番外編「第5章で新たに登場した人物たち」
今回は番外編です。
第5章で新たに登場した人物のリストを作ってみました。
○岐涼の町の人々
・孟篤 (孟侯とも呼ばれる)
岐涼の町を治める領主。
温厚な性格で、部下や領民を大切にしている。
父親の時代までは広大な領地を治めていた。
だが、父が死に、孟篤が跡を継いだのちに、領地で動乱が起こった。
孟篤はそれを止めることができなかった。
動乱は王弟 (燎原君)が鎮めたが、町は焼け野原となった。
その後、孟篤の領地は縮小され、辺境にある岐涼の町を治めることとなった。
孟篤は以前の失敗を忘れることなく、町を平穏無事に治めている。
・魯太迷
孟篤の部下であり助言者。
『「できぬ」の魯太迷』という異名を持つ。
禿頭で長いヒゲを生やした巨漢。
見た目は怖いが、優しい性格。
現実主義で、自分になにができて、なにができないのかを理解している。
「できない」ときはきっぱりとそれを告げる。
「できない」ことを「しなければいけない」ときは、迷わず人の力を借りる。
自分が活躍することよりも、主君や大切な人を助けることを優先している。
ゲーム『剣主大乱史伝』では、英雄軍団のひとりとなる。
戦闘能力はそれほど強くない。
ゲーム終盤になると『旧主のご家族のところに行く』と言い残し、英雄軍団を離脱する。
・丹
孟篤の正妻の娘。
岐涼の町の高官である價干索の姪。
赤い髪の少女。
價干索に『赤き髪の娘は勇敢な鳥と結ばれ、竜を生む』という予言を吹き込まれ、それを信じ込む。
だが、金翅幇が狙っていたのは丹ではなかった。
價干索が事件を起こしたことにより、反逆者の姪という汚名を受ける。
彼女の安全を考えた夕璃のはからいで、事件後は岐涼の町を離れることとなる。
・薄
孟篤の庶子。髪はくすんだ赤色をしている。
歴史を正しく示す官職──史官をめざす少女。
岐涼の町で起きた出来事を記録することを趣味にしている。
それが孟篤を批判するような内容であってもためらわずに、文書として記す。
孟篤自身も、薄が自分の批判者となることを求めている。
理由は、薄の母親が動乱で滅んだ町の生き残りだったこと。
動乱で家族を失った彼女は、孟篤によって保護された。
薄の母は、自分の家族を守れなかった孟篤を許さなかった。
孟篤は彼女の怒りと哀しみを、逃げずに受け止め続けた。
そうしているうちに、ふたりはおたがいの理解者となった。
痛みをわかちあっているうちに、愛し合うようになった。
薄の母は死ぬまで、孟篤の批判者であり続けた。
孟篤もそれを許した。
薄は母の役目を受け継ぐために、岐涼の町の出来事を書き記している。
岐涼の町の事件の後で、薄は夕璃の客人となる。
それは事件の後始末が済むまでの間、薄の身を守るための処置だった。
・孟墨越 (白鶴将軍)
孟篤の父。故人。
燎原君の母方の従兄であり、優秀な武将だった。
孟墨越は、藍河国を守る戦いで大きな功績をあげている。
その褒美として『侯』の地位と、広大な領地を与えられた。
その後、孟墨越の一族が敬意を込めて『孟侯』と呼ばれるようになった。
孟墨越はとてつもなく強い武将だった。
傷を受けるどころか、敵の返り血を浴びることもなかったという。
『乱戦にあっても、甲が白いまま』の彼の姿は、『白い鳥が沼地にいても羽を汚さない』ことに例えられていた。
その話を聞いた藍河国王により『白鶴将軍』の位を与えられる。
現在、孟篤の部下の半数以上は孟墨越の時代から仕えている者か、その子孫である。
彼らは孟墨越を英雄視し、その統治下をなつかしく思っている。
そのことが、岐涼の町での事件のきっかけとなる。
・價干索
孟篤の部下。
孟墨越の腹心で、彼を心から尊敬している。
岐涼の町の官僚たちのまとめ役として、強い影響力を持つ。
價干索の、年の離れた妹が孟篤の正妻となっている。
これは價干索の『岐涼の町を平穏に治めるためには、我らが強く結びついた方がよろしいでしょう』という提案によるもの。
