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竜眼のハーフエルフ  作者: 二砂音 
一章 小鬼と辺境の村 覚醒と旅立ち
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8話 明り

「やだ! くらくてなんにもみえないしこわいよ!!」


 多少は明るいのに見えない? 夜目がまだ弱いのだろうか?


 ごねるニコの声量がだんだん危険な大きさに高まるのを防ぐため、荷物だけ根元の藪に隠してから、背中にニコを掴まらせて、見当を付けた一番高そうな樹を登ってみる。


「すごいすごい! むらいちばんのきのぼりじょうずだよおねえちゃん!」

「そうなのか?」

「そうだよ!」


 そうこうしてる間にだいぶ上についた。

 ニコが震えている。

 どうした?


「たかすぎるよ!」

 ふむ、確かに。

 下を見るにさっきの崖の、川と同じくらいの高さか。


「ここから落ちたら確実に助からないな」

 ニコが思い切り抱き着いてきた。

 怖いのか。

 そうやられると、なんだか私もこの高さが怖くなってきた気がする。


 いや……するかな?

 冷静に下を見、どうやれば無事に済むか落ち方を考えてみると、うん、大丈夫そうだ。

 私はだが。


「ピイ! オコプン!」

 途中、穴が開いてるのでのぞいてみると、小さな動物が飛び出していった。

 眠っていたのを邪魔してしまったようだ。


 被膜? のようなものが手足に付いていた。

 それをうまく使った手なのだろうか、フワっと浮かび上がるようにして、隣の木に飛び移って消えていった。


「うわっ、ななに!?」

 ニコは見ていなかったようだ。


 後で知ったが、モモンガという生き物らしい。


「それよりもニコ、下を見ずに周りを見てみろ。そして目を開けるんだ。あそこの明かりが見えるか?」

 周りの木々から飛び出した、私達が昇っている樹の頂きから、横に伸びる枝に着地し、片手を幹に添えて、もう片方でその先を指す。


 そこにはかろうじて人がいるような、灯が、小鬼の血だまりみたいな黒緑の森中から漏れ出ていた。


「すごーい! たかーい! あかるいのはみえたけど……でも、わかんなぃ……」

 ふむ。

 どうしたものか。

 月明りに照らされ遠く、山脈が波のようにうねっているのが見える。


「山の形とかで位置がわからないか? 多分あの灯は人の灯だと思うぞ?」


 しかしなんと美しい。

 星が煌めいて、山脈から風が響いて来る。


 森はざわめいて、騒々しい。

 小鬼達が居なくなってからはことさらにだ。

 手の平の樹の中から水の音もしている。


「えぇ……やま? あ! ほんとだ! じゃあこっちはもっかことか……ぉばけあなのほうだ……」

 ニコがひときわブルッと震えた。


「モッカ、湖、? お化け穴?」

 反対方向にそれがあるのだろうか?

「うん、ちかづいちゃだめなんだよ? ゴブリンがでるから」

 そうか。


 そっちから嫌な匂いはしてるな。

 風はなんでも教えてくれる。

 ふむ。


「じゃあ、あっちの明るいベイリ村の方に行こうな」

「うん!」


 少し安心したのか、子供だからなのか、ニコは寝た。

 背中から降りたがらなかったのでそのまま進んでいる途中、気が付いたら寝ていた。

「すぴ~……」

 背中に鼻水がついたぞ。よだれも。


 あと髪が邪魔だ、長すぎる。

 ニコに一部が挟まれてちょっとだけ引っ張られて痛いし。


 カサ……。


 しばらくすると藪がなくなり、むき出しの地面が広がっていた。

 道?

 広く、ずっと続いている。

 獣道ではないな。


 木も切られたのかない。切り株とやらが脇にあるぞ。

 たくさんの人族だろうか? 靴跡が混じり合っていてできている。

 ゴブリンの裸足の足跡もあるが、それはわずかだ。

 

 ここから左は村の方向まで続いているように見える。

 反対側は…やはりか、山脈の切れ目の方角に思える。

 なるほど。

 街道というやつなのだろうか?


 左の道を行く。

 街道はたいへん歩きやすい。

 足跡でようやく思い出したが、靴が欲しいな。

 長く歩くのにも戦いにも靴がいるだろう。

 ニコさえも靴を履いている。

 私やゴブリンは履いていない。


 その後、だんだんと何故か不安になっている私がいた。


 何だ?


 街道の先は暗いが特に何もない。

 両端は藪で、そして森だ。

 それだけだが……。


 ふと、街道脇の草むらの中に白く光る何かが見えた。

 骨?

 なんだろうか?


 その時だった。


 地面が急に盛り上がり、真っ黒な隙間が出現する。

 その中にいくつかの光る眼が見えた。


 そして、月明りに反射して光る、金属のようなものが飛び出した。

 反応して瞬間的に動き躱すことはできたが、ニコを背負っていることを忘れていた。


 いかん!


 ニコに当たってしまう射線だ。

 躱し方をしゃがむ形にしなければ――。


 一瞬、動作が動作が遅れてしまった。


 ピシュンッ!


「ウッ!」


 自分と、そしてニコにも当たらないよう体を動かした影響でこちらに飛んで来た物体を左肩にくらう形になった。


 それは矢、いや形が違った。

 矢羽根、がないし短い。

 ボルト? 確か……弩、に使用される専用の矢のはずだ。


 弓と違い、直線にしか飛ばない代物だった気がするが。


 もう二丁あるのか、鈍く光る二つがこちらを向いていた。


 仕方ない。

 私は背中のニコを道脇に落とした。


読んでくださりありがとうございます。

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