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僕の友達

作者: 紅葉

 今日は満月だ』

 そう呟いて僕は、そっと目を閉じた、



 6月。ザァーザァー。


 小学校。

「それでは、帰りの会を終わります。皆さん、さようなら〜」  さようなら〜。      

 うわー、また雨?   最悪、傘持って来てないわ、  帰り何処行く?

 クラスメイトの会話が聞こえてくる。

(あぁまた雨か。)

 窓の外を見ながら僕はそう思った。

 帰りの支度を済ませて、僕は教室から出た。いつもと同じ帰り道。ただ無心で歩く。「クゥーン…」

 何かの鳴き声がした、何の鳴き声だ?そう思い僕が声のする方を振り返ると、そこには、、、

 ウルウルとした目で僕を見つめる犬がいた。

 捨て犬か?お腹が空いてるのか?僕が世話するべきか、でもお母さんが許してくれるのか?「クゥーン……」

 か細い声を聞いていてもたってもいられなくなった僕は、捨て犬を抱いて家に帰っていた。

 幸か不幸かお母さんは家に帰っていない。買い物に行っているらしい。

 その間に僕は、犬を拭いて冷蔵庫にあったご飯をあげた。

(美味しそうに食べてる)

「これ好きなのか?」「ワン」

 威勢の良い返事が帰って来た。余程お腹が空いていたのか、バクバク食べている。




 その時、玄関のドアが開いた。ガチャ!

「ただいまー」

『お、おかえり。お母さん!犬飼っても良い、、』

 僕の心臓はバクバク言っている。単刀直入に言い過ぎたかもしれない。頭の中であれこれ反省が始まった、、、

「、、、お世話出来るの?」

 お母さんが口に出した言葉は思いもよらない言葉だった。てっきり“ダメ”と言い切られると思っていた。

「うん!もちろん!」

 顔がニヤける。自然と笑顔になっていた。僕に兄弟が出来た感覚だった。



 名前が決まった。“サニー”だ。僕たち皆んなを明るく照らす存在。そんな意味でつけたんだ。そこから僕は、サニーと散歩に行ったり遊んだりした。

 サニーは毎朝僕の事を起こしてくれる。散歩に連れて行って!って。朝と夕方2回。僕は毎日散歩した。

 いともの帰り道もサニーと一緒だと全然違って見えたんだ。

 僕とサニーは一緒に成長していった。こんな日がずっと続くと思っていた。





 僕はもう高校生。

 サニーももうおじいちゃんだ。

 散歩の回数も減ってしまった。サニーはまだ寝てる。

「行ってくるね!サニー。」

 そう言って僕は、高校に行く。

「おはよー」

 そう元気よく挨拶する。サニーと出会って明るくなった。サニーのお陰で友達が作れたんだ。

「おーおは!」「はよー(眠)」

 何気ない会話をしながら僕は席についた。


(放課後)

 僕は、友達と別れすぐ家に帰った。

「サニー、散歩の時間だよ。」

 そう言って僕はサニーを起こす。よろよろと動くサニー。散歩が好きな所は昔と変わらないね、

 僕とサニーの散歩の時間。サニーに色々話すんだ。今日あった出来事。友達の事。嬉しかったこと。

 僕の話をサニーは熱心に聞いている。そんな事を話してると散歩が終わる。

 帰って来たらサニーはご飯を食べて寝る。

 サニーはよく寝る。時々心配になる。おじいちゃんだから、、、

「おやすみ、サニー。また明日。」

「ワン、」




 この言葉を最期にサニーは動かなくなった。

 覚悟はしていた。いつかその日は来るって、、、

 けど、急すぎだろ、、、

 サニー、、、

 サニーを失ったショック。

 次の日僕の声は枯れていた。

 その日から僕は、元気がなくなった。

 小学生の頃に戻ったみたいだ。



「バイバイ、」「おー、またな、元気出せよ、」「ありがとう、」

 友達も気を使ってくれている。

 一人で帰る帰り道。ここでサニーと出会ったんだよな、

 感傷に浸っている。涙が溢れ出しそうだ。

 僕は足早に帰った。


「ただいま」

 そう言って僕は、すぐに部屋へ向かう。

 サニーの写真を眺める。あぁまた涙が溢れ出す。

 枕に顔を埋める。サニー、、、僕はそのまま眠ってしまった。

 その日僕は夢を見た。

 サニーと遊ぶ夢。サニーと話しが出来てる。

「ご主人様と出会えて嬉しかった、ありがとう。

 だから元気出して!僕はもう大丈夫。」

 サニーはそう言って、僕は夢から覚めた。もう夜だった。

 月が綺麗だ。その時蝶が飛んで来た。

 サニー。そう言うと蝶は僕の方を見た。


 サニーはいつも僕を明るく照らす。

 ありがと。サニー、

 僕もサニーと出会えて嬉しかったよ。


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