第二話 もしかしたら?
学校を終えて家に帰る頃には夕方だ。スマホをいくら確認しても7月19日という文字は変わらない。
もしかして本当に夢だったのか?
いやいや、そんな訳が無い。たしかに俺はあの日凛に告白して、そして………嫌なことを思い出してしまった。
「ああ、もう‼️」
モヤモヤとした気持ちを枕にぶつける。玉砕前提の告白だったとはいえ、やはり振られるというのは心に来る。
そう、俺は彼女に振られたのだ。それはもうあっさりと。
振られた、振られ…ん?まてよ、俺まだ振られてなくね?いや実際には振られたわけだが、まだ振られていないのだ。
振られる前に戻ったから…一つの考えが頭によぎった。
――――――もしかして、まだ俺にもわんちゃんあるのでは?――――――
とはいえ、今のまままた告白しても振られるだけであろう。
前回は勢い余って告白してしまったが、今回は違う。この夏休みのうちに男を磨き上げてもう一度彼女に告白しよう。
三笹は一人決意を固くした。とりあえずまずは早寝早起きだな。
次の日、早速俺は早起きに失敗していた。
時計を見ると短い針が12時を指している。もうお昼時だ。自分の部屋を出てリビングに行くと母が昼食の準備をしていた。
俺が来たことに気づくと呆れたような口調で言う。
「あんた夏休みだからってあんまり夜ふかししすぎないようにしなさいよ。」
「わかってるよ…」
昨日の夜のこと、決意を固めた俺のもとに悪魔の誘いがくる。
「ゲームしようぜ」
送り主は勇だった。夏休み初日にこんな魅力的な誘いが来たら断れるわけもなく、あっさりそのまま俺は日をまたぐことになった。
自分の一貫性のなさに呆れながらも、明日から頑張ろうとお決まりのじょうとうくで無理やり納得する。
昼食を食べながら考える。男を磨くって、そもそも何をすればいいんだ?
先は長そうだ。
そう思っていると玄関のチャイムが鳴った。
「ごめんくださーい!」
外から元気な声が聞こえてくる。琴羽だろうか。琴羽は高校生になってもよく俺を遊びに誘ってくる。
玄関に出ると案の定琴羽だった。
「ひまー!あそぼー!」
脳天気なものだ。俺はこんなにも苦労しているというのに、
「俺は高い学力を維持するのに大変なんだ」
「クラスで真ん中より点数たかかっただけじゃーん」
「わかったよ遊んでやる」
「やったー!」
今回の夏休みの宿題が多かったことは前回タイムリープする前にわかっていたのに...