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竜眼のハーフエルフ  作者: 二砂音 
二章 湖の街編
33/64

31話 夜盗

 始めて人間、人族を殺した。


 殺す気で投げて来たから、仕方ないが……。


 盗賊達「うおお!? 今、跳ね返したぞ!」「ちっ、違え! つ掴んで、投げ返しやがったんだ!」

 驚く盗賊達。

 即座に矢筒から取り出した矢を弓につがえしゃがむ。

 バシュンッ!

 その油断だらけの何人かの、でかいやつ、猪顔の魔物らしき横を向いてよそ見してる奴の頭に矢を撃ち込み、殺した。

 ドスッ!

 魔物?「ブギッ!?」


 ドオオオンッ!

 こめかみに刺さって即死した。

 ガラアンッ。

 手斧のすごい感じ版の武器が肩かけした背の向こうへ落ちる。


 バシュッバシュッ!

 ズンッ! ズガッ!

「ヒィッ!」「ぎゃああ!」

 二射目からは必死になって連中が躱した為、全部外れた。

 小鬼ゴブリンよりは動けるようだ、残七。


 む。

 そろそろ背後の連中が動きだした。


 だが、この気配は、離れていくな……逃げたな?


 む、こちらの、小川向こうから来た連中も、散り散りになって森の中に消えてゆく。

 全部逃げ出してしまった……。


 ビクター「お、追い払った! 蜘蛛みたいに逃げ散ってった!」

 ソニー「フゥ~~」

 ものすごい速さで全員逃げ散っていった。

 小鬼ゴブリンより早い。

 やるな。


「ざっけんなこらあ! かかってこいよ意気地なし共ぉ!!」

 やる気満々だったガストンがなんというか、怒っているな?

 あれは……照れてるのじゃないはずだ。

 どっちかわからない。


 ケンウッド「な、なんで“オーク”が混じって!?」

 ガストン「よくわかんねぇけど、はぐれてんのを飼ってたとかじゃねえですかね?」

 オークというのか、あの豚に似た青いのは。


 魔物が人間と一緒に居るのを始めて見た。色々全部が初めてばかりではあるんだが。

 何で盗賊に混じっていたんだろう?


 逃げ散る連中の気配が最初バラバラだが、一つの方向にまとまって逃げて行っているな。


 地面に耳を付けるとよりわかることに今朝気づいて、今回も聴いてみた。

(ガサガサッ、ザッザッ、ドタドタッ……)

 兎の足音よりも連中のドタドタした足音は良く響く。


「最初はバラバラだったが……あっちの、尖った山の方向に全員逃げているな」

 兄妹「「へ?」」

 ガストン「すげぇ耳だなルーナ、多分“アジト”だろうな……えーと尾行も含めると六人以上だろ? なら居残りがいるとすりゃ、それ以下だから、後は、10人前後かざっと?」


 ビクター「せ、先輩、追っかけるんですか!? それに人数って、ホントですか? オークもまだいるかもしれないんですよ?」

「あぁ、まあ、戦える連中はって感じだけどな。わかんねぇよ? ざっとだぞ」

 ソニー「……村ではゴチソウなんですよね、オーク肉って」


「よーし、追っかけろー!」

 私「あっベルっ待てっ!」

 皆が話してる間に、荷馬車から飛び出したベルがいきなり盗賊を追っかけて森に飛んでいった。

 

 私も追う。


 ガストン「おい! ホントに追うやつがいるかルーナ! やめろ! 深追いすんじゃねぇ!」


「偵察? だけしてベルを捕まえたら戻る!」 

 走りながら一瞬振り返りそう言って、彼女はベルの光る軌道を追って林に消えた。


 ビクター「……また全部倒しちゃうんじゃないですかね?」

「だめだ。盗賊共ってのは馬鹿に見えっがけっこうずる賢い、そう簡単にゃ行かねーはずだ。あいつももすぐ理解して戻って来る……筈だ」

 ビクター「筈!?」


 ソニー「ご飯までに帰って来るでしょうか」


 ケンウッド「困りましたねぇ、街まであと少しなのに……」

 盗賊と魔物の死体二人を眺め、そう言う彼はおかしいと思っていた。

 森の奥や荒地でもあるまいし、衛兵団が警ら、哨戒している街周辺に何故盗賊が、しかもオークと一緒になって出没したのだろうかと。


 ――――


 逃げた盗賊達を無邪気に追いかけるベル、それを止めようと走るルーナ。


 ヒュ――カサッ。

(ベルッ)

 大声で止めようとすれば盗賊達に聞こえそうだな。

 と思い、黙ってついていく。


 地面に蔓延はびこる蔓が引っ込み、藪に毛玉みたいな何かが突っ込み隠れた。

 森の生き物達が驚いて離れていくのを感じる。

 木々の間から、梟がこちらをじっと見つめていた。

 跳び飛んでってた星みたいな小動物、あれは見たことあるな、膜を広げて滑空? していった。

 すまん、騒いで。


 夜の森を光に導かれるようについていくと、川が木立から見え隠れして見えてきた。


 足跡が集まってる。

 連中が合流し、川に沿って走る獣道を逃げているようだ。

 このまま行けばアジトとやらにたどり着くのではないだろうか?


 ベルの飛ぶ速さが遅くなった。

 盗賊達もだ。


 追いついたな。


 彼女は止まって道端の目立つ花のとこで匂いを嗅いでいる。

「ベル、勝手に奴らを追っかけてくのは危ない。あと――『ルーナっ、このお花おいしいよ!』――しぃっ、こっちにおいで、耳のとこで静かに話して」


 彼女がやるように、花を取って裏側を吸ってみる。

「む? ……本当だ。甘いな」

 ぺろ。

 蜜がおいしい。僅かしかないが。


 はっ! むむ、盗賊達がどこかに入り込んだ。

 ザッ。

 耳を地面に当てて聴くと、下の方に行った……。


「なんか消えちゃったね? どこ行ったっ、聞こえる?」

 ベルも感がいいようだな。

「……土の中にいる気がする。いや、空洞があるのか? そっちだ、行ってみよう」

 ベル「土ん中?」


 ガサカサ。

 獣道をすすむと、足跡が道を逸れ藪の中に消えている。

 藪がかき分けられた跡がある。

 私たちも、いや正確には私だけかき分けて進む。

 あった。

 待ち伏せ小鬼ゴブリンみたいに、蓋がある。藪の中だから特に隠してない木のやつが。

 ギィ……少し開いてみたら、穴が開いていた。


「もぐらみたいだね! ルーナ」

「もぐら? ……見たことないな」

「あたしも! ネズミくらいのね、穴掘ってね、土ん中からお鼻だけ飛び出てヒクヒクしててね! そんだけ!」

「私も見てみたいなそれ。ちょっとこの下を覗いてから帰ろうか」

「うん! モグラいるかなぁ?」


「でかいのがいそうだな」


 もう少しだけ行って見よう。

読んでくださりありがとうございます。

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