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第37話 自然のバランス

「あのう.....確かに今前田さんが仰った事はもっともな話だと思います。一方で、タヌキのポンちゃんは瀕死の状態の乳飲み子から育てた経緯がございます。大切な命ですし、わが子と同じです。無上の愛を感じております。だから今は自然に帰すかこのまま飼い続けるか迷っております。ただ殺処分などとんでもないです。ポンちゃんの顔や仕草をみているとタヌキを捕獲して食べる考えは私達にはあり得ません」




喋りながら、ポン子の顔が自然と浮かびました。




「議員や知事の皆様に申し上げるのは釈迦に説法かも知れませんが、今や日本中で熊や猪やアライグマなどが民家までやって来ております。その結果人を襲ったり、畑を荒らす報道の枚挙にいとまがありません。日本の森林面積は、2500万ヘクタールで国土の3分の2も占めております」




長年、生徒たちに教えてきた性分からでしょうか、これまで調べた情報をできるだけ噛み砕いて話していました。




「野生の動物が山から下りて来ない様に、政府や自治体はもっとブナ科の広葉樹を植えてもらえないでしょうか? そうしたらどんぐりなどの木の実ができて、動物たちの貴重な餌になるはずです。戦後、日本中でスギやヒノキなどの針葉樹ばかりが植えられてきました。およそ4割がスギなどの人工林なのです。もちろん、それは建築に必要な木材となり、林業従事者の収入源でもありました。




ただ、国や自治体がもっと長期的な視野でバランスの取れた植林を進めていれば、もっと多様な樹種にあふれた豊かな山林が実現していたと思っております。そして、熊や猪が山から民家まで下りて来ることも減らせたのではないでしょうか。




それから、もう一つの問題は、林業を担う若い職人さんが不足していることです。長年、輸入木材に押されて国産木材の価格が低迷し、切られずに放置された森林が増えているのが現状です。




もっと政府や自治体が林業を魅力ある産業に育て、山を守る人材を育成していただきたいのです。国や自治体へのお願いですが、人と動物が共生できる仕組みをぜひ作っていただきたい。そして、生態系が回復するよう、予算をしっかりと組んでいただきたいのです。




もっと動物に優しい国であってほしいと、心から願っております。私たちも動物も、自然界の中で生かされていることを、どうか忘れないでください」




話し終えると、数人の議員から拍手が起こりました。


-続-

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