62、ソフィア三号
ソフィア二号は、研究所に引き取られて、返ってこなかった
兄によると、封印されたレイスが器に馴染み過ぎて、一週間もすると、しゃべるようになったらしい。
ただ、リッチのもともと持っていた魔力の属性と、ソフィア二号を形作る素材が有する属性、封じるために使われた魔法の属性が、微妙なバランスで打ち消し合って、何をどうしても自力で動くことはできないのだそうだ。
「ということは、お兄様が魔力を流して操ったりしているのですか?」
否定しないということは、そうなのだろう。
少々恨めしいが、彼女のことは、とっくに機密扱いになっているので、私はおいそれと触れることも、人に話すこともできない。
「これ以上の証人はいないからね。助かっているよ」
誰が何を企み、何をしたかは限られた人にしか知らされず、対外的にはスタンピートを未然に防いだ聖女の魔法の素晴らしさが、大々的に喧伝された。
それだけで、今回の事の首謀者に十分ダメージを与えられるらしい。
ということは、教会はかな?
人工的にスタンピートを起こしておいて、アイリーンあたりに浄化させるつもりだったのかもしれないけど、彼女の実力では、どう考えても無理だから、サンガに救われたというのが紛れもない事実。
「「「「「「「「「「聖女様、万歳!」」」」」」」」」」
なぜか、墓地の大きな石碑の前で叫ぶ人が続出しているらしい。害はないから、誰も文句は言わないけど。
魔法を使えることからもわかる通り、元々貴族家の令嬢であったベルは、今回の活躍で名誉女男爵の称号を賜った。
一代かぎりで、領地も職(年金)も与えられない名ばかり男爵だけれど、本人とすれば堂々と探索者を続けられるし、かなりの額の報奨金が出たので、むしろ良かったと言っているらしい。
その場に居合わせた者たちにも、報奨金なり見舞金なり、名目と金額に差異はあれど、大盤振る舞いした王家。
ああ。私は報奨金は辞退しました。
だって、ハイマン殿下の、私への過保護が止まらない!
そんなに国宝級の物を持ち出して、王城の宝物庫が空になりはしませんか?
生徒会への参加も、当分見合わせてよいとおっしゃるけれど、私としては、さっさかいろんな委員会を立ち上げさせて、いろんなことを丸投げしたいなっ!
そうでもしないと、生徒会役員が働き過ぎ、権力持ち過ぎ。
王様だって、宰相や各大臣に任せるところは任せているのだもの。
そして、浮いた時間で、ソフィア三号を作るのだ。
え? 今度はハイマン殿下が骨格を作ってくださるのですか。
これがサンプル…おおぅ。すごい強度ですね。ほんとに元は土ですか? 圧縮率は、どれほどでしょう。
あ、はい。これならば、確かに。
モデルの骨格標本をお渡ししますので、どうぞよろしくお願いします。




