恋が始まる予感?!
さあ、今日からバイトだ!面接官だった人は本社の人だから今日は来ないって言ってたし、店長とはまだ会ってないから不安だな。どんな人かな。優しい人だったらいいのになぁ。
「失礼します。」
「どうぞ。」
ドアを開けた瞬間、
「・・・。」
フリーズしてしまった。
店長らしき人物は、なんと昨日のゲームのイケメン支配人。えっと、ちょっと待って、2次元???いや、3次元だよね、さすがに・・・。頭がついて行かないんですけど~~~。
混乱してる私に支配人が説明してくれる。
「今日から君にはここでシェフをやってもらう。君はいつも頑張っているし、パズルも上手だから選ばれたんだ。」
「何がでしょう?」
うーん、何を聞いたら良いかもわからない。
「えっと、どういう状況でしょう?」
なんだ、なんだ。とりあえず落ち着こう、私。私は改めて支配人さんに名前を聞くことにした。
「そういえば自己紹介がまだだったね、私はこの″星のかけらレストラン″の支配人で、二条司です。よろしくね。」
ん?やっぱりおかしい!支配人の名前がゲームの名前と一緒だし、なんと言っても店の名前が私の考えた名前なんですけど~~~。どうすればいいのかな、こんな時どうする?あっ!ほっぺをつねる?つねるよね!つねるよ!普通に痛い!痛すぎる~!
話は私の???(はてな)を置き去りにして流れていく。イケメンの支配人、二条さんは仕事内容をどんどん説明していく。私は疑問を抱いたまま仕事内容をノートに書き留めていく。仕事内容は料理を作ることって、ちゃんと作ったことないよう。
「えっと、料理作れないんですけど。」
「大丈夫だよ、きみにはパズルをしてもらえば良いだけだから。」
「パズルですか?」
「そうそう。いつもやってるでしょう?それでいいんだよ。」
うーん、やっぱり現実とは違う。これは夢だな。じゃあ適当に話を合わせよう。
「わかりました。これからよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくね。早速だけどここで働いている人を紹介するね。料理長の三橋蒼弥くん。」
もう驚かない。三橋さんもゲームの中と全く同じで黒い長髪を後ろで結んだ彫りの深い超イケメン。こっちを見てにっこり笑った。
「そしてきみの先輩にあたる四谷駆くん。」
駆くんもゲームの中と同じで赤髪の短髪で目鼻立ちのくっきりしたイケメンだ。少しツンケンしてるところもゲームと一緒。
「それから最後に昨日入ったばかりだからほぼ同期の五木藍琉くん。」
藍琉くんもゲームと同様に人懐っこい笑顔を向け、
「よろしく。」
と、言った。
藍琉くんは青髪の短髪だ。これもゲームと一緒で顔は爽やかあっさりイケメンだ。
「そういえば、オーナーと会ったことはあるのかな?」
「いえ、まだお会いしていません。」
「そうか。時間は分からないけど毎日来るから後で紹介するね。」
ゲーム内ではオーナーと支配人は友達だ。仲が良すぎてどちらが上か分からなくなる。とってもフランクなオーナーだから早く会いたいな。なんて、もうすでに恋してんじゃん、私。
オーナーは一ノ瀬海里と言う名前で身長190cm以上あるイケメンだ。いつも高級スーツに身を包みまるでモデルのよう。性格も穏やかで悪いところが1つもない。何故そんなにモテそうな人が今も独身なのかと言うと、ただ単に女性が苦手だということだ。苦手だと言っても恋愛対象が男性という訳でもなく、女性と話すと緊張するらしい。これはゲーム内の設定だから本当の所はどうかわからないけどね。後で出てくるであろう、後輩くんは六月楓真くんで超可愛いイケメンくん。母性本能をくすぐるような目で見てくるから放っとけない。これも出てくるまでは分からないけど・・・。どこかの社長さんはいつも忙しそうにしてるけど私の料理を楽しみに毎週金曜日に来てくれる。髪は金髪のハーフのイケメンさん。とても紳士的で素敵なのに、時々寂しそうにしてるのが気になってしまう。名前は七夜奏さん。実は今、彼と恋愛中。まだ始まったばかりだから詳しく分からないけど、幸せ。一応言っておくとゲーム内の話だよ。最後の1人はイケメン俳優と騒がれている八司斗哉くん。同じ歳って設定だから有名人なのに気軽に話せるところがいい。まだ個人の話を読んでないからこれからどうなるのかな。
仕事が始まる。オーダーが来る。本当にパズルだ。スマホくらいの端末に料理名とパズルが出ている。これを解けばいいんだよね。私はサササッとパズルを解いた。
「は、はやい!」
隣で愛琉くんが驚いた顔をする。
「いやいやいや、これくらい誰でも出来るでしょう。」
嬉しさと恥ずかしさで熱くなった顔を手で仰いでいると、すかさず
「暑いの?大丈夫?飲み物持って来ようか?」
と、心配してくれる。なんて男前なんだ。心も顔も完璧。こんな3次元どこにもいないよ。愛琉くんは大丈夫という私にミネラルウォーターのペットボトルを差し出した。それを飲もうとした時、次のオーダーが入った。それからは大変。かなり大きなレストランだったらしく、次から次へとオーダーが入る。私はひたすらパズルを解いた。ふと、疑問が浮かぶ。料理長や先輩たちは一体何をしているの?その疑問は直ぐに解けた。奥の調理場で本当に調理していた。な、なんで???私がパズルを解いているのは何か意味があるのだろうか?うーん。考えてみたけど、やめた。考えても仕方ない。夢なんだもん。そうこうしているうちに最後のお客さんが帰って行った。
「今日はきみの歓迎会だからね。」
いつの間にかテーブルには沢山の料理と飲み物が並んでいた。
「カンパーイ!!」
夢なんかじゃないと思えるほど、料理は全て美味しいし、飲み物も冷たさを感じる。ほろ酔い気分で気持ちが良くなった頃、
「そろそろお開きにしようか。」
と、声がかかる。
時計を見ると終電の時間はとっくに過ぎている。でも夢だから全然平気。っていうか時間気にしなくていいんじゃない?って心の中でツッコミをいれる。1人でニヤついていると、
「送っていくよ。」
と、声が聞こえ、振り向くと・・・。