第9話〜次の世界は〜
私は滅びた世界の本しか置いていないという図書館で、ルウと話している。
内容は簡単。
私たちの敵、『イノベート』について。
「で、その、『『イノベート』は現在力を持つ者を仲間に引き入れようとしている』ってのはなんなの?」
「そうだね、どうやら『イノベート』は人員不足みたいだね。だから、能力のある者をありとあらゆる方法で仲間に引き込む。脅迫、洗脳当たり前、ひどい時には家族や恋人を人質にとるんだってさ」
なによそれ……それじゃあ仲間じゃなくて、奴隷じゃない。
「なんでそこまでして唯一絶対の世界を作りたいのかしら?」
そこが一番の謎だ。……何がしたいんだろう?理想郷なんて、それこそ洗脳とかして作ればいいのに。……わからないなあ……
「う〜ん。それが分からないんだよなあ……僕には分からないよ。……君はわかる?」
「わかるわけないでしょ。……わかりたくもないし」
『イノベート』のことなんて、『強大な敵』ぐらいの認識で十分だ。知りすぎたら共感することがないとは言いきれないんだし。
「サラは気をつけないといけないね。君の火炎は結構強いから」
「……え?」
何に、気をつけるというのだろう?
「……もしかしたら、『イノベート』は君を欲しがるかも知れない。……あくまで、可能性の問題だけどね」
そんなありそうな可能性、嫌だ。まあ、肝に命じておくとしよう。
「……話変えるけどさ、ルウって、魔法使えるわよね、なんで使わないの?」
大した質問でもないが、疑問に思ったことなので訊いてみる。
するとルウは、少し悩んだ表情をした。
「……う〜ん。恥ずかしい話なんだけどね、僕の魔力は君よりも低いんだよ。それなのに師匠面して魔法使っても、カッコ悪いだけだからね……。僕は魔法をあきらめて、細剣の技一本でやっていくことにしたんだ。……それに」
「それに?」
「それに、せっかく一緒に旅してるんだ。お互い助け合いがなきゃ。……でしょ?」
「……そうね」
その時のルウの笑顔に、私はますます惚れ込むのだった。
図書世界で一日を過ごし、次の日。私たちは世界の外にいた。
朝起きてすぐに出発したので、まだ眠気が覚めきらないが、隣にルウがいるのでなんでもないよう振る舞っている。
「……ルウ、次はどの世界にする?」
「そうだね、ここなんかどうだい? きっと楽しいよ?」
ルウは相変わらずの微笑みをたたえて、言った。
「……ルウの『きっと』ほど信用できないってことが、最近わかったんだけど……まあいいわ。そこにしましょ」
どうせまた何かあるのだろうな……とか思いながら、私はルウが扉を開くのを見つめる。
「……どうしたの? 顔が赤いよ?」
「……! なんでもない! 早く行くわよ!」
私たちは、また新しい世界へと、入った。
――――――――私たちの旅は、まだまだ続く―――――――
どうも、作者のコノハです。
今回のお話はこれでおしまい、です。作者の稚拙な文章をわざわざ読んでいただき、ありがとうございました。
お楽しみいただけたでしょうか?今回の話で少しでもサラの過去を理解していただけたら、作者冥利に尽きるというものです。
では、今回もやっていきましょう。キャラ紹介。
エリア・ルナ・ジェイド
永遠の時を生きる外見16歳の吸血鬼。
リンクの恋人にして妻である。
得意武器は身長の2倍ほどの大鎌。
得意技は回転刈り、一文字刈りなど、様々。
彼女は鎌を振るい、死神のように命を刈り取る。
しかし敵を殺すかどうかは、リンクの言葉に依っている。
海のような青の髪に、同じく青色の瞳。吸血鬼らしく、口元にはキラリと光る八重歯が2つ。
好きな色は黒(リンクの色)。
嫌いな色は茶(リンクが嫌いな色)。
好きなものはリンク。
嫌いなものは『イノベート』。
さて……質問にあったのですが、異世界のできかたについて、少し補足を。
世界とは、簡単にわかれます。
いろいろ原因はありますが、一番多い理由は、
『人が何かを選んだ時』
です。
何かを選んだ時、世界はもし違う選択をしていた場合のifを演算します。
その結果を、世界は自らの中ではなく、世界の『外』にはじきます。
はじかれたif、それこそが異世界なのです。
そして、その異世界の中でも人は生きていますから、中にいた人間がまた『選び』、世界はifを演算し、また異世界が、異世界を生みだし……という風に、ルウの言うとおり滅ぶよりはるかに速いスピードで増えているのです。
……みなさまの参考になれましか?
次回、新しいキャラが増えるとか増えないとか。
……では、また皆さまに会えることを祈って。
感想ご意見、ぜひお寄せください!皆さまの一行、一文が作者の勉強になります、ぜひ、お願いします!