃん! 見たいもん! 触りたいもん! おっぱい!」
「恥ずかしげもなく思ってることをそのまま曝け出せるの。僕さ、結構凄いと思うよ?」
「そんなのいいから! どうなの!? 柔らかかったの!?」
「うん」
「いいなー! すげぇ目が輝いてるよ、武中くん! 異世界いいなー! おっぱい触れるんだー! おっぱい触ったら、そんな綺麗な目になるんだー!」
「でも、僕から触りに行ってないからね! 相手が押しつけてきたり、たまたま着替えとか覗いちゃったりするだけだから」
「僕も異世界救いたいなー!」
「いやいや。僕は別におっぱいのために異世界に行ってるわけじゃないし」
「でも、おっぱいあるんでしょ?」
「うん。あるよ、おっぱい」
「武中くん、世界救った話してる時なんか目じゃないくらい、ドヤ顔決めてるじゃーん!」
「だって、おっぱいだし」
「ほら! なんかすっげぇ場数を踏んだ、歴戦の戦士の顔してるもん!」
「まあ、場数を踏んだ歴戦の戦士だし」
「おっぱいの!?」
「おっぱいも」
「武中くんも、もう曝け出してんじゃーん!」
「でもさ。おっぱいは嬉しいんだどさ――」
「嬉しんだ」
「うん」
「おっぱい触ると、そんな純真な声で返事できるようになるのー!? おっぱい効果すげーよー! 僕もあやかりたいよー!」
「でも、僕を取り巻く人間関係を考えると、お腹痛くなるよ?」
「何? みんな喧嘩するの? 昼ドラみたいになるの?」
「なる時もごく稀にあるけど……なんかみんな仲良くて、みんな一緒くたでいいよって迫って来るパターンが多くて――」
「ハーレム!? ハーレムなの!?」
「まあ、そうなる時もあるけど――」
「いいなー! おっぱいハーレムいいなー!」
「いやいや。混ぜないで、その要素」
「おっぱいハーレムの何がお腹痛くなるのさ!? おっぱい成分の過剰摂取?」
「おっぱい成分って何さ?」
「分かんないよー。だってそもそも、おっぱいでお腹痛くなるっていう因果関係が分かんないもーん!」
「いやだってさ。表ではみんな仲良くしてるけど、腹の内で怖いこと考えてたら~なんて思うと、ね……」
「みんな性格悪いの?」
「いや。むしろ『どうしたの?』ってくらいみんな性格いいよ。なんか悪そうにしてる子もいるけど、最終的には優しいし」
「可愛くて性格がいい優しいおっぱいハーレムよりもワンピ選ぶって。ほんとどうかしてるよ、武中くん!」
「ワンピは神だし」
「分かんないわー! その価値観、武中くんしか分からないわー!」
「だから異世界召喚されてみなよ? 分かるよ、ワンピが神って」
「おっぱいの方が神だよ。おっぱいで世界救えるよー」
「まあ、ある意味、おっぱいのお蔭で世界救ってる部分は否めないよね」
「ほらー! やっぱおっぱいついでに世界救ってるようなもんじゃーん!」
「誤解だよ、石川くん!――おっぱいはたまにあるからいいんだ」
「何を決め顔で言ってるのさー! いつもがいいよ、おっぱい。もう僕の中じゃ完全に異世界=おっぱいだよー!」
「あくまでも世界に救いに行ってるからね。おっぱいよりも、この世界だよ? やっぱ――って。あっ、ヤバイ」
「どうしたの?」
「う~ん……喚ばれてるっぽい」
「分かるの?」
「うん。なんか頭の中で女の人が呼びかけてる」
「ええー。先生にはどう言っておけばいい?」
「うーん……今日の給食のデザートなんだっけ?」
「えっ? えっと……冷凍ミカンだったはずだよ」
「じゃあ! 給食までにはなんとか戻るからそれ取っておいて!」
「調整することなんてできるの!?」
「まあ、経験則から来るなんとなく。ぐらいだけどね」
「じゃあ分かった。先生に言っておくよ」
「ありがとう。それじゃあ、ぼちぼち救って来るね」
「うん。気をつけてね! で、帰ったら、またおっぱいのこと聞かせてね!」
「異世界救う話ね! ついたらラッキーぐらいのオプションだからね、おっぱい!」
「そっちはいいよ。簡単に倒しちゃうんでしょ? それよりもおっぱいだよ。おっぱい話の方がいいよー」
「石川くん、少しは英雄譚に興味を――」
「うわー……なんの前触れもなく急に消えちゃうんだ……」
「いいな、おっぱい」