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48、ぼちぼち行こうか


 ハイマン殿下のお命に別状がなかったとはいえ、王族相手に誤診など絶対にあってはならないことなので、緑がかった銀髪の治療師は左遷された。

 もっとも、その先が、王太子と二人の王子が通うディーバイ学園の医務室なのだから、「まあ、一時的な措置だから。ドンマイ!」と王家が言っているようなものである。

 その後、学園で偶然、見かけたアイリーンは、何事か訴える赤毛少年と眼鏡少年を侍らせ、山盛りのパスタやピラフ、三~四人でいただくことを想定したアフタヌーンティーセットを前に、青い顔をしていた。

 まだ諦めていないのかと、いっそ感心する。

 いや。医務室通いを始めた彼女が、腹痛を訴えつつ、かの治療師にしな垂れかかっていると聞くから、やはり呆れるしかない。

 心に揺らぎがなくなったから、私も、こんなふうにゆったり構えていられるわけだけど。私がリリカルな詩など書く前に、殿下が我が家に突撃してくださって本当によかった。

 ハイマン殿下は私に「やりたいことをやっていい」と言ってくださったけれど、それはあくまで彼の私を想う気持ちから出た言葉であって、第三王子の婚約者として、立場的にできることとできないこと、できればした方が良いことと、ぎりぎり無視しても許されることがある。

 やらなきゃ→できない→やりたくない→でも、やらなやきゃ、のループが怖いわ。

 ハイマン殿下の「無理に仕事を手伝わなくていい」という言葉に、ふっと気が楽になって、そうしたら、私だって、ハイマン殿下のために、できることはしたいと素直に思えた。うん。思い出したっていう方が正確かな。

 互いに無理はしないと約束したことだし、ぼちぼち行きましょうか。

 同じ学年から同性の役員が二人選出されることもないではないけれど、地頭が良い上に努力家のサンガを飛び級させようという話が出ている。

 学園でも、できるだけ彼女を守ろうと決めていた私だけど、第二王子殿下が盾になってくださるなら、手を離すのも悪くない。サンガ自身もやる気十分だし、友達であることに変わりはないのだから。

 そんなわけで、私の来年度の生徒会入りは確定らしい。そうしたら、同好会にはたまに顔を出すくらいになってしまうだろうなぁ。

 いまのうちにできることをやっておこう! と言っても、ボディーは作れても、内臓部分は私には無理。完全にマノーン嬢任せで、いまはゴーレムの操作技術を向上させることに夢中だ。

 私の趣味ではあるけれど、実際に役に立ってもいる。

 魔法の授業では、座学では広く浅く学び、実技では生徒それぞれが得意なものを伸ばす方針。

 具体的には、敵(教師)の妨害(攻撃を含む)を躱し、的を破壊する。私はそれにゴーレムを使っている。自分で言うのもなんだけど、強いよ!

 でも、冷静に考えるとおかしい。入学時に提出した小論文には「木魔法を使用した新しい形の住宅を提案。住人の身体・精神に与える影響をデータとして収集し」とか、書いていたのに。

 いや、まだ、三年以上ある。まずは、ゴーレムから、順序よく行こう。なにせ、二年次になると、問答無用でダンジョンアタックをさせられるそうだ。

 ゴーレムを先行させてダンジョンに潜ることを想定した場合、現在考えられるいちばんの課題は、無防備になる自分をどう守るか。

 防御系の魔法が付与された装飾品は、使用回数に限りがあるし、正直お値段が高すぎるので、もしもの時のためのお守りと考えたい。

 カーボン繊維を障壁(プランクバーリア)風に、その都度出現させてもいいのだけど、その分魔力を食うし、やっぱりトーチカかな。

 直径一メートル、高さ一メートルのドーム型なら、私のポケット(無尽蔵(キャパシティーオフ))にも入るし。大人になっても、体育座りをすれば、いけると思うのだ。



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