第六話 小さな命、目が開く日まで
タヌキの行く末を心配しておりましたところ、外平獣医さんがアドバイスをくださいました。今はフリーで各動物園へ往診しておられますが、少し前までは北九州市営の動物園に専属で勤務しておられました。よくタヌキの赤ちゃんを保護したり、一般の人も動物園へタヌキを連れて来ていたそうです。それらのタヌキを半年ほど動物園で育てたあと、近くの山に放したそうです。動物園では今は預かっていないそうです。
途方に暮れているこちらの様子を見透かしたのか、
「育て方ってね、そんなに難しくはないですよ。猫の乳飲み子を育てるのと全く同じ。ティッシュでお尻とかおちんちんとその辺りを刺激するとオシッコやウンチが出やすくなります。ただね、あんまり擦りすぎると赤く腫れてきます。できれば指先で刺激してやる方が良いかもしれませんね」
なるほど。その通りに啓子と代わる代わる指先でこすってやりますと、毎回おしっこもウンチもすんなりしてくれました。
「この子お利口さんやねぇ!!」
日ごとに目が少しずつ開き始めました。やはり目が開くと可愛さが10倍増します。
それから数日後のことです。保護した田中さんから電話がかかってきたのです。大変ショッキングな話でしたので、それはまた次回にお話することといたします。
それではまた。