孟篤と價干索の妹が結婚すれば、領主と、官僚の長の繋がりを示すことができる。また、官僚たちは價干索を通して、領主の孟篤に意見を伝えることもできる。
そのような体制を作り出すための結婚だった。
その後、岐涼の町は平穏に治められていた。
だが、價干索は不満は消えなかった。
彼にとって理想の領主とは『白鶴将軍』のような、動乱を武力で治める英雄だった。その理想は、彼の脳裏から、生涯消えることはなかった。
そのことが、岐涼の町での事件のきっかけとなる。
○武術大会に参加した人々
・涯恩
鯉山派の剣術使い。
正統派の武術を治めた男性。武術大会の初戦で天芳と戦った。
イケメンの好青年で、自分の強さと正しさを疑わない。
相手の攻撃を受け止めて反撃する技『跳鯉痛打』を得意とする。
強力な剣士ではあるが、天芳との相性が悪すぎたため、敗北する。
・公孫旋
崇谷派の斧使い。
金翅幇の配下として、孟篤の屋敷に火を放つ。
天芳に手足を斬られて行動不能になる。
・甘旬旗
公孫旋と一緒に孟篤の屋敷に火を放った放火犯。
軽功の使い手。天芳に倒される。
○金翅幇の関係者
・円烏
巫女と共に現れた武術家。
『円烏』と名乗っているが、おそらくは偽名だと思われる。
覆面を被っているが、その下には介州雀と同じく灰色の髪がある。
ただし、現在のところ介州雀との関係は不明。
『四凶の技・饕餮』の使い手。
『窮奇』には存在した『天元の気に弱い』という弱点を克服している。
高速で剣を繰り出す技を得意とする。
『饕餮』の『顎爪乱舞』は剣を牙や爪に見立てた連続攻撃。
『血祭祀』は周囲に存在する『気』を喰らって自分の力に変える。神速で繰り出す5連撃を回避するのは至難の業。
天芳を追い詰めるが、『四凶の技・渾沌』の『中央の帝』を受けて、敗北する。
・巫女
『金翅幇』の中心人物と思われる。
『四凶の技』について記された木簡を持っていたことから、『窮奇』を広めたのは彼女だと思われる。
謎の点穴の技を使う。
その技『冥牢指・蝋血』によって、円烏を仮死状態にした。
天芳を超える軽功の能力を持つ。
移動距離、滞空時間ともに桁違いに長い。
『神仙の記録』というものを重要視している。
それは藍河国が滅んだ後に、『鋭炬』という新興国が襲ってくるというものだった。
金翅幇が藍河国を滅ぼそうとしていたのは、その侵攻にいち早く備えるためだと考えられている。
それは、藍河国を滅ぼすための戦いが早く終われば、鋭炬の侵攻に備える時間が生まれるためである。
藍河国と協力するという考えは、金翅幇には存在しなかったようだった。
ただし、ゲーム『剣主大乱史伝』には『鋭炬』という国は存在しない。
天芳は『剣主大乱史伝』には続編があり、それが、英雄軍団が打ち立てた国と、『鋭炬』が戦うものだと考えている。
手がかりは『神仙の記録』という言葉。
それを探るために、天芳は仰雲師匠が仙人を目指した場所──滴山に向かうことを決める。
○その他の人々。
・兆巽丘
兆石鳴の息子。
末っ子なので、兆季と呼ばれている。
兆家の生き残りであり、現在は父と兄の喪に服している。
父は自害し、兄が父によって処断されたことで、兆家への罰は終わっている。
そのため、巽丘が望めば、いつでも仕官することが可能。
兆家としての人脈は健在のようで、ときおり文官・武官が、彼のもとを訪ねてくる。
本人は粗食を摂り、粗衣 (粗末な衣)をまとい、ひたすらに家族の喪に服している。
いつも『天下の大悪人』をお読みいただきまして、ありがとうございます。
第6章は、少し書きためをしてからのスタートになります。
年内くらいには始められると思いますので、もう少し、お待ちください。
それまでは、時々、番外編をアップしようと思っております。
書籍版『天下の大悪人』は2巻まで発売中です。
コミカライズの企画も進行中ですので、ご期待ください。
これからも『天下の大悪人』を、よろしくお願いします。




