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24、側近を探せ②


 いくつものことは一遍にできないから、まずは、殿下のことに焦点をしぼろう。

 いくつものことを一遍にこなすには、私にこそ協力者が必要だという、この矛盾。

 ないものは、ない。だが、ない知恵をしぼらなければならない私。

 殿下がおっしゃっているのは、自分が成長している最中も、また、大人になって仕事をする時も、安定して長く力になってくれる部下だよね。ならば、年齢は殿下と近い方がよい。

 しかし、言い方は悪いが、その条件に合う有名どころは、王太子と第二王子にすでに青田買いされてしまっている。

 ハイマン殿下は、裏方として歩むと決められていて、王位を争うわけではないのだから、高位貴族の子息ばかり狙う必要もないのだけども。

 一方で、いま現在、ハイマン殿下の周りを固めている布陣を見てみよう。近習、侍女、護衛騎士。

 私の見た限りだが、皆、誠実に殿下に仕えていると思う。

 日々の働きぶりもそうだし、これまで殿下の側に自分の親類縁者を推した形跡がないのだ。故に、信用できると思う。

 まず、ほしいのは、殿下の手足となって、地味な仕事をコツコツとこなせる人材。派手さはいらない。さすがに貴族の子息じゃないと困るけど、それほど高い身分はいらないのだ。むしろ、プライドは邪魔よ。

 外国の王侯貴族と血縁関係にある貴族の子弟を探すのは、その後でよい。

 よし、これでいこう。

「ハイマン殿下。すでに殿下にお仕えしている者たちも、貴族もしくは貴族の子弟であります」

 ハッとする殿下。そう、彼らは殿下の生活面を支えることに特化しているけど、まったく王城内の勢力図や、社会情勢に疎いわけではない。ただ、分を弁えているだけ。

「皆よく働いております。本人の努力も素晴らしいですが、それも彼らを支える家族があってこそ。どうでしょう? 一度、皆とその家族を集めて、殿下自ら労ってみては。そうそう、小さなお子様も楽しめるように、サーカスなど呼んでもいいかもしれませんね」

 うんうんと頷いていた殿下が、サーカスと聞いて首を傾げる。

 そう、無理やり感が半端ではない。侍女から聞いて、本当は私が行きたかったの!

「それは、子供も大人も喜ぶだろうが、外部の者たちを王城に招くとなると」

「そうですね。怪しげな集団を招き入れるわけにはまいりませんね。…では、こうしたらどうでしょう。テントや器具だけ借り受けて、演者は、いま、この天井に張り付いている者とその仲間たちということで」

 反射的に殿下が上を見ようとするのを、頬を両手で挟んで止める。真っ赤になる殿下。

 当然、上を見ても誰もいない。

 おかしいなぁ。フィクションなら、王城には、近衛所属か王家所属かはわからないけど、必ずといっていいほど暗部があるものなのに。

 「恥ずかしがり屋さんのようですね」とでも言って、誤魔化そうとした時。男とも女ともつかない、隙間風のような声が聞こえた。

『ご下命とあらば』

 思わずびくっとする、殿下と私。

 扉の外の護衛にはもちろん、壁際に控えている近習にも侍女にも、お目付け役の大叔母様にも、聞こえてないみたい。

 すごい技術だ。それとも、魔法?

 ともかく、使っている人の気質なのか、これくらいは自由に判断できる裁量が与えられているということ。

「王妃様にお願いすればよいのかしら」

 つぶやけば、『是』と答えが返る。

 どうしよう? ちょっと怖いけど、わくわくしてる。私たちは顔を見合わせた。

 そこからは早かったね。

 第三王子の意を汲んだ近習たちは、自分の子供や弟、親戚の子供を連れてきた。

 もちろん、本人たちのことも、ご馳走や金一封で労ったよ? 殿下が。

 一人一人お声掛けがあって、もちろん、選ぶのは殿下だから、私は気楽なものよ。と思ってたのに。

 わ、わ、相談されてしまった。

 ええ、あの子。年齢の割に落ち着いていましたね。ええ、ええ。よいと思いますよ? あとは必ず反対意見を言う者も、一人は欲しいですね。いえ、もちろん、選ぶのは殿下ですけど。



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