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平凡令嬢、夢を掴む  作者: 海ほたる
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剣技・魔法大会(8)


 大きな大きな歓声が上がり、私は我に帰った。


「あら、ミラー様もなかなかの腕前なのね。」


「そうなの?やっぱり、私にはよく分からないわ。だけど、メトカーフ様と平気で打ち合っているものね。ふむ、やっぱりこれはすごいことなのね。」


「…やっぱり、メトカーフ様にお願いしよう。むふふ、」


「レイラ??ちょっと、何をお願いするつもりなのよ??」


「ふふ、ケイト、あの人にお兄様の相手をお願いするの!!」


「あら!それは中々いい案ね!」


「でしょう??私、もうお兄様の相手はしたくないもの。」


「ふふ、私もしたくないわ。それじゃ、この間の食堂のことをネタにお願いしましょうか。」


「むふふ、そうだね。」


「2人とも、決着がつきそうよ。」


「うん、ほんとだね。やっぱりメトカーフ様が強かったか。」


「ミラー様も中々だったけれどね。」


 みるみるうちにメトカーフ様はミラー先生の弟君を押していき、最後は場外にぶんっと軽めに飛ばしていた。


「剣技部門の優勝者はやっぱりメトカーフ様だったわね。」


「そうね。予想通りだったわね。」


「はぁ、次はお兄様が出てくるよ。」


「グランディエ様もだけど、会場をぼこぼこにしないでやってくれると良いのだけれど……」


 お兄様は入場してくると、何故か私たちの方を見た。そして軽く手を振ってきた。


 それを見た周りの女子が大騒ぎだ。


「リアム兄さん、相変わらず大人気ね……」


「ほんと……」


 我が兄ながら、モテる。


「2人とも、あんなに素晴らしい人が身内で羨ましいわよ。」


「確かにお兄様はすごい人だけど……」


「確かにそうなのだけど、リアム兄さんはちょっと……….」


「2人とも、分かってないわね。いい??スピネット様は女子たちに大人気の超優良物件よ??だって、伯爵家嫡男でイケメンで強い。その上頭も良くて女性に対して紳士に応じる。そんな人なのよ??」


「「………」」


「これに、世の女性が惚れないわけないでしょう。」


「……でも、サラは別に惚れてないよね??」


「それはそれ、これはこれよ…」


 あれ?珍しい。サラが照れてる〜。


「ふ〜ん??サラ、好きな人がいるのね??」


「そうなの!??サラ、教えて教えて!!」


「……もう、それはまた今度。ほら、お二人の闘いが始まってるわよ。」


 見てみれば、お兄様とグランディエ様がとっても楽しそうに剣をぶつけ合っている。


 それが徐々に激しくなっていく。それもそのはず、魔法を纏わせた剣を打ち合い始めたのだ。こんなことができる人はほとんどいない。うちのリッカルドおじ様とお母様はできるけど……


 2人が剣に纏わせているのは、風。2人とも風を纏わせた剣を使って打ち合っているのだ。そんなもんでばこばこやり合ってるものだから、ケイトが危惧した通り、会場に亀裂が入っていっている。うわぁ。


 本気でやり合える相手が中々いなくて、それを今解放しても問題ないって事で2人が楽しんでいる事は分かる、分かるんだけど、もうちょい加減してほしかったかな!!


 こっちにくる風がすごいんだわ!!口開けたら水分飛んできそうで開けられないんですけど!!あと目も痛いよ!!


 それに、あー、ほら、そろそろ会場がもたないよ??


 あ、終わったー。


「はぁ。リアム兄さんとグランディエ様、壊したわね。」


「確か、去年はお兄様がグランディエ様の剣を受けた時の衝撃で会場がやられちゃって、場外判決になったんだよね??」


「そうよ。今回は、会場全部が粉々になっちゃったわね。これ、どうするのかしら。」


 亀裂、入れすぎたんだな、あの2人。


「……多分、引き分け判定になるわよ。」


「そうだね……」


 うわ、あの2人、めっちゃいい笑顔してるわ。会場破壊した後なのに、いい運動したわ〜、みたいな雰囲気しか無いのはなんでなんだろうね……


「……えー、これにて、本日の剣技・魔法大会は終了となります。会場が粉々になってしまったため、表彰は本日の夜会にて行います。」


 そんなわけで、最後はお兄様とグランディエ様に会場を粉々に破壊されて、今年の剣技・魔法大会は終わりを告げたのだった。


 サリヴァン様の放送と共に、学生が動き始める。


「私たちも一度帰って、今夜の準備に取り掛かりましょうか。」


「そうだね。って、はっ!!」


「どうしたのよ、レイラ。」


「いや、どうもしてない、私はどうもしてないよ、はは、ははは、」


「ケイト、大丈夫よ。どうせ、フォーサイス様が迎えにくるって言ってたな、とか、さっき言われたこととか思い出してるのよ。」


「あぁ、そうねぇ。ふふ、今度、じっくり聴き出しましょうか。」


「ふふ、ええ、そうね。」


「………2人とも、やめようよ………」


「まあ、今日のところは辞めてあげるわよ。」


「だって、フォーサイス様がエスコートされるんですものね。」


「ふふ、楽しみねぇ。」


「そうね。ふふ、」


 私は悪魔の笑いを交わす2人と共に、会場を後にしたのだった。


そろそろ事態が動きます。


 おまけ

〜サラとケイトの会話〜

「ねえケイト。レイラ、物凄い注目を集めてたこと、全く気付いてないわよね??」


「ええ。いつもならすぐに気付くのに。きっと、フォーサイス様にこの間以上のことをやられて、周りを見る余裕が無いんでしょう。」


「ふふ、その通りね。1人で赤くなったりにやけ顔したり、険しい顔になったり……忙しい百面相だわ。」


「ふふ、これが終わったら、またたっぷりと聞き出してあげましょう??」


「ふふふ、そうね。今から夜会の後が楽しみだわ。」


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