第三話 ショッピングモール
1時間後、俺と琴羽はショッピングモールにいた。
琴羽は幼馴染なこともあってか距離が近い。そのため、いろいろな誤解を生みそうだ。
やはり、ショッピングモールへ行く途中も、その中も周りからの視線が絶えなかった。
俺はあまり意識していなかったが、琴羽はかなりかわいいらしく、それが周りの視線に拍車をかけている。
「わたしアイスクリームたべたーい!」
「さっきもソフトクリーム食べてただろ。」
「むー、晃平のケチ!」
「わかった買ってこい、俺はここで待ってる」
買いに行こうとした琴羽が振り返る。
「晃平の分も買ってきてあげようか?」
「いや、俺はいいよさっき食べたし、」
「そ、りょーかい」
そう言うと今度こそ琴羽はアイスを買うために列に並んだ。
俺は近くにある2人がけの席についた。
「・・・・・来ない」
流石にソフトクリームを買うだけでこんなに時間はかからないだろうと不思議に思い見に行くとこちらにアイスを持って走ってくる琴羽が見えた。
俺は琴羽に手招きをする。すると俺を見つけたようですぐに俺のもとへとやってきた。
「今日は何しようか。」
アイスを食べながらそんなことを聞いてくる。自分から誘ったくせになにをするかは決めていなかったようだ。
「じゃ、いつも通りゲーセンとかでいいか?」
「そうだね」
俺と琴羽は毎週のように遊んでいたが、遊ぶときは大体ゲームセンターへ行くと決まっている。
通い詰めているうちにどんどんメダルは溜まっていき、今ではメダル残高が4000枚を超えている。そのおかげで俺達は毎回ほぼ無料でゲーセンに入り浸っている。
いや、今回の夏休みの分が入っていないから今はその半分程度か……というか、前回の俺は一体何をしていたんだ。
夏休み中毎日毎日ゲームセンターに入り浸り、帰ったらまたゲームって、、今回こそは誘惑に惑わされないようにしなくては。
今日も今日とて俺達は並んで座って自分たちのメダルを増やす。この日も二人でかなりの黒字を叩き出した。
ゲームに集中していると、いきなり俺の腹が鳴った。
集中しすぎてお腹が空いている感じがしなかったが、意識すると急に口になにか入れたくなってきた。
「なんか腹減ってきたな。」
「そうだねー、ここらで打ち止めかな。」
そう言って琴羽は腕時計を確認した。
「うわっ、もう5時だよ。」
そんなわけないと思い壁にあった時計を見ると針は琴羽の言う通り5の文字を指していた。
「まじか、」
どうやら五時間も遊んでいてしまったらしい。そりゃあお腹が空くわけだ。
「ちょっと私トイレ行って来るね。」
「ああ、ここで待ってるよ。」
しばらく経つ、しかし琴羽は現れない。
それにしても遅い。
何かあったのではないかと思い、俺はトイレの方に足を運んだ。