第4世界第1話〜はじまり〜
今回は新キャラ視点です。お間違えのないよう……
はあ……はあ……はあ……
私は走る。路地裏を、追跡されにくいようにくねくねと曲がりながら、こけないように足元を気をつけながら。
追いつかれないように、小さい体を懸命に動かす。
はあ……はあ……はあ……
右手には、拳銃。護身用の小さい銃だが、それでも私の手には大きい。
「はあ……はあ…………あっ……」
袋小路……
振り向くと、もう何人もの男が銃器片手に迫っていた。
……死んでたまるか!
拳銃を握る手に力を込め、男の内の一人に向ける。
同時に、撃つ。
パァン!
乾いた銃声と共に、男の額に穴があく。
「やりやがった! ガキと思って手加減してたら調子に乗りやがって……! やれ!」
男達が、私に銃口を向ける。
ドン!ドン!
私の銃とは比べ物にならないほどの重圧のある銃声。
私は、タイミングを合わせ、銃の向きから着弾地点を見極め、そのいくつかをよける。
「くう……」
それでも避けきれなった銃弾が、左肩とおなかに当たる。血が出てきて、頭がふらつく。
そのことに油断した男たちから、殺気が消える。もう動けないと思ったのだろう。
「……!」
その隙に弾丸を装填し、引き金を引く。
パァン!パァン!
二人、仕留めた。
まだ、三人。
素早く銃弾を込め、狙いをつける。けれど。
ドン!ドン!ドン!
「かはっ……」
こんどは完全に容赦なしの銃弾が、私の右手、左足、右肩を貫く。
私は膝をつき地面に倒れた。
血がいっぱい出る。
もう、顔を上げることすらできない。見えるのは、薄汚れた路地の壁だけ。
……死にたくない! 死んでたまるか!
一瞬、たった一瞬あれば、こいつらみんな殺してやれるのに!
でも、もう私は長くない。けれど、引き金に入れる力は緩めない。
男たちが近づいてくるのが音で分かる。
もし、ここで生きながらえたとしても、捕まったら私に待っているのは屈辱と苦痛。捕まるぐらいなら、死んだほうがましだ。
「君たち、何してるんだ!?」
私が半ばあきらめていた時、声が聞こえた。
男たちは、声がした方を向く。
……今だ!
一瞬だけ、最後の力を振り絞り、私は銃を構え、引き金を引いた。
遠くから、銃声が聞こえた。
三人の男が倒れ伏して……
私が覚えているのは、ここまでだ。