第九話 命を繋ぐ手
今日もポン子は元気いっぱいです。ただ、相当の怖がり屋さんなのが気になっております。庭に置いてみますと、暗いところや狭いところにすぐに入りこんでしまいます。ぴゅーっと風が吹けばそれだけで怖いのでしょう。ずんぐりむっくりの黒い姿がすぐに私のところへ駆け寄ってくるのです。このような可愛い盛りですので、ポン子の将来につきましては、今は思考回路が止まったままなのです。
体重はやっと1キロを超えました。口の周りが白く、目の周りが黒く、全体的にはこげ茶と黒のグラデーションがかかった艶やかな毛並みをしております。二人でポン子を遊ばせておりますと、外平獣医から連絡がきました。飯塚市在住の同じ獣医師の先輩で、狐の赤ちゃんを保護していて、タヌキも預かって構わないとのことでした。ただ、もう少し大きくなるまでこちらで育てて欲しいとの要望でございました。少し光明が射したような気持ちになりました。
しばらくしますと、今度は保護した田中さんから別の話が参りました。知り合いのつてで、3年前に狸のオスを飼い始めて以来メスの狸を捜しておられるとのこと。かなりのお金持ちの家で、狸を世話する専任の方まで付いているとのことでした。どちらも良いお話には違いありません。ポン子が大人のドッグフードを食べられるまでもうしばらく先のお話です。
それでは今日はこの辺で終わりにしたいと存じます。




