42、トーマス五号
私が作った木製の見本をもとに、鋼鉄製の骨格を製作したのは二コルだが、先輩たちも何かとアドバイスをくれたり、大変、協力的だ。
というのも、彼らの最終目標は私と同じで、ゴーレムを自在に操り、いずれ、自律させること。
もともと錬金魔法を伸ばすことが主目的で、ゴーレム操作は苦手な二コルにも、メリットが全くないわけではない。
総金属製では、製作にも操作にも、膨大な魔力を消費するところ、金属の骨格に、木なり岩なりカーボンなりで肉付けしたゴーレムならば、格段に燃費がよくなり、操作性も上がるのだ。
一方、凸凹コンビの先輩たちは、素材の繊細な加工は苦手らしく、自分たちの分は「これまで心血を注いてきたゴーレムで十分」と満足している。
それもそのはずで、その木も岩も限界まで圧縮されていて、カーボンには劣るものの、強度は十分。そもそも、加工されていない丸太や岩だってすでに重いし、それで殴られたら、大抵の生き物は死ぬ。
いまは、マノーン嬢に手伝わせて、遺跡からの出土品の解析に夢中。
私は、透視ができるわけではないから、よほど魔力の相性がいいか、積極的に協力してもらわないことには、なかなか他者の体の内部まで把握することはできない。
二コルが断固として「魔力合わせ」を拒むので、彼の骨格標本を作るはできなかった。
「一度作れば、二度も三度も同じだ」
三日で私の注文を片付けたあと、ドートン先生のアドバイスを受けながら、二回り大きい鋼鉄製の骨格を作っていた。ドートン先生に言わせると、男と女では一部構造が違うらしい。
お礼に、カーボンでの肉付けを申し出たのだが、きっぱり断られてしまった。
「そんなおっそろしいもの、所有できるか」
凸先輩に頼んで、圧縮した木で肉付けしてもらっている。
いいもん、いいんだもん!
私は当初、ソフィア二号を単一組織で構成していたのだけど、出来上がっていく骨格を見ながら、ふと思いつく。
ドートン先生の自動人形、人工の筋肉や筋が使われていたわよね? どうも、繊細な動作ができるだけでなく、魔力使用量をだいぶ抑えられるらしい。
これはやるしかない!
カーボン繊維というくらいだから、これらを模すのに非常に適している。
でーきたっ!
単一組織で構成していた時より、強度は落ちるけど、出力がすごい!
人間でいえば脳のリミッターを外して、常に火事場の馬鹿力状態だから。
二コルは、トーマス五号と名付けた自分のゴーレムの操作性をさらに上げるために、骨格を空洞化させたりしていたけど、ソフィア二号はそのままでも驚異的な速度で動ける。
問題は、操作する私の判断力と、身のこなしがなってないこと。
テミス姉様にお願いして、魔獣狩りに適したいくつかの動きを組み合わせてバターン化してもらい、それをひたすら練習していたら、それを陣(いわゆるプログラム?)として組んでしまおうと、ドートン先生と凸凹先輩たちが頭を捻り、そろそろ、それが完成しそうである。
これまで自動人形に組み込んできたものとは、比べものにならないくらい複雑で、しかし、彼らに言わせると、ゴーレムは自律させることを考えなくてすむ(操縦者がいる)ので、書き込める量が格段に増え、とても楽しいらしい。
さすがに、三パターンが限界だけど、その陣に魔力を流せば、自動的にプログラムをなぞった動きをするとか。
なに、この人たち! 天才なの!?




