整理します(3)
うん、私が相談したかったことはこれだけだ。結局、今までと同じように髪色は隠しておいた方がいいだろう、という結論しか出なかったけど。
そもそも私、今は黒髪だけど、生まれた時はお母様と同じ、金髪だった。それが、成長とともに色が濃くなっていって、気がついたら黒色にまでなっていたのだ。
一般的に、髪の毛の色が成長とともに変わることはままあることだ。けれど、私みたいに、ここまで変化することはほとんどない。とっても珍しいと思う。
それに、生まれた時から黒髪だったら、まず同じ黒髪の魔導士に話がいく。魔法を教えてもらうためだ。その過程で、どうしても外に漏れる。結果、「あの家の子は黒髪らしい」と社交場の噂となる。
そりゃそうだ。将来の出世が約束されてるようなものだからね。
だけど、私は金髪だった。少なくとも、3歳までは完璧な金髪だったのだ。だから、5歳になって魔力量を測った時、「黒髪なのに魔力量普通なんだ…」と騒ぎ立てられることはなかったし、知られてもいなかった。だって、当時はとっても明るい茶髪、くらいだったからね。
そんなこともあって、私が黒髪だということを知っている人は少ない。
学園にいる人だと、親戚で親友のケイトリン・デジェネレスとお兄様しかいない。
「あっ!!!」
忘れてた!!
「なんだ、どうしたんだレイラ??」
「あの、お兄様。私、フォーサイス様にお姫様抱っこで運ばれたらしいんですけど、そこって、誰かに目撃されたりしてません??」
私は一気に青くなる。
「お、お姫様抱っこだと!?なんだその新情報は!!」
や、やっぱり目撃されて……ない??うん??
「あれ??お兄様、もしかして、知ら、なかっ、た??」
「知らなかったぞ!!初耳だぞ!!なんなんだフォーサイス!!今度そんなことがあったら、お兄様が運んでやるからな!!」
ということは…
「もしかして、誰も見てない??」
「このお兄様が今、初めて知ったことなんだ。きっとそうだろうな。」
「え、それじゃあ、フォーサイス様、私をどうやって運んだの??」
「……悔しいが、何か魔法を使ったのだろう。目眩しのようなものか、転移の魔法、あたりか??」
誰にも見られてなくて、本当によかった…これで明日からも、私は普通に生活できるじゃないか!!やったぜ!!
「誰にも見られていないのなら、とても好都合ですね。」
ほんと、ありがたやぁ〜。
でも、どうやって運んだのかは気になるところだな。あ、あと、昨日あの場にいた人たちが本当に私の黒髪を見てしまったのかも聞いてみる必要がある。
もしも、もしもだよ??エミリア様に知られていないのに聞いたとしたら、明らかに藪蛇になる。そして、皆んなにバレる気がする。
王太子様御一行には見られてるだろうな。フォーサイス様が運んでくださったのだし。
明日、シンディー先生のところまで行って、そのあたりのこと、聞いてみよう。本当は偉い人だけど、邪険にされることはない気がする。何かあれば言ってね、って言ってくださったし。
気になるから、明日行ってみよう。うん、そうと決まれば、寝よう。
「…そうだな。」
「それじゃあお兄様、時間も時間ですし、もう寝ましょう。相談、乗ってくれてありがとうございました。お手紙、よろしくお願いします。あ、きちんと妹が感謝していたって伝えてくださいな。」
「そうだな。悔しいが、今回ばかりはフォーサイスに感謝するか。それでは、俺も部屋に戻って休むことにするよ。おやすみレイラ。」
そう言って、お兄様は私の額にキスを落とす。
「おやすみなさい、お兄様。」
私もお兄様の頬にキスをする。小さい頃からやってることだから、もはや習慣と化している。
なんだかんだ言ってるけど、お兄様にキスしちゃうなんて、私もまあまあなブラコンだね……今更気づいたよ……
隣室に控えてくれている、アルマに声をかけ、2人で兄を見送ったあと、私はすぐに就寝した。
ケイトリン・デジェネレス(14歳)
普段はケイトと呼ばれている。金髪に薄ピンク色の瞳をした妖艶+儚げ美女。レイラのいとこ。