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05 祝福の口付けを1

言葉の壁(主人公は日本語しか話せない)をどのように突破させようかと、思っておりまして、

今回、ファンタジックに言語の問題をこんな風に突破させてみました、の前編になります。


「お、重い…。苦しい…」

 私はあまりの苦しさに、目を覚ました。



「……」

 何故、犬が? 私の腹にのしかかっているのだろう?


「……」

 何故、少女が私の右腕を抱えて眠っているのだろう?


「……」

 それよりも、闇色の男が…、何故、私を抱え込んで眠っているのだろう???



 ……年甲斐もなく、キャーと大声で叫んでみようか?


(ああ、そういえば、確か…何かにのしかかれられて)

 いままで気を失う状況に見舞われた事などなかった。だからびっくりした。

(スーッと『眠りに陥る』というよりも、パタリと視界と意識が『遮断』されるんだ…。

どうせなら、あの化け物やこの部屋も悪い夢だと、逃避でもできるユーモアが私にあれば…)


 などと意味もなく、自身を分析してみた。




(それよりも、重い…、苦しくてキャーの悲鳴さえ出せない…)

 状態を変えようと私が身じろぐと、途端。




「ぐ…!」

 私の腹部を占有していた犬が、勢いよく頭を持ち上げ、前足で私の胸を押しつぶすように重みをかけたのだ。


「ぐるるる!!」


 獣の唸りをあげ、牙をむく。


 銀色に輝く、犬だ。いや、狼?!

 さっき、私に向かってきたのは、この銀色の狼だ! 憎しみの念ににた狼の拒絶の瞳が鋭く私を貫いた。とてつもない大きさだ、あの時の4つ目の化け物よりもその大きさは小さいが、私の恐怖がくびをもたげた。


(ひっ、こわい! 恐い!)

 恐怖の連続に私の心臓が悲鳴を上げる!






「ふむ。おきたか女神よ」


 その言葉に呼応するかのように、狼は私の上から下りた。

 私の左隣にいたはずの男が、ベットから下りていた。ベットが狼の重さ分たゆみを戻し、私の体も、重みの拷問から開放された。


 狼は何事もなかったように、私から離れ、男の足元にその銀毛の身を置いた。





 男の瞳に、私が映る。





「そ、その犬…、狼は…」


「ふむ、貴殿が眠りに付いたので、僕もそれにしたがったまでだが?」


「あ、はい。そうでしたか…。いえ、それで、あの、その狼は…」


「彼等には、城を自由に使えと言ってあるのだ」


 …もしかしたら、ものすごく会話にマイペースな人物かもしれない…。

 男は変わらず、…私の狼の問いかけに、正確には答えてはくれていない。


 ばくばくとまだ心臓の鼓動がおさまらい。

 とにかく、その銀色の狼が『恐いもの』であるかどうかの確認を取りたかったのだが…。


「どこで惰眠をむさぼろうと彼等の自由なのだよ。それに、ここは僕の部屋だ。貴殿に使用を許可してもいるが、

ふむ、何か問題があったか?」


 よどみなく闇色の男は話す。まるで、おはようの挨拶でもいうかの如くの、普通さだった。


「……」

 やはり、頭が追いついていない。

 あまりの畳み掛けるような状況の多さに、何が問題か? と問われても、どれが問題かすら、わからなくなってきた。


 ちらり とみれば、銀色の狼は男の足元で、尻尾を床と水平に揺らしながら威嚇をするが、襲い来る様子はしない。

 とりあえず、『今は』危険はなさそうだと、自身に言い聞かせた。



「い、いえ…、特には…」


 とりあえず、ベットから身を起こそうと、

「……?」

 左腕の固定が揺るがない。少女が私の腕を抱えこみ、すやすやと寝息を立てていた。



(…ほどけない…、ち、力が強い。思ったよりも…、強い…)


「あの、ごめんね。腕を離してもらうね?」

 眠る少女に優しく語りかけると、 少女の瞳が開かれた。


「……?」

 蜂蜜色の綺麗な瞳が、私を映しこみ、不安に揺れた。


「~~~~」

「~~~!」

「~~~!!」


 と、少女が私に語りかけるのだが、言葉がやはりわからない。こんなにも懸命に話しかけてくれる少女の言葉がわからず、申し訳なく思う。



「あの、すみません。『彼女』はなんて言っているんでしょうか?」

 闇色の男に問いかけた。ぐるぐると、その足元で狼が私を威嚇するが…。


「『彼女』? それは『どれ』のことだ?」

「え?彼女のことですけれど…」


 私はいまだベットにいる少女をちらりとみて、その視線の先を男に伝える。


「…ふむ」


「あの…」


「仕方がない。女神よ、手を…」



 『貴殿の内にあふれる「言葉」よ。言語として、構築されし「音」よ、ここに、光の形となりて、我に下れ…』



 男の方角に掲げた私の右手から光の二重の輪が広がった、


 輪が回り、

 輪が回り、

 光の輪が回り――。


 そして、私を取り囲むようにその輪の数が増幅をし、私を包み通り抜ける。

 通りぬけた輪たちは、きらきらと回転をし、輪が幾重にも重なり、1つの球体を形成した。球は私の目線よりやや上部で、両手を広げた大きさの球体に固定された。


「ふむ。思ったより、言語構成の量が多い」


 男の『量』の意味を理解できず、球を覗き込むと、そこには……



「に、日本語、これ、日本語の言葉?!」 


 光の輪にたゆといながら、現れては消え、消えては現れ…


 単語、森、家族、犬、菓子、星、ベット、田舎、秋、たわし、満天…

 挨拶、ありがとう、こんにちわ、うるさい、ご自愛くださいませ、やったぜ、幸いです…

 言葉…です、ます だ、のに、では、まるで、候………


 無数の私の知りうる日本語で構成されていた。


「わ、な、何これ、何これ…」

(でも、すごく綺麗…)

 その不思議で綺麗なそれに私は、驚きながらも ため息を漏らす。

 ああ、日本語ってほらやっぱり綺麗だと…

 日本の言葉が視覚的に表現されるならが、やっぱりこんな風に見えるのだろうと、嬉しくなった。



「ふむ、やはり、貴殿は光で構築されていたではないか」

 男は、私からあふれ出たその『光る文字のまゆ』を見て、満足げに呟いた。


次回で、少女との会話を予定しています。

主人公の、心の移り変わりなど、上手にかけていないため、感情移入ができず、

くわえ、まだ、各キャラの魅力が書ききれていない点、に反省です。


そして、いまだに、自己紹介すらしていないので、キャラたちの名前出していません、すみません。

え? 名前決まってないから、出してないんじゃ…、……。

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