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いつかのラグナロク  作者: q6
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episode1,5.あの頃に運命を知ってしまったとしても何も変えることはできなかったのかもしれない2


side. アルテナ Code:074


わたしの名前はアルテナ。


町のみんなからはなんでか名前で呼んでもらえないけど、ひとつ年上のカナトには、アルって呼んでもらってるの。


なんでも、わたしの名前は、死んだ両親の故郷で祀られていた女神アルテミスから名前をかりて願いを込めてつけられたらしい。


両親がいなくなったのは3歳の頃らしいけど、ほとんど記憶がないし、いまは親戚のおばさんがいてくれるし、そのためか親が恋しいとか、そんな感情があまりないの。


その感情がゼロっていったら嘘になるわ。


町へ買い物に出かけると、わたしと歳の近い子供と、その子を叱っている親をよく見かけるの。


わたしは叱ってくれる親もいなければ慰めてくれる親もいない、ふと、そう考え込むときがあって、悲しくなるの。


でも、そんなときは隣にあるカナトの家に行って、ラミおばさんの焼きたてふわふわのパンを食べて元気になるんだ。


ラミおばさんはわたしのことを我が子のように可愛がってくれるの。


カナトのこと、毎日面倒みてもらってありがとうねっていわれるけど、感謝するのはわたしの方だわ。


そして、ラミおばさんは わたしの家のおばさんと仲が良くてね、お互いの家でほぼ毎日といっていいほどお茶会をしているから、本当によく世話になっているの。


毎回作っているわけでもないけど、むこうの家でお茶会をするとなると、わたしの家ではクッキーを作るの。


自分で作ったとはいえ、とっても美味しいし、それを持っていって食べながら、たわいもないお喋りするのがとってもたのしいの!


そして、部屋の奥からこちらをじーっとみているカナトにも、クッキーを持っていってあげるの。


するとね、女の子にも負けないくらいのとびきりの笑顔で、ありがとっていって食べてくれるの。


あくまでわたしよりひとつ上の年のくせに、不覚にもかわいいって思っちゃうわ。


わたしはそんな毎日が好き。


そして10歳となったいまでは、身の周りのことはある程度できるようになったし、家にはちょっとばかり気が強い親戚のおばさんが、わたしの面倒を見てくれる。


おばさんはとにかく自分にも他人にもビシバシ物を言う人なの。


ラミおばさんは反対におっとりしていて、二人とも正反対だからこそ仲が良いのかもしれない。


厳しいおばさんの元にいるためか、自立心が強くなったわたしは喧嘩も強かったし、滅多に泣いたりするような性格ではなかったの。


自慢できないけど、カナトより男勝りだったわ。


そんな、XX12年


まさか次の年にこの世界が一変するだなんて、だれもわかるはずがなかった。


いや、わたしがわかっていたとしても、ちっぽけなわたしにとってその存在はあまりにも大きすぎて、どうすることもできなかったと思うわ。


運命って、逆らえないものなのね。






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