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n回目の初恋  作者: けてぃす@ちゃちゃごろ
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第一話 これってまさか

今日は9月8日。夏休みも終わって憂鬱な時期だ。

「ごめんね、あなたとは付き合えない。」

そんな一言から、俺のラブコメは始まった。




俺 -三笠晃平はたった今、振られた。その事実だけが目の前から押し流されてくる。

前にいるのは赤井川凛。学校の中でトップを争えるほどの可愛さだ。


それに見合うほどの外見が俺にあるかと言われると、あるとは言えない。彼女とは隣の席で自分から仲良くなろうと話しかけたりする。


風が吹くたびに漂ういい香り、整えられなびく髪、透き通るような目、天使のような笑顔、スタイルの良さ。いいところを挙げるとキリがない。最初はただ「かわいいな」くらいの感情しかなかった。


しかし、隣にこんな完璧美少女がいて惚れるなという方が難しい。気持ちが高ぶり思い切って告白した。


なんとなく最初から結末はわかっていたが、それが現実になるように思え、考えないようにしていた。が、今はすでに現実となり過去になってしまった。時計の針は夜の12時を過ぎようとしていた。それでも俺は悔しかった。


明日になったら忘れるだろう。もしかしたら寝れないかもしれないな。そんなことを思いながら、俺はすんなりと眠った。





朝になり俺はいつもどおりの時間に起きた。顔を洗い着替えを済ませ、学校へ行く。一時間目の授業は歴史だった。歴史は苦手なので退屈だった。いつもなら聞いたこともないようなことが出てきてわけがわからなかったが、今日は違った。


「鎌倉幕府が滅亡したのは1333年でその後に…」


俺は先生が喋っていることに対し疑問をもった。なぜなら2ヶ月ほど前にやった授業の内容となんとなく同じ気がしたからだ。


(デジャブかな?)


俺は隣に座っている凛ではなく、前

に座っている中学校からの親友ー今金勇に聞いた。


「今日って何月何日だっけ?」


「7月19日だぞ。お前大丈夫か?」


その瞬間、俺は衝動的に声が出てしまった。


「は?」


先生の視線がこっちに向く。


「そこの2人、集中しろよ」


「ういーす」


勇は軽く返事をしたが、俺は声も出すことができなかった。


「嘘だろ...」


まさかこれはタイムリープというやつだろうか。




授業が終わり、休み時間になると、だらーんとした雰囲気が教室内を漂う。

そんななか俺はずっと考えていた。


「タイムリープして夏休み前に戻ったということは、まだ赤井川さんに告白もしていないってことか...???」


これを確かめるには本人に直接きくのが1番早そうだ。ただ、周りの状況から察するに、告白はまだしていないだろう。


「はあ、どうしたものか...」


顔を机に伏せていると近くから声が聞こえた。


「晃平どうかしたの?」


顔を上げると、北見琴羽がいた。


琴羽とは家が隣同士、幼稚園からの付き合いで、いわゆる幼馴染というやつだ。


そういえばタイムリ−プする前に凛に告白して振られたことを琴羽には言っていなかったなぁと思いつつ、一回本当のことを言ってみる。


「俺、夏休み明けからタイムリープしてきたっぽいんだ」


「頭大丈夫?」


まあ、予想通りの反応だった。一回で信じるほうがおかしいだろう。


「多分夢だったんだよきっと」


「そうだな」






「じゃあ夏休み羽目をはずさないように」


と先生が言って学校は終わった。


すかさず俺は凛に話しかけようとする。しかし一歩遅かった。


「あかりん、今日どっかいかないー?」


周りの女子たちが話しかけて、そのままどこかへ行ってしまった。


凛は演劇部に入っている。演劇部の友達が今日はオフだ!!!とめっぽう喜んでいたので遊びに行くのだろう。もともとコミュニケーション能力がそこまで高くない俺は女子の集団になすすべもなく……。


明日から夏休みだというのに喋る機会を失ってしまった。俺は一人ため息をつくと、トボトボとその場を離れた。



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