クラス
「はぁ……疲れた……。サラダ買ってったのに、コーンがないだの、ドレッシングがないだの……このわがまま女め!」
パシラーとしての仕事を終えた俺は一服とばかりに勢いよく尿を放出させる。
「いい軌道だ。最早これは虹だな」
自分の尿を見てニヤニヤした俺は、いててと、何故かズキズキする足に目をやる。
「ちくしょう。やっぱりさっきので……」
実は先程、急いで階段をかけ登っている際にもう一段あることに気づかないまま直進し、見事に足をくじいたのだ。
「これだって俺が鈍臭いんじゃなくて、ステーキがデカすぎるから視界が……! あぁくそ! 何もかも全部あいつらのせいだ!!!」
まだ二時間目なのにこの疲労感、地獄かよ! とブツブツ呟きながらチャックを上げた俺は、もうさっさと授業の準備しよとトイレを後にした。
「…………………………ぬふ」
個室に誰かがいたとも知らずに――
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「ねぇマーガレット! 今度、イーストエリアに新しく出来た遊園地に行かない? 私あの垂直に落ちるアトラクションに乗ってみたいの!」
二年C組――
三年制のこの学校、スイシャート学園一位を誇る美貌の持ち主、マーガレット・ガーナー。
男女関係なく一目惚れしてしまうほど可愛く可憐な彼女は、今日もみんなからの視線を浴びながら、何食わぬ顔で生活を送っていた。
「う~ん、行ってもいいけど私はそういうの怖いからいいや……」
「ええー! 一緒に乗ろうよぉ! 絶対楽しいよー!」
「えええ、だって高いの怖いし……いくらガイドビーグルを使ってたって操作するのは人間だし……」
ブロンドの髪をツインテールにしたマーガレットは、親友のサミルに揺らされながら、怖いのは嫌ぁぁとツインテールとその巨大なお乳を揺らす。
「本当マーガレットは怖がりだよねぇ、ま、そういうところも可愛いけどさぁ。あ、もう授業始まっちゃう! じゃあまた後でねー!!!」
「うん、またね~」
やばい怒られる! と慌ただしくB組に戻っていくサミルを見ながら、マーガレットは白く細い手をバイバイと横に振る。
(さてと、授業の準備しなきゃ)
愛用のペンを片手に教科書を開いたマーガレットは、遊園地かぁと、ペンを口に当て、やっぱり怖いなぁと一人唸るのであった――
「………………………ぬふ」
教室の隅からじっと観察されているのも知らずに――
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