おや・・・美少女の様子がおかしくない?
「うひひひひ、この後わたくしとケイはお互いの初めてを捧げ合うのですね、ふんふんふーん♪」ザシュッザシュッ!
拝啓お父様お母様、私圭〈ケイ〉は現在異世界転生しております。心配しないで下さい。
"今"は元気にやっております。
所で聞いて下さいよ。今の僕の現状を…
異世界転生して出会った女騎士〈シャルさん〉についていき、近くの宿がある村まで向かっているのですが、その道中モンスターがたくさんでてきます。そのモンスター達を彼女が剣で倒していくのですが・・・
怖すぎるんだよなぁ…何か独り言をいいながら嬉しそうにモンスターを切っていくんだもの。
いっぱい血が飛んでくるのに何故か彼女にはかからない。代わりに剣は血まみれだけど。
ドラコちゃんは怖くないのだろうか?嬉しそうに僕の手をつなぎながら、その様子を僕とみているけど、結構グロテスクよ。前世のホラー映画がかわいく見えちゃうぐらいだもん。
「ねぇドラコちゃん?怖くないの?結構血がとんでるし、モンスターの断末魔も聞こえるし」
「??別に怖くないよ?こんな光景よくみるもん」
異世界こわっ!えっ?何?この光景日常茶飯事なの?前世の世界がいかに平和だったのだろう。
こんな暴力的な世界なら自分も自分の身くらいは守れるようにしていないといけないな。
それにもしかしたら、自分が気づかないうちに異世界転生したことで、肉体能力などが向上してたり、チート能力をもらっているかもしれない。
とにかく武器がいる!丸腰では不安すぎると思い、シャルさんが倒したゴブリン?が剣を持っていたので、ドラコちゃんと手を繋いでいる反対側の手でそれをもってみる。
う〜ん、何か剣なんて初めて手にもってみるけど、シャルさんの剣と違って、安っぽそうだし刃こぼれしている。まぁないよりかはましか。そう思いながら剣をみていると
「お兄さん、なにをしているの…?」
「うん?いや丸腰だと怖いからね、僕もモンスターがきたら自分の身は自分で守りたいと思ってね」
「…お兄さんはわたしが守るよ?」
「いや、流石に女の子それも自分より年下の子に守ってもらおうとは思わないよ。むしろ守ってあげるよ。女の子を守るのは男の務めだからね」
ふふっ、我ながら良いこといった。ドラコちゃんには逃げ惑う情けない姿を見せてしまったからね。
少しはドラコちゃんも見直すだろう。
ちなみにこれは関係ないことだが前世では、学校の休み時間にライトノベルをこっそり読んでいたら陽キャの吉田がそれをさっと奪いとり
「おや〜、5軍の松田君が何か読んでるな〜。何々''王女様君のことは僕が守る 平民の僕が聖剣を抜いてしまい、最強になってしまった件"だって〜
君が守れるのは精々自分の童貞だけじゃないか(笑)」
糞がっ!吉田の奴っ!
とまぁそんなことを考えてると、ドラコちゃんの様子がおかしい。
震えながら俯いていて、ぶつぶつ呟いていた
どうしたのだろう?
「どうしたの?ドラコちゃん、体調でも悪い?」
そう言うとドラコちゃんはこちらを見上げてきた。
僕は何も声が出せなかった。瞳に光がなかった…
「…だめだよ、お兄さん。お兄さんはもう戦わなくていいの。わたしが絶対に守るから。もうお兄さんには傷ついてほしくないの。お兄さんは強くて優しいからみんなを守ってくれたけど、その代償に心も身体も傷ついていった。バカな私たちはそれに気づけなかった。私強くなったんだよ?お兄さんを今度こそ守るために。だからそんな剣捨てて?私が守るから。」
「・・・けど、もしもの時に護身用で持っていたいんだけどダメ?」
「私が守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る・・・・」
…どうしよう、ドラコちゃんが守ると言い続けて止まらなくなってしまった。途中何を言ってるのかわからなかったけど、剣は捨てたほうがよさそうだ。
「ほらドラコちゃん、剣は捨てるよ」
そう言うと僕は剣を投げ捨てた。
するとそれを呆然と見ていたドラコちゃんの瞳に光が戻り始めた。
「…お兄さん、ありがとう!私のわがままを聞いてくれて!わたしが絶対にお兄さんを傷つけさせないからね。お兄さんの言う事なら何でも聞くよ。
お金もモンスターたくさん倒していっぱいあるし、
それに…お兄さんがわたしの身体を欲しいなら喜んでささげるからね//」
「・・・うん」
お父様お母様僕の異世界生活はチート能力で無双はできなさそうです。読んでいたライトノベルみたいに聖剣抜いても捨てないといけない未来がみえる…。
戦わずして、年下の女の子のお世話になりそうです。