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平凡令嬢、夢を掴む  作者: 海ほたる
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剣技・魔法大会(2)


「まったく。何を考えてるのか知らないけど、今日は避けられないわよ。きちんとフォーサイス様とお話しなさいね??」


「うっ。………分かった。」


 その後、そのままサラと雑談していれば、席もほとんど埋まっており、いつの間にやら開会の時間となった。


 司会進行役のサリヴァン様が話し始める。


「それでは、開会の挨拶を生徒会長、ベネット・オルティスより賜りたいと思います。では、会長、よろしくお願いします。」


 今年の開会の挨拶は、王太子様だ。さすが将来の国王様、と言ったところか。忙しいはずなのに、入学当初からきっちりと生徒会長をやっている。思うけど、王太子様って、バケモノじゃないとつとまらないんじゃないかな。休んでる暇あるのか、結構心配だよ。教職以上の超過労働者じゃない??


 側近のメトカーフ様、サリヴァン様、ギルバート様もそうだけど……


 お兄様が王太子様からお声掛けされたのをうまい具合に避けているの、すごくよくわかるな……


 そんな王太子様がグラウンドの真ん中に歩いてくる。それだけで、そこら中から歓声が上がる。王太子様、大人気だ。


 まあ、かっこいいもんなぁ。濃紺の髪に金の瞳。そして、整った顔。お兄様もイケメンだけど、王太子様も負けてない。これぞ王道イケメン!!って感じだ。


 お兄様は配色が王道イケメンだけど、少し野性味があるんだよね。辺境育ちだから??


 もしかして私も野性っぽいのか??それはちょっと、なんというか、うーん……


「今日は、皆が楽しみにしていた剣技・魔法大会当日だ。ルールを守り、出場者が持てる力を全て出し切り、素晴らしい戦いとなることを期待する。それでは、これにて剣技・魔法大会、開幕とする!!」


 さらに大きな歓声が会場中に響き渡り、大会が始まった。


「レイラ、ケイトは12試合目だったわよね。ちゃんと応援しなきゃね!!」


「うん!!ケイト、大丈夫かなぁ。」


「大丈夫よ。相手は、えーっと……」


 サラが今日の大会のプログラムをめくる。


「あら、エリザベスさんじゃない。」


「あ、………」


 エリザベスさんって、それは……


「これにケイトが負けるわけがないわ。ふふふふふ。」


「サラ、なんか笑い方が邪悪だよ……」


「レイラ、ふふ、ふふふふ、気にしなくて良いのよ、ふふふふ、……」


 大変に気になるけれど、放っておこう。うん。ケイトはきっと大丈夫だし……



 この大会、全てトーナメント形式で行われる。なにせ出場人数が300人ほどいるのだ。さすがに総当たり戦をやるには、時間が足りないだろう。


 午前中は全ての部門、できる限り進めて、準決勝、決勝を残すのみ、というところまで進めたいらしい。さすがに無理なんじゃないか、と思っていたんだけど、見てれば結構たくさん、秒で終わる試合もあった。そしてわんこそばの如く、次々に人が投入され、試合が行われていく。


 見てる方としては、秒で終了してしまう試合は物足りないなぁ、と思ってしまうけど、単位を取るためだけに出てる人もいるのだ。仕方がない。もっと他のところで救済してあげればいいのにね。かわいそうに……


「あ、ケイトの番よ!!」


 ケイトは入場してくるとすぐに私たちに気付き、手を振ってくれた。相変わらず綺麗なケイトを見た男子たちが、ぽーっとしてたのは言うまでもない。


 そして、初めの合図の瞬間。


 エリザベスさんを、燃やした。ゴオっと。ええ、エリザベスさん、秒で倒されました。


 ケイトが炎魔法が得意で、魔物討伐の時も燃えカスにしてるのは知ってた。綺麗に魔石を取り出しているのは知ってた。


 知ってたけど、割と魔物と同じ火力でエリザベスさんを燃やしてたよね??エリザベスさん、すごく唖然としてる。


 そりゃそうだよね。こんな綺麗で美しくて可愛い人が、初っ端からこんな高火力で飛ばしてくるとは思わないよね。わかるわかる。


 私が1人エリザベスさんに同情していると、ケイトはとってもいい笑顔を私たちに向けてくれました。うん、もういいさ。


「ケイト、ものすごく美しいし綺麗だし、すごくスッキリしたみたいだな。めちゃくちゃいい顔してる……」


 それはもう、いくらエリザベスさんでも、気の毒に思えるくらいには……


「ふふふ、そうね。さすがケイトだわ!!もっと燃やしても、ふふ、ふふふふ。」


「サラ……」


 きっと、ケイトもサラも溜まってたんだと思う。エリザベスさんだけはうまく避けられなかったからな、授業同じのがあったりして……


 隣のクラスで同学年。ギルバート様がいつもエスコートしている、金髪にヘーゼルの瞳の綺麗なお姫様、ギルバート様の親戚の女の子。私にメラメラ敵意を燃やしている、可愛い女の子。そんなエリザベスさんは、あの事件の後、隣のクラスの私の元へ毎日のように突撃してきた。


 もちろん、できる限りは避けた。避けたけど、隣のクラスだと距離が近すぎて、避けられないことが多かったのだ。


 燃やされたエリザベスさん、どんまい。イラついてたケイトが相手だったんだもん、仕方がないさ。


 本来、エリザベスさんも弱くは無いはずなのだけどね……


 それにしても、あなたはそんなことしなくても大丈夫なのに。


 だって、ギルバート様と私じゃ釣り合わない。あなたは、いつもギルバート様にエスコートされていたじゃない。とっても綺麗なお姫様、ギルバート様と釣り合うような、可愛い人。それは、あなたのような人のことを言うの。


 まあ、今の惨状を見ると、ちょっとお姫様とは言い難いことになってるけど……


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