剣技・魔法大会(4)
試合が終わってしばらくすると、ケイトが私たちのところへやってきた。
「レイラ、サラ〜。」
「「おつかれ、ケイト!!」」
「ケイト、やっぱりすごい活躍だったじゃない〜。」
「うん、相変わらずすごい炎だったよ!!」
ほんと、可哀想なほど燃えてたよ……
「ふふ、ありがとう、2人とも。でも、パルトロウ様に負けちゃったわ。」
「でも、すごく良い勝負だったよ!!それに、2人の闘い、すごく綺麗だった!!」
「ええ!!それに、私は初戦の炎が1番素敵だったと思うわ!!」
「まあ、サラったら、奇遇ねぇ〜。私もそう思ってるのよ。ふふふ、」
「ふふ、やっぱりそうなのね??ふふふ、」
あ、2人が黒い笑い方になっている……
「あら、次は剣技部門ね。ヘイズ様が出るみたいよ。」
復活したケイトが会場を見て言う。
「あらほんと。」
「相手は、ん??なんかミラー先生に似てる……」
まず、赤茶の髪に、ヘーゼルの瞳っていう色彩が似てるし、どことなく爽やか感が漂ってるあたりも似てる……
「もう、レイラったら。」
「彼はミラー先生の弟で、5年生のデューク・ミラー様、でしょう??」
「ほへぇ〜……」
「「はぁ〜。」」
し、仕方ないじゃないか!!他学年まで覚えられないってば!!
「あ、始まるよ!!」
初めの合図と共に、2人が打ち合い、カンッカンッという音が響く。
「……なかなかいい勝負じゃない??」
「そうなのね!!ふむ、ヘイズ様は1年なのに、やっぱりさすがヘイズ家、ということね。」
サラが何やら納得している。
「私はミラー先生の弟様もなかなか良いと思うな。でも、なんて言うんだろ、うーん……」
「レイラ、2人とも剣筋が、『良いとこの人』って感じがするのよ。だから違和感があるの。」
「なるほど!!そっか、お兄様がなんでもありだからそう感じるのか。」
お兄様は正統派オンリーの人じゃないからな。
「レイラもケイトもすごいわね!!私には全く良くわからないわ!!」
「まあ、お母様とおじ様とお兄様を見て育てば、ね……」
「ええ、私のお父様もおば様もすごいし、その上リアム兄さんまでいるし。私なんて、たまに相手させられそうになるのよ……」
「……私はそこまで能力がないから、ケイトの後方支援に回るんだけど、絶っっっ対、もうやりたくない……」
「ほんとよ。絶っっっ対、もうやらないわ………」
「2人とも、大変なのね。ふふふ、」
「サラ、笑い事じゃないのよ。お母様だって相手しないのに……」
「ほんと、笑い事じゃないんだよあれは……」
「ふふ、でも、みんなとても強くて安心じゃないの。」
「それは……」
「まあ……」
否定できないけど……
「ほら、それなら良いのよきっと。あっ!勝負がつきそうよ。」
遠い目から復活して見てみれば、ミラー先生の弟君がヘイズ様を押していた。そして、そのまま場外に押し出し。
「へぇ、ミラー先生の弟さんが押し切ったかぁ〜。」
「それじゃあ、最後に当たるのはミラー様とメトカーフ様かしらね。」
「メトカーフ様、めっちゃ強いもんね。きっと次の準決勝、勝つよね。」
「ええ、そうね。リアム兄さんとも張り合えるんじゃないかしら??剣技部門に出てるのが惜しいわね。」
「やっぱり??ふむふむ……」
今度、お兄様のお相手頼んでおこう。お兄様の誕生日プレゼント、これに決まり!!うん、そうしよう!!
「むふふ……」
「レイラ、どうしたのよ、変な笑い方して……」
「ど、どうもしてないよ!!」
ちょっと、お兄様に良い誕生日プレゼントを思いついただけであって……
「あ、次はリアム兄さんが出るんでしょ??」
「ケイト、うん。そうだけど、お兄様なら次も多分余裕、なんだよね。」
多分、辺境出身の、去年兄を負かした人。あの人じゃないと兄の相手にならない。
「あら、そうなの??次の人は、中々の実力者って聞いてるけど…」
そう言ったサラに、私とケイトは顔を見合わせ、頷く。
「だって、リアム兄さんだもの、ね。」
「うん。お兄様が普段相手にしてるの、お母様かリッカルドおじ様だから、ね。」
「さすがに私でもあの人たちとはやり合えないわ。」
「うん、あれは、無理。」
お母様とリッカルドおじ様、まじで強すぎる。辺境で最強と言われた、ゾウさんと同じくらいの大きさで、俊敏に動くことのできる魔物、ゾウクマ。それを2人でちょいちょいっと討伐していた。
「…たしかに、あの伝説の2人を相手に鍛錬してるのだものね。そうなるものなのかしらね……」
そんなことを話していれば、お兄様が入場してきた。そのまま初めの合図と共に、剣をぶんっと一振り。
すると、あら不思議、相手はいつの間にやら伸びて場外に。
さっきより、ちょっと強めにやったのかな。今まで伸びてはなかったもんな。まあ、打撲で済んでるだろう……
「……伝説を相手にしてると、こう言うことになるのね……」
うん、伝説を相手にしてたら、こうなるみたいです……
「あっ、次が始まるよ!!次は魔法部門のもう1つの準決勝か。」
「あら、キートン様と、アリス様だわ。」
「アリス様、すごいものね……」
王太子様の婚約者であり、未来の王妃様。さすがと言うべきなのか、彼女、とっても強い。
「ええ、そうね。でも、キートン様もすごいわよ??」
「そうなの??」
「レイラ、分からないのね?覚えてないのね??しっかり覚えなさいよ???」
「サ、サラ!!が、頑張るから!!」
ちょっと、人の名前と顔を覚えるのが苦手なだけなんだ!!
「ふぅ、いい??あの方はリオナ・キートン様。厳格だと有名なキートン侯爵の娘さん。5年生で、パルトロウ様のライバルと言われている方よ。」
「うわお、めっちゃすごい人なのね……」
キートン様って、なんだか、ピンクブロンドの髪に、茶色の瞳をしていて、見た目がザ・主人公なんだけど……
そんなの関係ない、よね??この世界、人は基本みんなカラフルだし。多分、大丈、夫??
「あっ!始まったわ!!」
そんなことを考えていれば、初めの合図がされた。




