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第59話 レオンハルトの視点1

話数を間違って公開してました(..;)

修正しております。

 人間社会に溶け込むためには知識と教養、立ち振る舞いが重要だとローワンは真剣な顔つきで語った。その話を聞いているうちに、私はある事を思い出す。


 数百年ほど前、それは叔父が女騎士と出会う以前──。

 ドラーク竜王国の王太子の頼みで、気まぐれに従者の真似ごとをしていた──と、いうよりは父親に社会勉強だといって子どもの頃に、放り込まれたという方が正しいだろう。族長の長として、様々な経験を積ませたかったのかもしれない。

 隣国のドラーク竜王国のエレメル山脈に、棲みついた邪竜の討伐依頼──だけのはずだったのだが、当時の王太子と縁があり十年ほど従者として、仕えていた。


 ドラーク竜王国は精霊や幻獣が多く、魔人族に対して偏見などはなかったことが当時は心地よかった。自然も豊かで干ばつなどもあまりないのは、竜の恩恵のおかげなのだろう。平和で温かく穏やかな国だったが、だからこそ邪竜に対して対抗できる存在がいなかったのも頷けた。

 戦いこそ楽しかったが、十年ほどの平和に私は飽きてしまった。戦いの中に生きがいを見つけている私と、平和を願い続ける王太子とでは見ている世界が違ったのだろう。竜人族の血を引く王太子の寿命は人より長い。彼が王に即したのち、私は歩いてエレメル山脈を越えて帝国に戻った。あんな悲劇が起こることなど予想はしていなかったが。


「何処で過去の経験が生きるのか分からないものです」と独りごちた。それも王太子の護衛者としていたので、礼儀作法や教養は身についていた。

 そのことの一番驚いていたのは彼女(アイシャ)だ。人の姿の私をまじまじと見つめていたのは愛らしかったが、最初誰だか分からなかったのは結構ショックだった。


()ねたら、どんな反応をするでしょうか? それとも少し嫌がらせを──うん、名前呼びされないのは精神的につらいのでやめましょう)


「アイシャと二人きりの時間が出来る」と思っていたのだが、甘かった。愛おしい存在であり、憎むべきキャベンディッシュ家の血を受け継いだ娘。

 彼女が屋敷に戻ってくる前に、使用人たちを皆殺しにしようと目論(もくろ)んだが、それも結局実行できなかった。

 ロロと呼ばれる猫人族。アレを殺しきるには人間の姿では難しいだろう。だが、ここで魔人族の姿に戻ってしまえば、帝国軍と事を構える必要がある。

 今は耐える時だ。そう言い聞かせ、大人しくしていた。


 ロロに聞いたところ、アイシャは人間にしてはなかなか不幸な生い立ちのようだ。だからこそ運命そのものを覆そうと、足掻(あが)いている彼女が美しいと思えた。

 自己犠牲型のお人よしじゃないところがいい。


「お嬢様、心配しなくとも求婚のことは反故にはしませんよ。ローワンからも本気で貴方と釣り合うつもりなら、男をあげろと言われましたからね。貴方が十八になった時に、改めて貴女に告白をします」

「な、な、な────ッ!」

(すっごく可愛いですね。頬に触れたら──。……一気に殺気が二つも吹き上がるとは……お嬢様、愛されていますね。いえ、負けませんけど)


 顔を真っ赤にする彼女を見るのはやはり楽しい。抱き着きたくなる気持ちを抑え、彼女の手に触れた。これぐらいなら許されるだろうか。

 半面、殺したいという殺意が渦巻く。憎いキャベンディッシュ家の血を継ぐ者。しかし極東の男の登場によって、状況は一変した。


 あの男の匂いがアイシャと似ているのだ。血縁者だとすれば、彼女に危害を加える可能性があるかもしれない。人間は血縁者同士で些細なことで、骨肉の争いを繰り広げてきた愚かな種族なのだから。とにもかくにも、この男の真意を探るのが先だ。


 その翌日。

 極東の男の部屋を訪ねると、大剣を向けて問うた。


「私は魔人族なので他人よりも感覚が鋭いのですが、貴方はお嬢様の血縁者ですか?」


 返ってきたのは言葉ではなく刃だった。それから一悶着(ひともんちゃく)あり、十合ほど剣戟(けんげき)を交えたところで、相手の小刀を天井に飛ばす。


「そういう魔人族こそ。聖女としてアイシャを殺すために傍に居るのか?」

「なにを言うのかと思えば……。私は──」

「昨日、姫さんに愛情とは別の殺意を向けていただろう」

「!?」

「せっかく拾った命。姫さんのために使う。それが拙者に出来るたった一つのことだからな」



楽しんでいただけたのなら幸いです。

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