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第十五話 小さな出会いが家になる

木枠の台に乗せたケージは、リビングのテーブルに座った時にポン子と同じ高さとなり、目線が合うようになっております。さらに、先住の3匹の猫たちのケージの下にも、同様の木枠を作ってくださいました。椅子に腰かけたまま、ポン子や猫たちの様子がうかがえる素晴らしい環境となりました。


もちろん、ケージの中にポン子や猫たちをずっと入れておりますとストレスが溜まりますので、時々出してやります。もともとケージに入らず、部屋を自由に歩き回っているタメゴロウとクロコに加えて、ケージに入っているムー、オハナ、トムの4匹の猫とタヌキがそろいますと、大運動会が始まるのです。さらに、いろいろな悪さもいたします。


全身白のオス猫トムは、管理センターから保護した甘え上手な猫です。手が届かない高い棚の上に上がって、壁紙で爪とぎをいたします。なかなか降りてこず、最終的に捕まえるのに脚立が必要になるほどです。


猫のクロコはメスで、仲間内では一番意地が悪いのかもしれません。人間で申しますと、お局様といったところでしょうか。ポン子やムーの子どもたちが近くに寄ると、「フーッ」と威嚇するのです。


噛みつくことはしませんので、躾のつもりなのかもしれません。猫たちは皆、訳ありで我が家の子になったのですが、このクロコとの出会いには驚かされることがありました。


ある日、家の前を痩せた貧相な黒猫が通りかかりました。啓子と私は、まだ子猫だと思って「可哀そうに」と食べ物をやりました。すると味を占めたのか、翌日もやってきました。また食べ物をやったのです。


それから数日後、友人がチャイムを鳴らし、啓子がドアを開けた瞬間、猫の群れが一斉に家の中へ突進してきました。黒猫は実は親だったのです。子猫を産んで間もなかったために子猫と勘違いしておりましたが、その子が子猫3匹を連れて、当然のように家へ入ってきたのです。


私たちは二人ともパニックになりました。黒猫は「この家なら食べ物がもらえる」と判断し、子猫を連れてやってきたのでしょう。


子猫たちは、成田にいる娘のところや知り合いに引き取られましたが、クロコだけは貰い手が見つからず、以来、我が家の子となったのです。


クロコの話はそのくらいにして、唯一のムードメーカーがサバトラのタメゴロウです。


もともとエイズキャリアではございますが、これまで発症することなく現在に至っております。野良だった時、顔は大きかったのですが、猫同士の喧嘩に負けて、2度目に負傷したところを保護しました。おじいちゃんで優しく、ムーやポン子を我が子のように可愛がってくれるのです。


最後に、ケージに入っているオハナをご紹介しましょう。黒光りした毛のメス猫で、家に来た時はわずか110グラムの乳飲み子でした。


野良猫の親がプランターで3匹産み、育児放棄したのです。プランターの持ち主が気づき、3匹を保護したものの、元気な子から亡くなっていきました。その持ち主はノイローゼになってしまいました。


電話で相談を受け、私たちが引き取って育てることになったのです。とはいえ、私も啓子も乳飲み子から育てるのは初めての経験でしたので、猫仲間に教えてもらいながらの育児でした。


ちなみに、「オハナ」はハワイ語で「家族」という意味です。


ポン子とムーは年齢も近く、大きさも同じくらいなので、いつも仲良く2匹で遊んでおります。ポン子を抱っこした時には、ケージにいる猫たちとケージ越しに鼻と鼻を合わせて、スキンシップを行っております。


このまま穏やかな日々がずっと続くことを願いまして、本日はこの辺で終わりにしたいと存じます。

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