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“もうひとつの顔”

「ねえ、ちゃんと手洗った? ほんっと男の子って、そういうとこ雑なんだから」

 ある日の夕方、僕の部屋に入ってすぐ、彼女が眉をひそめた。


「え、洗ったよ! ちゃんと石けんも使った!」

 慌てて手を振って見せる僕。


「ふーん……ほんとかなぁ。……まあ、合格ってことにしといてあげる」

 腕を組んでふんぞり返る彼女。


「いやいや、なんで上から目線なんだよ!」


「だって、たかくんには言いたくなるんだもん」


「俺にだけ?」


「そう。特別待遇」


 特別待遇ーーつまり、マウントを取られるのは僕限定。

 他の誰にもしないのに、僕にだけ。


 でもその顔がたまらなくかわいくて、どうしても笑ってしまう。



続きは25日9時でお願いします。がんばります!

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