episode2. XX13年
やがて年が明け、XX13年となった
カナトとアルテナのいる国では新年を迎えると、人々に生まれつき必ず宿るとされている※"シンカク"やその他神々への祝福として、年が改まってから約10日間 昇ってくる朝日を崇める期間があった
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※"シンカク"というのは心の核という意味があるらしく、天使を宿す者もいればそこらへんの草花にいるような妖精を宿す者がいたりと、人によって様々であった
上級魔導士たちの多くはこのシンカクをつかって能力化し、宿す者のチカラを借りながら戦うことがあるという
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国中がこの朝日を待ち望み、そして昼夜関係なくお祭り騒ぎでにぎわっていた
暗くなって月が出ても町中は真昼のような賑わいが絶えず、まるで夜がきていないようにみえることから、人々はこの期間を、"ヨルナシ"と呼んでいた
そして、国の財政は多少厳しいときがあったとしても、この期間はどのジャンルでも物流が潤い、なおかつ他国の人々の観光ピークであったため、デフレはすぐに改善されるような仕組みになっていた
そんなヨルナシの8日目
人々はいつもと同じように、また次の朝日を待っていた
月が降りはじめ、朝日が昇ろうとした頃、先程まで晴れていた空が急に曇りはじめ、だれもがきいたことのないような、耳が張り裂けんばかりの巨大な爆発音と、眩いばかりの白い光が世界中を埋め尽くした
その直後、空から沢山の羽がひらひらと舞い落ちてくる
人々がそれに触った瞬間、触れられた羽は次々と鋭利なガラスのようなものになり、ある者はかすり傷程度で済み、またある者は肉を抉られ、町中、国中、いや、世界中の人々が自らの血で紅く染められた
「女神が殺された」
どこからともなく誰かが口にすると、国中の祭り騒ぎが一変し、理性がぶっ飛び狂ったように叫びまくる人々の恐怖の断末魔へと変わったのであった
やあ3」9196781〒→×$まから$>☆|ハッハハッ!!!!!!
多くの人々が訳のわからないことをブツブツと呟きながら、彼らのその"シンカク"が次々と放たれ、シンカクを無くした人々はその瞬間 まるで人間らしさがない程に感情が無に等しくなったのであった
あまりにも一瞬の出来事であったが、それは今後 長い歴史をかけて語り継がれる物語のはじまりのきっかけとなる
ヨルナシの8日目の朝日は二度と昇ってくることはなかった