23、側近を探せ①
しばらく、自分のことに集中していたから、ある日、何かを決心した表情のハイマン殿下から、彼の将来の夢を聞かされてびっくりした。
が、外交官!? それって、めちゃくちゃ優秀じゃないとなれない職業じゃない?
もちろん、殿下ならそのための努力を惜しまず、やるべきことをやって、成し遂げると思う。もともと真摯で誠実、見る者をうっとりさせる容貌をしてらっしゃるし、素養は十分。うん、なれるよ。大丈夫!
不安そうな彼を励まして、はたと気付く。
国の外交を担う王子様なんて、その妃も相当、優秀でなければならないのでは?
え? 私!? むりむりむり。前世でだって、漠然と都会に出たいなぁ、そしたらOLにでもなるのかなぁ私、なんて思ってたくらいだもの。
ああ、でも、希望に胸を膨らませ、期待に瞳を輝かせる殿下に、そんなことは言えない。
彼の目が言ってるもの。君なら大丈夫だ!…と。
「ええ。応援します。私も妻として、殿下を支えていけるように努力したいと思います」
ゆっちゃった、言っちゃったよ! だって、嫌われたくないし。
決して勉強は好きじゃないのに、おぅ、この見栄っ張りめぇ。
でもでもさ。よくよく考えれば(逃避)高貴な人は、なんでもかんでも自分でやる必要はなくない?
古文の授業を思い出して! ○○上皇が編纂、とか言っておいて、家来にやらせてたんだよ、あの人!
日本の政治家だって、いつも専門家に聞いてからって言ってたじゃない?
そうかそうか。うん、わかった。
将来の私に必要なのは、人を見る目と、任せる度胸と、命令になんか高尚な使命があるように錯覚させて、お金をかけずに労うことだ、きっと(混乱してます)
どこに落ちているんだろう、そういう人とか、才能とか。拾いにいかなきゃ(動揺してます)
ふっ、ふっ、ふぃー。おかしいな、どうしてこんなことに?
やんわり、そのような結論を出すに至った経緯を尋ねると、殿下は恥ずかしそうに、でも、隠し切れないうれしさのようなものを滲ませながら、言葉を選んで話してくださる。
私が嗾けたのか、そうなのか!?
いやね。誠実が服を着て歩いてるような殿下が、ちょっと心配で。だって、従者にまで気を遣い、いや、けしてそれは悪いことではないけれど、度が過ぎれば雁字搦めになってしまうでしょう?
ちょっと小狡い仮面をかぶったくらいの方が、殿下はちょうどよく、生きやすいと思ったのね。
絶対に道を踏み外す心配のない人だから、言えたことなのね!?
ぐるっと一周回って、さらに苦労する気だよ、この方は。それが、かなりの割合で私のためなのが、うれしいやら心苦しいやら。
が、がんばるッス。
なんの根拠もあてもなく決意表明する私に、追い討ちをかけるように、ハイマン殿下は喫緊の課題として、信頼のできる部下、つまり側近が欲しいとおっしゃった。
前々から考えていたことらしい。
うん、さっき、私も考えたぁー。丸投げできる部下がほしいぃ!
しかし、私に至っては、乳兄弟すらいないのよね(乳母離婚)




