09 女神の役割
魔王と女神の関係と、二人の世界での役割を書いて見ました。
魔王のしゃべりかたが、まどろっこしい口調なので、読みづらいかもしれませんが、
よろしくお願いいたします。
「貴殿が、世界にあふれ湧き出るごとに、貴殿は僕に名をつけるのだ」
「こんなに、ですか?」
これほどたくさんの名前をつけるなんて、女神様名前をつけるのが趣味なのかもしれないと、漠然とおもった。
けれども、この量は多すぎる、魔王は20代後半ぐらいの見かけだから、そんな頻繁に女神様は出てくるのだろうか?と首をかしげた。
「ふむ、そうだな、思えば、それなりの量はあるな」
初めてそのことに気づいたように、魔王は部屋を見渡した。魔王が部屋の本から本へ感慨深く、視線を移すたび、ぽう ぽう とその視線の先に火が灯る。
ゆらゆらと、魔王のとなりにおとなしく座り込む銀毛の狼の尻尾が同じく揺れるのだから、きっと、そのともし火は狼の仕業なのだろう。
「それだけ、この世界のほころびがあるということにもなるか…」
「ほころび、ですか?」
私は手に持っていた本を、破いたりしないようにと丁寧に棚に戻しながら、聞き返した。
「なにをいまさら、貴殿は世界のほころびを察知し、その修復を僕に願うために、現れるのではないか…」
「だから、今回も現れてすぐに、僕は呼ばれた。貴殿にだ」
「私が貴方を呼んだ、んですか?」
そんなことはないと思う。どちらかといえば、もしや貴方が私をこのわけもわからない世界に呼んだのではないかとさえ、疑ってしまう。ここが、地球ではない別の世界であるのなら、だ。
「貴殿に呼ばれた、だから、僕は貴殿を獣からすぐさま救うことができたのだよ」
そう、強い瞳で断言され、私はすくんでしまった。
ああ、そうだ、確かに助けてもらった。彼が来なかったら、きっとそこで終わっていたのだと、恐怖で背筋が凍った。
「僕を召還できるのは、女神である貴殿のみなのだしな」
そういいながら、魔王は狼の頭を自然に撫でで、ぐるぐる と、心地よのだと、狼がのどを鳴らした。
「やれやれ、そんなことも、忘れてしまったか?」
魔王の視線が私に戻され問われる。私は忘れる以前に、知りもしないことを言われ、困惑した。
「いいや、きっと、形を得るかわりに大地の根元においてきてしまったのだろう」
無言でたたずむ私に魔王は笑った。ああ、こんなに柔らかな笑みをたたえることもできる人なのだなっと、私は不覚にもどきりとしてしまった。
「で、今回のほころびの修復は何だ? 僕に願う、内容を、その名を示すがいい。
それが、僕の名、契約の名」
「『契約』……」
そういえば、私は、魔王と初めて出会ったときに、脳裏に響いた言葉を思い出した。そうだ、あの時確か『世界の契約の名を示せ』と響いた。
「『世界の契約の名』…」
私がぽつりとつぶやく。
「ああ、そうだ。では、今回の契約の名は?」
何だ、やはりわかっているではないかといった声色で話された。
「あの、もし、もしでですね。その貴方の言う『契約の名』を私が貴方に伝えなかったら、どうなりますか?」
不意に疑問に思い、私はそうきりだした。このまま私を女神と勘違いをし続け、その結果私がなにも云わなかったら、もしかしたら、大変なことになるんじゃないだろうかと、不安が押し寄せる。
「ふむ。滅ぶ。世界の大地がちりじりに消え、世界は消えるが?」
「……!」
「だが、その心配は皆無ではないか。そのために貴殿があわられ、僕が滅びを防ぐのだから」
それが、『この世界の揺るぎの無い摂理なのだと』そう、魔王はまるで当たり前のように私に答た。
ようやく、女神の内容を書くことができました。
ストーリー的に、主人公が自分を女神として自覚し、契約の名を思い出す努力をさせようか、
女神ではないと魔王に理解してもらい、本物の女神を探す努力をするのか、のどちらにするのか、決めかねていたりいたします・・・。
結果、この物語はハッピーエンドの予定です。